米国、ドイツ最大の貿易相手国に 中国抜く

米国、ドイツ最大の貿易相手国に 中国抜く
ドイツ連邦統計庁の公式データに基づいてロイターが算出したところによると、今年第1・四半期は米国が中国を抜いてドイツ最大の貿易相手国となった。写真は2022年2月、ハンブルク港で撮影したドイツ国旗(2024年 ロイター/Fabian Bimmer)
[ベルリン 9日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁の公式データに基づいてロイターが算出したところによると、今年第1・四半期は米国が中国を抜いてドイツ最大の貿易相手国となった。
ドイツと米国の貿易総額(輸出入額の合計)は第1・四半期に630億ユーロ(680億ドル)となり、中国の600億ユーロ弱を上回った。
昨年は中国が8年連続でドイツ最大の貿易相手国となった。貿易総額は2530億ユーロだったが、米国との差はわずか数億ユーロだった。
コメルツ銀行のエコノミスト、ビンセント・スタマー氏は「ドイツの対米輸出は好調な米国経済を背景に一段と増加しているが、対中輸出と中国からの輸入はともに減少している」と指摘。
構造的な要因もあるとし「中国はバリューチェーンの階段を上り、以前ドイツから輸入していた複雑な商品を自国で生産するようになっている。また、ドイツ企業はドイツから中国に商品を輸出するのではなく、現地で生産するケースが増えている」と述べた。
ドイツは政治的な見解の相違を理由に中国への依存を減らしたい考えだが、具体的な政策措置は明らかにしていない。
ドイツ経済研究所(IW)のユルゲン・マテス氏によると、ドイツの中国からの輸入は第1・四半期に前年比12%近く減少。中国への輸出は1%強減少した。
米国経済が予想を上回る一方、中国経済が大方の予想を下回っていることが背景とみられるという。同氏によると、現在、ドイツの輸出の約10%は米国向け。中国向けの比率は6%未満に低下している。
同氏は「ドイツの経済モデルが明らかに世界経済の逆風に見舞われる中、地政学的な動機もあり、中国から米国への方向転換が進んでいるようだ」と指摘。
ただドイツ卸・貿易業協会(BGA)のディルク・ヤンドゥラ会長は「11月の米大統領選で政権が交代し、市場を閉鎖する方向に向かえば、こうしたプロセスは行き詰まるかもしれない」と述べた。

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トムソン・ロイター

Maria Martinez is a Reuters correspondent in Berlin covering German economics and the ministry of finance. Maria previously worked at Dow Jones Newswires in Barcelona covering European economics and at Bloomberg, Debtwire and the New York Stock Exchange in New York City. She graduated with a Master of International Affairs at Columbia University as a Fulbright scholar.