写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ

 2027年末を目指していたドラッグストア業界売上高1位のウエルシアと2位のツルハの経営統合が、早ければ2026年中にも実現する見通しとなった。独占禁止法に抵触しないと認められれば、売上高約2兆2500億円、店舗数約5500店、市場シェア約25%というメガドラッグストアが誕生することになる。この超巨大企業の誕生を競合各社はどのように受け止め、どう対抗するのだろうか。

 流通業界専門誌、月刊『激流』の加藤大樹編集長に聞いた。

売上高2兆円超、ウエルシア・ツルハの統合の課題

――『激流』1月号の特集記事では、ウエルシア・ツルハ連合の先行きについて、やや厳しめの見方をしています。しかし、そうはいってもこの巨大企業の誕生は業界全体に大きな影響を与えそうです。

月刊激流

1976年、製配販にまたがる流通業界の専門誌として創刊。スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、百貨店など、小売業の経営戦略を中心に、流通業の今を徹底的に深掘り。メーカーや卸業界の動向、またEコマースなどIT分野の最前線も取り上げ、製配販の健全な発展に貢献する情報を届ける。

加藤大樹氏(以下敬称略) 統合は一朝一夕でできるものではありません。ましてやこれまでガチンコで戦ってきた企業同士ですからね。統合するとなるとプライベートブランド(PB)商品などもある程度整理しなければならないはずですが、今でも両社はどんどん新商品を開発しています。

 マツキヨココカラ&カンパニー(マツキヨココカラ)の統合は、PBも含めてマツモトキヨシ側に寄せたのでうまくいきましたが、ウエルシア、ツルハの場合はどちらが主導権を取るのかいまだにはっきりしません。統合のシナジーが出てくるまでには相当時間がかかると思います。

 ただ、売上高2兆円超というのは業界で頭抜けていますから、バイイングパワー一つとっても他社とは違うでしょう。財務基盤も強固ですし、背後にはウエルシアの親会社のイオンが控えていますから、いろいろな可能性が広がるとは思います。

 統合後は、ツルハもイオンのインフラや経営資源を活用できるようになるでしょうから、食品や日用品を強化しやすくなるかもしれませんし、イオングループ各社が扱っている商品を、ツルハ側が取り入れるということもあるかもしれません。

 扱う商品やサービスの領域が広がれば、より多様なニーズに対応できるようになるでしょうし、そこが統合後の新しい強みになるかもしれません。