フィラメント ― 漆原友紀作品集

フィラメント~漆原友紀作品集~ (アフタヌーンKC)

「蟲師」の漆原友紀の短編集。別名で書いていた古い作品と、最近の短編とのミックスとのこと。確かに見ていくと、一部のモノは絵柄がものすごく違う。

全体的に、「蟲師」にあるような微妙な殺伐感が漂っている。蟲師と違って舞台が現代日本のものが多いが、そこにもひそやかに生と死がテーマとして織り込まれていて、妙に頭に残る。

「蟲師」の元になった「虫師」という作品が載っている。２話分しかないが、これはこれで面白い。作者曰く、「虫師」は「蟲師」の原型ではあるが、直接は繋がってはいないとのこと。飽くまでも「蟲師」は現実とは違う世界の話であり、「虫師」の登場人物がギンコの生まれ変わりなどということはないそうだ。

古い作品は短いものが多い。本当に短くて、４ページほどしかない。あまりに短すぎて余韻とか雰囲気を味わう前に終わってしまうのでちょっともったいない気がする。しかし現在の漆原友紀の原型をそこに見てとることができる。

各話に関する作者本人のコメントもあって、なかなか楽しめた。単純な面白さでいえば「蟲師」の方が断然面白いけれどね。