Q4Wineについて(Wine環境を分ける例/RPGツクール2000,2003作品・前半・2009/12/2現在)
「Q4Wineについて(Wine環境を分ける例/foobar2000・2009/10/23現在)」に続いて、Q4WineでRPGツクール2000,2003作品向けのWine環境を作成して用いる流れを扱う。
Wine環境の作成
Wine環境の作成手順は「Q4Wineについて(Wine環境を分ける例/foobar2000・2009/10/23現在)」と同様で、ここでは名前を「RPG2k2003」とする。
RPGツクール作品ではDirectDrawのレンダラ設定(DDraw Renderer)を「opengl」にすると既定の「gdi」よりも描画速度が若干改善される(実験で確認済み)ので、ウィザードの途中でこれだけは変更しておいたほうがよい。
DirectXをwinetricksでインストール(一部RPGツクール2000作品のMP3再生対策)
一部RPGツクール2000作品でMP3ファイルが正常に扱えずに進行に支障が出るのだが、これを回避するためにWindows版DirectXが役に立つことが以前の記事で分かっているため、winetricksにてインストールする。
メインウィンドウの「Setup」タブの「Current Prefix」が今回作成したもの(RPG2k2003)であることを確認して下の「System Software」タブから「directx9」をインストールする。
フォントの用意(埋め込みビットマップの綺麗なメッセージフォントを用いる)
Wine上のRPGツクール2000,2003作品におけるメッセージのフォントについてはまとめドキュメントにまとめた通りで、「NFモトヤシータ゛1等幅」(ファイルnfc1kp.ttc内)かバージョン1.0.8の「IPA モナー ゴシック」(ファイルipag-mona.ttf)のどちらかを「MS ゴシック」として置換する設定を行うかWine環境内のフォント用フォルダ(C:\WINDOWS\Fonts\)に入れるかする。
本記事では、より簡単に操作を行うためにフォント用フォルダに入れることにする。nfc1kp.ttcもしくはipag-mona.ttfのあるディレクトリをNautilus,Thunar,DolphinなどのGUIファイルマネージャで開いておき、Q4Wineのメインウィンドウ「Programs」タブの「Prefixes」の「RPG2k2003」の項目のコンテキストメニューから「Browser - Open prefix directory」で開いたファイルマネージャでdosdevices/c:/windows/Fonts/もしくはdrive_c/windows/Fonts/のディレクトリをたどり、ここにフォントファイルを(ドラッグ・アンド・ドロップなどで)コピーする。
サウンドの設定
「system」フォルダの「winecfg」を実行し、「オーディオ」タブからサウンドドライバを「ALSA」にしておく。サウンドデーモン(PulseAudioやJACK Audio Connection Kit)が原因で直接ALSA上に出力できない場合はALSAのプラグインによりそちらに回すようにすると音は鳴るが、音が頻繁に切れる場合があり、一時的にサウンドデーモンを止めて起動するほうが良い気がする。
また、2000作品で一部効果音が途中で正常に鳴らなくなる*1ことがあるのを回避するのに「DirectSound」の「ハードウェア・アクセラレーション」を「Emulation」にすることが有効であることが以前の記事で分かっているため、これも設定しておく。
出力先MIDIデバイスについては、デバイス(TiMidity++のような仮想デバイスを含む)が1つしかなければそれが用いられるので特に設定は不要だが、複数あってどれかを指定したいのであれば「Wine上のMIDIマッパーについて」や「Wine上でMIDIマッパー設定が行えるGUIツールについて(前半)」「Wine上でMIDIマッパー設定が行えるGUIツールについて(後半)」を参考に設定しておく。
TiMidity++を用いたい場合は「Q4Wine動作時にのみTiMidity++(alsaseqインターフェース)を動かす」が役に立つかも知れない。TiMidity++自体はWineとは別にサウンド出力を行うが、ALSA,OSS,JACK,PulseAudio(libao経由)あたりはサポートされているため、サウンドシステムの関係で出力がされないといったことは起こりにくい。
(「Q4Wineについて(Wine環境を分ける例/RPGツクール2000,2003作品・後半・2009/12/3現在)」に続く)
関連記事:
- TiMidity++をWineのMIDIデバイスとして使用する
- Wine上のRPGツクール2000作品の動作についてのその後(2008/7/13現在)
- Wine上のMIDIマッパーについて
- Q4Wineについて(概要とディストリのパッケージ・2009/10/15現在)
- Q4Wineについて(初期設定・2009/10/16現在)
- Q4Wineについて(ランチャアイコンとwinetricksについて・2009/10/20現在)
- Q4Wineについて(Wine環境を分ける例/foobar2000・2009/10/23現在)
- Q4Wine動作時にのみTiMidity++(alsaseqインターフェース)を動かす
- Wine上でMIDIマッパー設定が行えるGUIツールについて(前半)
- Wine上でMIDIマッパー設定が行えるGUIツールについて(後半)
- Q4Wineについて(Wine環境を分ける例/RPGツクール2000,2003作品・後半・2009/12/3現在)
使用したバージョン:
- Q4Wine 0.114-r1
- Wine 1.1.33
*1:手元のWine 1.1.33の時点では該当する設定を適切にしないと効果音の遅延が発生している