引退前の三崎和雄にインタビュー。
ポール・デイリー戦前のちょっとした一挿話。
三崎 ……海外だと、コミッションの人間がバンテージを巻くじゃないですか。その時に、打撃の選手と寝技の選手で巻き方をちょっと変えるみたいなんですよ。
──あ、そうなんですか。
三崎 それで、係の人が「お前は今回、寝技で行くのか、打撃で行くのか?」って聞いてきたんですよ。…(略)…「俺は打撃で行くよ」って答えたんです。そしたら、KJ・ヌーンが同じ控室だったんですけど、彼のセコンド陣がみんな笑ったんですよ。「こいつ、何言ってんだ?」みたいな感じで。その時に僕はかなりイラッと来て、何か言ってやろうかなと思ったんですけど、そこはちょっと我慢して。
──まあ試合前ですしね。
三崎 それで試合を終えて帰ってきたら、「お前、すごいヤツだな! 打撃でアイツが下がったのを初めて見たよ!」って言ってくれて。試合前に言わなくてよかったなと(笑)。
まあ、相手がポール・デイリーと来れば、KJヌーンも最初から悪気があったでもないだろう。実際、やはりあの試合は、ポールが明白に「精神的に押されていた」ところがハイライトだった。
長渕剛との関係について
既にどこかに書かれていたけど、三崎は長渕剛のツアーに同行し全国を回っていたという。彼が同行してどうなるんだろう?と思わないでもないが、コンサートスタッフなんてたくさんいるわけだし、長渕ぐらいの売れっ子アーチストは「居候」的な誰かがいても全然おかしくないだろう。そこで手伝えることはボディガードも含めいろいろあるだろうし、何より長渕は精神的な準備をいろいろとするタイプで、そこに実績ある格闘者がいれば精神的な面で「相互に」得るものがあるのだと思う・・・てか「思う」も何も、実際そういうことなのだそうだ。
で、長渕ならそういう形で気の合う元格闘家を収入・生活面でサポートすることもできるのではないだろうか。ほかの人が僕もあたしもとやれる再就職場ではなく、ていうか三崎和雄以外にはあり得ないと思うけど(笑)、これほどぴったりな格闘家(いや違った、三崎和雄の)第二の人生はないのだろう。
三崎 自分も・・・格闘技をやってて、精神的に甘えられるというか、寄りかかれる人というのはなかなかいない・・・(略)自分と比較なんかできないですけど、長渕さんもあれだけのステージをやられてる方なんで、非常に孤独を・・・(略)全くジャンルの違う2人が出会い、お互いにそこの部分を尊重し合い、お互いにいいパートナーとなって…リングに上がるまで非常に助けられた・・・(略)
そして長渕剛氏は、以前ゴング格闘技でも特集したことがあるぐらい、肉体的にハードなトレーニングをしているそうだ。三崎インタビューによると
・3時間ぐらいみっちり練習する
・名前を出しちゃうと、引退後の武田幸三もついていけず(笑)、武田はそれが悔しくて引退後も再度本格的な練習を再開した
・56歳!であれだけやれる人はいない
たしかに。デビュー当時のおもかげはなく(そりゃもうとっくにだ)・・・スタッフに暴力沙汰がどうこうとか、そういう悪い評判が立っていたときはむしろ「肉体的にも強い」とはむしろ見なされず「立場をかさにきたパワハラだろう」と言われていた。
いちど逮捕などのトラブルがあり、そこから戻ってきたとき、空手も本格的に始めて肉体を研ぎ澄ました・・・という流れだったような気がする(時系列違ってたらすいません)
長渕剛の歌が好きだ、嫌いだはあるだろうが、「激しく体を鍛えて肉体的に研ぎ澄まされている」というだけでやはり”説得力”が出てくるから不思議だ。