デジタル一眼カメラの選び方
デジタル一眼カメラ選びで大事なのは、一眼カメラならではの特徴を知り、自分の使い方に合った製品を選ぶこと。ここでは、購入前に知っておきたい基礎知識や、被写体・シーン別の選び方、主なカメラメーカーの特徴など、デジタル一眼カメラ選びで役立つ情報をまとめました。
2024/12/9 更新
最初に、デジタル一眼カメラを購入する前に知っておきたいポイントをいくつか紹介します。
デジタル一眼カメラの魅力は何と言っても「高画質」に撮れることです。これは、スマートフォンよりも大きな撮像素子(イメージセンサー)を搭載しているため。特に、動く被写体や夜景など撮影が難しいシーンで大きな違いが出ます。ノイズが少なく、きれいな色の写真を撮ることができます。さらに、デジタル一眼カメラはボケの大きさや美しさも特徴。最近ではスマートフォンでも擬似的に背景をぼかすことができますが、デジタル一眼カメラで撮影した写真と比べると差があります。
デジタル一眼カメラは「撮影に特化した操作性」を採用しているのもポイント。製品によりますが、大きなレンズを装着した場合でもしっかりと握れるグリップや、明るいシーンでも被写体を確認できるファインダーなどを搭載しています。狙ったタイミングでシャッターボタンを押して写真を撮る楽しさを存分に味わえます。
デジタル一眼カメラの特徴として押さえておきたいのが「レンズを交換できること」です。レンズを交換することで、広角レンズで目の前の雄大な風景を切り取ったり、望遠レンズで野鳥など遠くにいる被写体を大きく写したり、マクロレンズで肉眼では見えない世界を撮影したりと、多彩な撮影を楽しめます。
デジタル一眼カメラというと、大きなボディの「一眼レフカメラ」を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、最近は「ミラーレス一眼カメラ」という新しいタイプが主流になっています。
ミラーレス一眼カメラの大きな特徴は、一眼レフカメラのようなミラー構造がないため、カメラ本体を小型・軽量化できることです。搭載するファインダーは、光学ファインダーではなく、ライブビュー映像が表示される電子ビューファインダーなので、仕上がりの明るさや色を見ながら調整できるのも使いやすい点です。さらに、最新のミラーレス一眼カメラは、一眼レフカメラと比べてオートフォーカスや連写などの性能も飛躍的に向上しています。 性能の高さや選択肢の多さを考慮すると、今デジタル一眼カメラを購入するならミラーレス一眼カメラをファーストチョイスにするようにしましょう。
デジタル一眼カメラを選ぶ際に注意したいのが「マウント」です。マウントとは、カメラにレンズを固定させる取り付け部分のこと。マウントの規格が同じでないと、レンズをカメラに装着することができません。
覚えておきたいのは、メーカーやカメラのブランド/シリーズによってマウントが異なっているということ。カメラやレンズを購入する歳は、必ずマウントの規格を確認しましょう。
主なカメラメーカーが採用するミラーレス一眼カメラのマウント
メーカー | ブランド/シリーズ | マウント |
---|---|---|
キヤノン | EOS R | RFマウント |
ニコン | Z | Zマウント |
富士フイルム | GFX | Gマウント |
X | Xマウント | |
パナソニック | LUMIX S | ライカLマウント |
LUMIX G | マイクロフォーサーズ | |
OMデジタルソリューションズ | OM SYSTEM | マイクロフォーサーズ |
ここでは撮りたい被写体に応じた選び方のポイントを解説。目的や被写体に応じたカメラを選ぶことは、より楽しくきれいな写真を撮ることの第一歩です。
家族や子どもを被写体にした日常のスナップ写真や旅行写真を撮ることが多いのなら、よりコンパクトなカメラを選ぶとよいでしょう。最近のミラーレス一眼カメラはどれも小型・軽量化されていますが、そのなかでも重量が400gを切るモデルに注目してください。カバンの中に入れて持ち運びやすいというだけでなく、首や肩からぶら下げて持ち運んでも負担を感じにくいサイズ感に収まっています。
運動会やスポーツなど素早く動く被写体を撮りたいのなら連写速度に注目してください。連写速度が速いほうが、一瞬の動きや表情を記録できる可能性が高くなります。最低でも1秒間に10コマ以上、欲を言えば20コマを超える枚数を撮れるミラーレス一眼カメラを選びたいところ。20コマを超える連写性能を持つ最新モデルであればオートフォーカスの性能も高く、満足できる撮影ができるはずです。
夜景や屋内などの暗い場所をきれいに撮るには、撮像素子(イメージセンサー)の大きさが重要です。撮像素子はいくつかの大きさがありますが、なかでも「フルサイズ」は、ノイズを抑えて、より美しい色で表現できます。フルサイズセンサーを搭載するカメラは高額なものが多いですが、旧モデルを中心に比較的安く手に入れられるものも用意されています。
プロ用から初心者向けまで充実したラインアップを誇る「EOSシリーズ」を長年にわたり展開。撮像素子やオートフォーカスなどに独自機能を搭載し、快適かつ高画質に撮影できるカメラに徹底的にこだわっているのが特徴です。ミラーレス一眼カメラは「EOS Rシリーズ」としてラインアップしています。
CANON(キヤノン) ミラーレス一眼カメラ 製品ラインアップ
※ラインアップ図は2024年11月25日時点での情報をもとにまとめています。
※プロ/ハイアマチュア/ミドルクラス/エントリーのカテゴリーは、メーカーのグレード表記、価格.com最安価格などを参考に決定しています。
EOS R5 Mark II
ハイアマチュア向けの高性能なフルサイズミラーレス一眼カメラです。フラッグシップモデル「EOS R1」と同じエンジンシステム「Accelerated Capture」を搭載し、高いオートフォーカス性能と連写性能を実現しています。
EOS R10
APS-Cサイズの撮像素子を搭載するエントリー向けのモデルです。キヤノンの入門機の中では上位に位置しており、小型・軽量ボディに上位モデル「EOS R3」譲りの高性能なオートフォーカスシステムを搭載しています。
プロ用から初心者向けまで、ニコンクオリティにこだわった質実剛健なカメラを長年にわたって展開する大手メーカー。ファインダーの見え方やシャッターフィーリングなどの操作感を含めて、カメラとしての使い勝手に徹底追求しているのが特徴です。ミラーレス一眼カメラは「Zシリーズ」を展開しています。
ニコン(Nikon) ミラーレス一眼カメラ 製品ラインアップ
※ラインアップ図は2024年11月25日時点での情報をもとにまとめています。
※プロ/ハイアマチュア/ミドルクラス/エントリーのカテゴリーは、メーカーのグレード表記、価格.com最安価格などを参考に決定しています。
Z6III
ハイアマチュア向けの高性能なフルサイズミラーレス一眼カメラです。フラッグシップモデル「EOS R1」と同じエンジンシステム「Accelerated Capture」を搭載し、高いオートフォーカス性能と連写性能を実現しています。
Z50II
フラッグシップモデル「Z9」と同じ画像処理エンジン「EXPEED 7」するエントリーモデル。9種類の被写体検出に対応するうえ、最高約30コマ/秒の超高速連写にも対応し、エントリー機ながら動く被写体に強いカメラに仕上がっています。
フルサイズミラーレス一眼カメラをいち早く商品化するなど、最新技術を搭載したモデルを積極的にリリースする大手メーカー。オートフォーカス性能の高さでも定評があります。ここ10年のミラーレス一眼カメラ市場を引っ張ってきた存在で、充実した動画撮影機能にも特徴があります。
SONY(ソニー)ミラーレス一眼カメラ 製品ラインアップ
※ラインアップ図は2024年11月25日時点での情報をもとにまとめています。
※プロ/ハイアマチュア/ミドルクラス/エントリーのカテゴリーは、メーカーのグレード表記、価格.com最安価格などを参考に決定しています。
α7C II
重量約514g(バッテリー、メモリーカードを含む)の小型・軽量なフルサイズミラーレス一眼カメラ。小型・軽量ながらボディ内手ブレ補正と電子ビューファインダーを搭載しており、一眼カメラらしい撮影を楽しめる1台です。
VLOGCAM ZV-E10 II
動画撮影向き「VLOGCAM」シリーズのエントリーモデルです。小型・軽量ボディに上位機「α6700」と同等の裏面照射型COMSセンサーを搭載し、高画質・高性能を実現。「動物」「鳥」の検出に対応するなどオートフォーカスも進化しています。
APS-Cサイズの撮像素子を採用する「Xシリーズ」と、ラージフォーマットセンサーを採用する「GFXシリーズ」を展開。アナログの操作性を大事にしたデザインや、フィルムメーカーならではの色再現性にすぐれた画質など、写真好き・カメラ好きから評価されるカメラを商品化するのがうまいメーカーです。
富士フイルム(FUJIFILM) ミラーレス一眼カメラ 製品ラインアップ
※ラインアップ図は2024年11月25日時点での情報をもとにまとめています。
※プロ/ハイアマチュア/ミドルクラス/エントリーのカテゴリーは、メーカーのグレード表記、価格.com最安価格などを参考に決定しています。
X-T5
「Xシリーズ」の高性能なAPS-Cミラーレス一眼カメラです。有効約4020万画素の裏面照射型センサーやボディ内手ブレ補正を搭載しながらも小型・軽量ボディを実現。写真機としての完成度の高さから人気を集めている1台です。
X-M5
「Xシリーズ」の現行モデルとして最小・最軽量のエントリーモデル。「フィルムシミュレーションダイヤル」を搭載し、仕上がり設定を選択しながら多彩な撮影を楽しめるのが特徴です。縦長動画を記録できる機能も利用できます。
フルサイズミラーレス一眼とマイクロフォーサーズ機をラインアップする「LUMIXシリーズ」を展開。「生命力・生命美」をコンセプトに、一貫した画質設計を採用しているのが特徴です。動画撮影機能が充実しているのも押さえておきたいポイントです。
パナソニック(Panasonic) ミラーレス一眼カメラ 製品ラインアップ
※ラインアップ図は2024年11月25日時点での情報をもとにまとめています。
※プロ/ハイアマチュア/ミドルクラス/エントリーのカテゴリーは、メーカーのグレード表記、価格.com最安価格などを参考に決定しています。
LUMIX S9
フラットボディが特徴的なフルサイズミラーレス一眼カメラ。「LUMIX Sシリーズ」史上最小・最軽量ボディを実現しています。小型・軽量ながらボディ内手ブレ補正を搭載しており、手ブレを抑えて撮ることができます。
LUMX G100D
VLOGなどの動画撮影にも活用できる小型・軽量なマイクロフォーサーズ機。電子ビューファインダーを搭載しながら重量は約346g(バッテリー、メモリーカードを含む)に抑えられています。
OMデジタルソリューションズは、オリンパスの映像事業が独立して誕生したカメラメーカー。「OM SYSTEM」ブランドでマイクロフォーサーズ機をラインアップしています。防塵・防滴性能を有した信頼性の高い小型カメラを作るのがうまく、自然風景や野生動物などアウトドアでカメラを活用する人から支持されています。
OMデジタルソリューションズ (OM Digital Solutions) ミラーレス一眼カメラ 製品ラインアップ
※ラインアップ図は2024年11月25日時点での情報をもとにまとめています。
※プロ/ハイアマチュア/ミドルクラス/エントリーのカテゴリーは、メーカーのグレード表記、価格.com最安価格などを参考に決定しています。
OM-1 Mark II
マイクロフォーサーズミラーレス「OM SYSTEM」のフラッグシップモデル。従来モデルの基本スペックを継承しつつ、AF・連写性能を強化したほか、「ライブGND(グラデーションND)」という世界初の撮影機能を新たに搭載しています。
OM-5
小型・軽量と高性能を両立したマイクロフォーサーズ機です。防塵・防滴・-10度耐低温ボディに、かつてのフラッグシップモデル「E-M1 Mark III」の基本性能を搭載。「ハイレゾショット」などの独自撮影が充実しているのも魅力です。
光学ファインダーにこだわるなら、一眼レフカメラに注目しよう
デジタル一眼カメラの主流がミラーレス一眼カメラになり、最近は、一眼レフカメラの新製品の数が大きく減ってきています。リコーイメージングは「PENTAX」ブランドの一眼レフカメラを継続しているものの、他メーカーの開発体制はミラーレス一眼カメラに完全にシフトしています。しかし、一眼レフにはミラーレス一眼カメラにはない魅力があります。それは光学ファインダー。レンズを通った景色を光学ファインダーで見ながら、仕上がりを想像してシャッターを切れるのが一眼レフカメラの特徴です。光学ファインダーでの撮影を楽しみたいなら、数は減ってきていますが一眼レフカメラにも注目してください。
撮像素子(イメージセンサー)とは、レンズからの光を受光し、電気信号に変換する電子部品のこと。サイズは大きい順に、フルサイズ、APS-C、フォーサーズ(4/3型)の3種類に分かれています。サイズが大きいほうがより高画質に撮ることができます。
撮像素子で製品を選ぶ
撮像素子の有効画素数が多いほど解像感の高い写真を撮ることができます。特に風景写真を撮影することが多いのなら、有効画素数の多いものを選ぶとよいでしょう。ただし、製品にもよりますが、画素数が多くなると価格も高くなる傾向があります。
有効画素数で製品を選ぶ
撮像素子の前面に配置されるローパスフィルターを省略することで、被写体のディテールをよりシャープに記録できます。最近はローパスフィルターレス仕様の製品が増えています。ただし、被写体によってはモアレや偽色が目立つ場合があります。
カメラを手持ちで撮影するときに発生する手ブレの影響を抑える機構のこと。この機構が付いていると、より遅いシャッタースピードでも手ブレのない写真を撮ることができます。レンズ内手ブレ補正とボディ内手ブレ補正の2種類があって、両者を併用することで高い補正効果を発揮する機種もあります。
自分撮り機能を搭載するカメラは、180度回転する背面モニターを採用しています。なかには、自分撮り時に自動的にセルフタイマーが働いたり、美肌機能が働いたりといった工夫が施されている機種もあります。
入門機のなかには、カメラ本体にフラッシュ(ストロボ)を内蔵するモデルが用意されています。暗所や逆光時などで明るく撮りたい場合に内蔵フラッシュがあると便利です。
バリアングル方式の背面モニターは、モニターを左右方向に開いた状態で上下方向に角度を自由に変えられます。高い・低い位置にカメラを構えたときに構図を確認しやすく、自分撮りにも便利です。
チルト方式の背面モニターは、モニターを引き出すように操作して上下方向に動かせます。上方向にだけ動くもの、上方向にも下方向にも動くもの、180度動いて自分撮りに対応するものなどがあります。
4KはフルHDよりも高解像度な動画のこと。横の解像度が約4000ピクセル(3840ピクセル)なので4Kと言います。4K対応のカメラなら、より解像感の高い動画を撮影できます。
防塵・防滴仕様のカメラは、ボディ各所にシーリングを施すことで内部に水滴や埃が入らない設計になっています。防塵・防滴タイプのレンズと組み合わせることで、より高い効果を発揮します。