【豊島将之七段インタビュー】
――今日の相居飛車の力戦形は予定の作戦ですか。
「そうですね、はい」
――▲3四銀(37手目)に△4四銀とかわされたあたりはいかがでしたか。
「苦しいなと思っていました」
――8四と8五に香を並べられたあたりはいかがですか。
「そこも悪いと思っていました」
――どのあたりで、形勢の好転を感じましたか。
「▲7七桂(71手目)と跳ねてから、ちょっと好転していったかと。その局面はまだ悪い可能性が高いですが」
――勝ちになったと思われたのはどのあたりでしょうか。
「▲1三桂成(129手目)としたところで」
――棋聖戦では初めての番勝負登場です。
「一生懸命やりたいと思います」
――タイトル戦には3度目の登場です。
「そうですね、結果が出せるように工夫して戦いたいと思います」
――羽生棋聖についてはどのように感じていますか。
「全体的に非常にレベルが高い将棋で、どういう形になってもいい将棋を指されるので。こちらも自分の良さを出したいと思います」
――五番勝負に対する意気込みをお願いします。
「(タイトル挑戦は)3回目なので、結果を出したいと思います」
【佐藤天彦八段インタビュー】
――今日は横歩取りにはなりませんでした。
「そうですね。今日の出だしだと横歩取りにはできません」
――途中、控室では後手が指せるのではないかと見られていましたが、ご自身ではいかがでしたか。
「難しいとは思いましたが、悪いとまではいかないかなと。指せる局面もあったかと思います」
――悪くなったのはどのあたりだと思いますか。
「ちょっと、いまは分からないですね」
(八雲)
145手まで豊島七段が勝ち棋聖初挑戦を決めた。終局は20時17分、消費時間は▲豊島3時間58分、△佐藤3時間59分。
羽生棋聖と豊島七段の第86期棋聖戦五番勝負第1局は6月2日(火)兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」にて行われる。
(吟)
図は19時35分過ぎの局面。
先手がいよいよ寄せに出ていますが、その手順は決して簡単ではありません。7七の銀が質駒なので、それを取る手をうまく決め手にできるかどうかです。佐藤八段もまだ諦めた雰囲気ではなく、最後まで頑張って逆転を目指しています。局面はまだ予断を許しません。
(八雲)
△2八歩~△2九歩成~△2八とと着実な攻めを見せた後手に対して、豊島七段は▲6四歩(左図)と垂らしました。この手は次に▲6三銀が厳しい狙いで、△6四同飛には▲2四歩△同金を利かしてから▲5五銀がうるさい攻め。この手が指されて、控室では「差が詰まった印象」と言われ、検討の変化の中では、先手良しとなるものも見られるようになりました。
▲6四歩に対して、佐藤八段は長考して△8四香と設置。▲7八金の受けにさらに△8五香打と重ねて▲9六銀と受けさせることに成功します。銀を使ってしまった先手は▲6三銀や▲5五銀の筋を失なってしまいました。そこで△6四飛(右図)と歩を払って後手好調な流れですが、まだ簡単ではなく、ひところに比べると先手が差を縮めているのは間違いないようです。
控室では「(58手目)△2八歩以下、格調高く着実に迫った手は、ここまで進んでみると少し甘かったかもしれない」と言われています。