米経済、雇用・物価の両面で「良好な状態」=アトランタ連銀総裁
[アトランタ 11日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は11日、米経済は雇用と物価の両面で「良好な状況」にあるほか、物価見通しが悪化している明確な兆候はないとし、利下げに反対する姿勢を示した。
アトランタ地区連銀での経済会議で、自身が用いるインフレ基準は「目標に近いことを示唆し、目標から大幅に遠ざかる傾向はない」と指摘。「その上、私のデータでは、インフレ期待が目標からそれていることも示されていない」とし、経済が10年連続で成長し、6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が20万人以上増加したことを考慮すると、金利据え置きが妥当との見方を示した。
このほか、「嵐を引き起こす雲は、実際にはまだ嵐を引き起こしていない」と指摘。「わずかな例外を除き、経済はこれまでのように堅調に推移しているとの見方を企業は示している。消費者行動の弱体化はみられていないとし、計画を大幅に変更するようなことはしていない」と述べた。
ボスティック総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っていないが、7月下旬のFOMCに出席する見込み。このFOMCでは少なくとも25ベーシスポイント(bp)の利下げが見込まれている。
総裁は先入観を持たずにFOMCに臨むとした。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は10日の議会証言で、貿易摩擦や世界経済の減速による米景気拡大への影響に対処するため「必要に応じて行動する」と発言し、利下げ期待を高めたが、利下げの必要性に確信が持てないとするFRB当局者も複数存在している。
一方、直近の米インフレ率は1.6%と目標の2%を下回っており、一部の当局者はFRBによる一段の政策が必要で、政策を打たなければFRBが真剣に目標を受け止めているという信頼が失われる可能性があると指摘している。
ボスティック総裁は「(インフレ率が)持続的に2%目標を下回っていることが、FOMCが目標に対する責務を果たしていないという意味になるのなら問題だ」と言及。最も変動が大きい条件を除いた「ノイズ」が少ない実質的なインフレ基準は「責務である2%での物価安定に非常に近い」ことを示しているとし、「少なくとも現在の経済情勢は(FOMCの)2つの責務に照らして申し分ない」と語った。
*内容を追加しました。
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