Blackmagic Designによると、シンガポール新作映画「Hi Noel（原題）」の制作に、Blackmagic URSA Mini 12KデジタルシネマカメラおよびDaVinci Resolve Studioが使用されたという。
「Hi Noel」は、一人の少年と彼のイマジナリーフレンドの目を通して、クリスマスシーズンの世界を描いている。同作は低予算で制作されたが、ハリウッド品質の作品となっており、グリーンバックやVFXが多く使用されている。
主人公の少年レオンは、両親が離婚寸前であることを知り、彼を取り巻く世界がひっくり返ってしまう。孤独と喪失感の中、レオンは、イマジナリーフレンドの"ノエル"を作り上げる。魅力的で仲良しのノエルは、レオンに安らぎを与える存在となる。レオンとノエルは、一緒に現実と想像の境界を超越した魔法の冒険を始める。そんな中、2人はレオンの両親の結婚生活を取り戻すための計画を立てる。
出演は、2001年のミスユニバース・シンガポールであり、女優であるジェイミ・テオ、ガーミット・シン、レオン役のゼイン・クェック、ノエル役のオスカー・オウなど。エリック・ウォン氏とカリーン・タム氏夫妻の映像チームが経営する制作会社、Cande Picturesが、同作の撮影とポストプロダクションのすべてをシンガポールで行った。
同作の監督/撮影監督を務めたウォン氏は、オリジナルのBlackmagic Pocket Cinema Cameraが発売された2013年からBlackmagic Designカメラを使用しており、現在では映画のメインカメラとしてBlackmagic URSA Mini Pro 12Kを使用している。
ウォン氏：「Hi Noel」は、ホリデーシーズンの映画なので、ポップな色を用いて、それがストーリー構築の一部となるようにしたかったんです。またこの作品の大部分は、レオンの想像の世界と、現実のシンガポールが混ざり合っていますが、URSA MiniカメラとDaVinci Resolveを併せて使用することで、クリエイティビティを自由に発揮して希望通りの作品を作ることができました。
私は特に、このカメラのダイナミックレンジと解像度を重宝しています。あらゆる照明環境で撮影しましたが、希望通りのショットが得られます。
同作のプロデューサー、エディター、カラリストを務めたタム氏は、「Hi Noel」のルックと雰囲気を制作したアプローチに関して、次のようにコメントしている。
タム氏：私は多くのタスクを担当しました。登場人物のレオンとノエル、特に彼らの服やノエルの帽子は、時間帯に関わらずルックを統一する必要がありましたが、2人の違いも明確にしなければなりませんでした。そして作品全体を通して想像の世界と現実の世界のバランスを取る必要がありました。使用したカメラでは、Resolveでの作業で必要となるあらゆるディテールをキャプチャーできました。
URSA Mini Pro 12KとDaVinci Resolve Studioを使用する利点を示すシーンがいくつかある。同作の鍵となるシーンのひとつは、夜の街で明るく照らされたメリーゴーラウンドのシーンである。このシーンは、単一の照明とメーリーゴーラウンドの照明だけで撮影された。もうひとつは、レオンとノエルが街の雑踏に囲まれた公園にいるシーンである。どちらのシーンも、タム氏とウォン氏が思い描いていた、魔法と現実が入り混ざった世界を作り上げるために、Blackmagic Designのワークフローに頼ったという。
タム氏：メリーゴーラウンドのシーンでは、照明によって飛んでしまう可能性のあったディテールまでキャプチャーできました。そして公園のシーンでは、希望通りのグレーディングを実行するために必要なすべてのデータを得られました。DaVinci Resolveを使用し、メリーゴーラウンドの明るさを強調しながら、ブルーとクリーミーなエフェクトを加えることで、優れたグローエフェクトを作成できました。
同作の様々なグリーンバックのシーンでは、DaVinci Resolve Studioの3Dクオリファイアー機能が多く使用された。シーン内で特定の色やカラーレンジを分離することができたので、ノエルの明るい赤い帽子などのアイテムの作成や、想像と現実のカラーセパレーションにフォーカスできたという。
タム氏：最終的に、同作は全編を通じて魔法のような雰囲気になりました。多くの制作費をかけずに、BlackmagicのカメラとDaVinci Resolvのおかげで、大作のようなルックに仕上げることができました。
