確定申告で医療費控除の還付を受ける会社員は少なくないが…(写真:umaruchan4678/Shutterstock.com)

3月17日の確定申告期間終了まであと10日ほど。前半戦の申告会場を見ていて感じたのは、紙の申告書の配布が大きく減り、会場の混雑度が以前よりも緩和されていることだ。オンライン申告へのシフトをうかがわせるが、「申告はこれから」という人もまだ多いだろう。国税庁が用意しているオンライン申告の活用法や、今年の注意点を整理する。

(森田 聡子:フリーライター・編集者)

定額減税についての注意が目立つが…

 例年のように2024年分の確定申告について、多くのメディアで解説が出ている。今回、目立つのは2024年6月に始まった定額減税の記載漏れへの注意喚起だ。中には「定額減税の記入漏れで大損!」と煽る内容の記事や動画も散見される。

 しかし、自分で確定申告して定額減税を受けることが必要な個人事業主は別として、会社員の場合、そうしたリスクは限定的と言えそうだ。国税庁個人課税課の分山知衣巳監理担当チーフは次のように説明する。

「会社員は原則、2024年の年末調整で定額減税が適用されている。今回、年末調整で対応できない医療費控除や、ふるさと納税の寄附金控除などの申告を行う場合も、国税庁ホームページの『確定申告書等作成コーナー』で申告書を作成すれば、定額減税が自動計算されるため、記載漏れや計算ミスが起きることはない」

 もちろん、紙の申告書に手書きをして提出する人は注意しなければならない。申告書第一表㊹の「令和6年分特別税額控除(3万円×人数)」の記載を忘れずに行う必要がある。

 むしろ、申告にあたり定額減税以上に気を付けたいのは、2024年にふるさと納税をして、ワンストップ特例(寄附金税額控除に係る申告特例)制度を利用した人が、医療費控除や住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)などの申告を行う時だ。

 ワンストップ特例とは、もともと申告の必要のない給与所得者等を対象に、年間の寄附先が5自治体以内であり、ふるさと納税を行った都度、寄附先の自治体に申請書を提出していれば、寄附金控除の申告に代えることができる制度のことだ。