強度

名詞

強度 (きょうど)

1. 事物が負荷や攻撃に耐える程度。
   • 1952年、中谷宇吉郎「異魚」

     パイプはぜんぶアンチモン鍍金の鉛の管になっている。この材料は強度もいいし、とくに海水による腐蝕に、すばらしい抵抗力がある。

   • 1998年、情報セキュリティビジョン策定委員会「情報セキュリティビジョン策定委員会報告書」

     米国外で一般的に入手可能な強度の暗号製品（ハードウェア）の輸出を認める。

2. 事物の激しさ、活発さ、強力さの程度。
   • 1935年、寺田寅彦「小爆発二件」

     浅間観測所の水上理学士に聞いたところでは、この日の爆発は四月二十日の大爆発以来起こった多数の小爆発の中でその強度の等級にしてまず十番目くらいのものだそうである。

   • 1989年、太田健一「脳細胞日記」

     忌わしいことに耳鳴りは更に強度を増し、直射日光は刺すように肌を焦がす。

   • 2021年、小沼健康、スポーツ審議会健康スポーツ部会

     これまでのスポーツ基本計画では、運動の強度などは問わずに、週1回以上スポーツを実施する方の割合というものをスポーツ実施率として、目標値に達するよう施策を検討してきたということになります。

3. （主に「強度の」形で修飾的に用いて）程度が強いこと。はなはだしいこと。
   • 1927年、小酒井不木「体格検査」

     「ひどい不整脈だ！」と、軍医はつぶやきました。「こりゃいかん。強度の心臓病だ」

   • 1949年、三好十郎「肌の匂い」

     極端な傲慢さと極端な臆病さとが、いつしよになつた目。強度の求訴と強度の不信とがいつしよになつた目。

   • 1950年、坂口安吾「温浴」

     もっとも、私は強度の近視のところへ、遠視が加わったから、メガネをかけても外してもグアイが悪いのである。

複合語

• 比強度

翻訳

語義1

• 英語：strength

語義2

• 英語：intensity, strength

形容動詞

強度 (きょうど)

1. 程度が強いさま。
   • 1941年、片岡鉄兵訳、リットン・ストレチー「エリザベスとエセックス」

     恋愛の決定的行為に対する潜在的な嫌悪の情は、その行為が行なわれようとするときヒステリックな痙攣状態を引き起こし、それがまたあるときは強度な苦痛を伴うものである。

   • 1949年、多田勇、第5回国会衆議院

     要するに経済九原則を実行するためのやむを得ざる統制は、強度に行わなければならないことは、私どもも了承するのでございますが［…］

   • 2017年、鷲尾圭司、瀬戸内海環境保全小委員会

     貧酸素水塊ができて無酸素状態になれば生物ほとんどいないです、ベントスというのは。そこまで強度に汚濁が進んだところという状況から、回復してくる過程でようやく指標生物が出てくるわけです。

   • 2019年、富田茂之、第199回国会衆議院

     ［…］今回のような台風がまた来たら同じものをつくっても壊されてしまうし、もっと強度なものをつくりたいけれども今までの制度ではだめだというような御要望を聞きました。

   • 1934年、寺田寅彦「初冬の日記から」

     「試験」が重大で誠意が熱烈で従って緊張が強度であればあるほどに、それを無事に過ごしたあとの長閑さもまた一入でわれわれの想像出来ないものがあるであろうと思いながら、（略）