iPhoneを再起動すると動作が軽快になり、新品同様のパフォーマンスを取り戻せる——そんな話を耳にしたことがある人は多いだろう。しかし、それほど単純な話なのだろうか?
筆者はこの数カ月にわたり、この説を検証するためにiPhoneを定期的に再起動してみた。筆者はヘビーユーザーであり、iPhoneはほぼ手放せない存在だ。もし頻繁な使用によってパフォーマンスが低下するのであれば、再起動の効果を実感できるはずだと考えた。
通常、筆者がiPhoneを再起動するのは、アップデート後や、まれにクラッシュしたときだけだ。セキュリティの観点から定期的な再起動が推奨されることは知っていたが、正直なところ、面倒なので徹底して実行したことはなかった。
そこで今回、日常的に再起動することでどのような変化があるのかを試すことにした。「定期的」と言うからには、最も一貫性のある方法として「毎日」再起動することに決めた。
筆者が求めていたのは、単なるベンチマーク上の数値ではなく、実際の使用感の向上だ。つまり、理論的な最適化ではなく、日常の操作において明らかに違いを感じられるかどうかがポイントだった。
ここ数カ月、筆者は毎日iPhoneを再起動するという「過激」な実験を続けてきた。しかし、その結果は期待外れだった。
まず、毎朝iPhoneを再起動することから始めた。すると、再起動直後の数時間は動作が重く感じられた。特にアプリの起動が遅く、初回の起動時にはキャッシュがクリアされている影響もあるのか、もたつくことが多かった。また、iPhoneは再起動後にバックグラウンドでさまざまな処理を行うため、これも影響しているようだった。昼頃になると、ようやく元の「通常の」動作に戻る、という状況だった。
そこで次に、就寝前に再起動する方法を試してみた。これならバックグラウンド処理が夜の間に完了するのではないかと考えたのだ。しかし、朝iPhoneを使い始めると、やはりアプリの初回起動はもたついた。とはいえ、朝の再起動に比べると動作が安定するまでの時間は短かった。
約1カ月半、毎日の再起動を続けた結果、筆者が得たのは「毎朝数時間、使い勝手が悪くなる」という事実だけだった。
体感的な差がない以上、ベンチマークを試してみることにした。GeekbenchやAnTuTuを用いて測定したが、再起動によるパフォーマンスの向上は全く見られなかった。
AppleはiOSの設計において、ユーザーが意識しなくてもパフォーマンスを最適化できる仕組みを構築している。再起動しなくても十分に動作がスムーズであることが証明された形だ。
ただし、セキュリティ対策として定期的な再起動が推奨されることは事実だ。特にマルウェアやスパイウェアへの対策としては有効であり、iVerifyのようなアプリを導入すれば、定期的な再起動を促すことも可能だ。
しかし、パフォーマンス向上を目的とするならば、再起動よりも優先すべき対策がある。具体的には、iOSの最新アップデートを適用する、アプリを最新の状態に保つ、ストレージの空き容量を確保する、といった基本的なメンテナンスがはるかに効果的だ。
結論として、iPhoneのパフォーマンス向上を目的とした再起動は、ほとんど意味がない。むしろ、日常的な使用においては、毎日の再起動は逆効果となる可能性すらある。iPhoneを快適に使いたいなら、再起動に頼るのではなく、基本的な管理を徹底することが重要だ。
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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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