自動車保険の個人賠償特約とは?補償対象や補償範囲を解説
この記事では、自動車保険の個人賠償特約について補償の対象や範囲のほか、加入する際の注意点などを解説します。自動車保険の加入を検討している人は、特約をつける際の参考にしてください。
自動車事故以外の損害を補償する個人賠償特約
なお、示談交渉サービスがついている特約であれば、損害を与えてしまった相手との交渉も保険会社に任せることができます。また、損害額の確認や示談に関する書類のやりとりなどを、損害賠償の対応に慣れた保険会社の担当が代理で行ってくれるため、自分で対応する必要がなく安心です。
ただし、示談交渉サービスは常についているとは限らないため、希望する人は、個人賠償特約の補償内容を確認しておきましょう。
なお、詳しい補償対象者や補償内容については後述します。
個人賠償特約で補償される人
・自動車保険の記名被保険者本人
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者または配偶者と生計を一にする同居親族
・記名被保険者または配偶者と生計を一にする別居かつ未婚の子
例えば、父(単身赴任)、母、長男(結婚して別居)、次男(大学生で別居)という家族がいた場合、父または母が自動車保険の賠償責任特約をつけた保険の記名被保険者になれば、既婚で別居している長男以外の3人が賠償責任特約の対象になります。
ところが、自動車保険の賠償責任特約をつけたのが次男だった場合は、配偶者や生計を一にする同居親族、生計を一にする別居かつ未婚の子が非該当になるため、本人のみが賠償責任特約の対象となります。自動車保険の記名被保険者が変わると、特約の対象となる家族も変わってしまう点に注意しましょう。
なお、自動車保険に加入する際は、運転者の年齢を設定しますが、個人賠償特約は運転とは関係がないため、何歳を設定しても上記の範囲に該当する全員が補償の対象です。仮に運転者の年齢を30歳以上に設定し、次男が30歳未満だったとしても、個人賠償特約の対象になります。
また、年齢の下限はないため、未成年の子供が他人に損害を与えた場合でも保険を利用することができます。
個人賠償特約で補償対象となるケースとは?
続いては、個人賠償特約で補償を受けることができる、具体的な事例について見ていきましょう。
・子供がボール遊びをしていて他人の家の窓ガラスを割ってしまった
・飼い犬が遊びに来た他人を噛んでケガをさせてしまった
・自転車を運転中、他人にぶつかってケガをさせてしまった
・アンティークショップで転倒して店内のガラス製品を壊してしまった
・自宅の塀が崩れて通行人にケガをさせてしまった
また、大人であっても、うっかり鞄が店の商品にぶつかって商品を破損してしまうといった事故は十分起こりうるため、個人賠償特約でリスクに備えておくと安心です。
個人賠償特約は自転車損害賠償責任保険の加入義務にも対応できる
ただし、自動車保険の損害賠償責任特約で補償されるのは、他人に自転車をぶつけて損害を与えてしまったときの損害賠償費用のみです。そのため、自転車事故で自分がケガをしてしまった場合の治療費や死亡保険金などに対しては支払われません。
なお、自分のケガなどに対する補償も希望する場合は、別途傷害保険に加入する必要があります。
個人賠償特約をつける際の注意点
万一、補償を受けることを想定していたのに受けられなかった場合は、大きなトラブルにつながりかねません。自動車保険に個人賠償特約をつける際に、特に注意しておきたいポイントをご紹介します。
補償を受けられない場合がある
・家族への損害賠償
個人賠償特約は、第三者に損害を与えた場合のみ適用されます。同居している祖母にぶつかって転倒させ、ケガをさせたといった場合は補償対象になりません。また、自宅の飼い犬に噛まれたといった場合も同様に補償対象外となります。
・借りたものに対する損害賠償
友人に借りたものを壊してしまった場合、借りたものの管理責任は借りた側にあるとされ、個人賠償責任保険の補償対象外となります。個人賠償特約では、他人が管理しているものに対する損害が対象になるため、友人宅でうっかり家の中のものを壊してしまった場合は補償対象です。
・業務上の過失による損害賠償
仕事中に、事務所や取引先の備品を壊してしまった場合のような業務上の事故については、個人賠償特約の対象外です。
・自動車を運転中の損害賠償
自動車を運転中に事故を起こして損害賠償が必要になった場合は自動車保険の対象となり、個人賠償特約の対象ではありません。
補償の重複
複数の保険会社で個人賠償特約に加入していたとしても、賠償額を上回る金額を受け取ることはできません。仮に3社で個人賠償特約に加入していたとしても、賠償額の3倍のお金が支払われるわけではないのです。そのため、個人賠償特約は1つの保険会社で加入しておけば、それ以外では加入は不要となります。
個人賠償特約は、自動車保険のほか、火災保険や一般的な傷害保険などにも付帯できるので、重複してしまわないように注意が必要です。
なお、クレジットカードには、個人賠償責任保険が付帯していることもあります。保有しているクレジットカードに個人賠償責任保険が付帯している場合、補償内容が十分であれば新たに特約をつける必要性は低いため、自分の加入している保険や特約、クレジットカードの保険などを確認して、無駄のない保険加入を心掛けましょう。
付帯した保険を解約した場合
保険は、原則としてあいだを開けずに契約し続けることが大切です。自動車を日頃から利用しているときに保険を切り替えるのであれば、通常、途中のブランクなく切り替えを行います。
しかし、一度自動車に乗るのをやめて、数ヵ月後に再度乗り始めるといった場合は、保険期間に空白ができる可能性があり、個人賠償特約のない期間が発生してしまう可能性があります。
また、保険を切り替える場合も、自動車保険のオプションとして個人賠償特約を付帯させているのであれば、新たな自動車保険でも忘れずに特約をつけましょう。そのためには、個人賠償責任を負った際の補償をどの保険でカバーしているのかを確認しておく必要があります。自分が加入している保険の補償内容をしっかりチェックしておくと安心です。
自動車保険へ加入の際は個人賠償特約も確認しよう
ただし、個人賠償特約がつけられるのは、自動車保険だけではありません。火災保険や傷害保険などにつけることも可能です。個人賠償特約は、あくまでも賠償額を補償するための保険のため、複数の保険に特約をつけていたとしても、受け取れるのは補償額までです。そのため、複数契約するメリットは少ないと考えられます。
なお、個人賠償特約の細かい補償内容や補償額は契約によって異なるため、補償額の上限が大きい特約や示談交渉サービスがついている特約を選ぶことをおすすめします。自動車保険に加入する際は、個人賠償特約の内容や金額についても、併せてチェックしましょう。
事故は、いつどのような形で起こるかわかりません。万一、他人に損害を与えてしまったときのために十分な賠償を行えるようにしておくことが大切です。
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