NASAが火星で発見? 『赤いいんげん豆』のような地形

「レッドキドニービーンズ」とは赤いいんげん豆のことで、その形が人間の腎臓に似ていることから名付けられました。NASAの火星探査機が火星の地表で凍った砂丘を撮影しましたが、それはまるで巨大な「豆(レッドキドニービーンズ)」のような形をしています。

この「凍った豆」は、火星にかつて生命を支える水が存在していた痕跡を解明する手がかりになる可能性があります。NASAは、探査機マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)が2022年9月8日に撮影した「凍った豆」のような画像を公開しました。この砂丘は火星の北極に位置し、表面が二酸化炭素(炭酸ガス)の霜で覆われています。

MROに搭載された高解像度撮像装置(HiRISE: High Resolution Imaging Science Experiment)は、この「凍った豆」の詳細な画像を撮影しました。これにより、専門家は火星の霜や砂丘の変化を研究し、火星の過去の環境についてさらに深く理解することを目指しています。

地球の砂丘と同様に、火星の「豆」の形をした砂丘も風の力で少しずつ移動します。風が砂丘の片側を削り、反対側に砂を積み上げることで移動が進みます。ただし、冬になると霜が砂丘を凍らせ、翌春に霜が溶けるまで移動が一時的に止まります。

火星の霜は水ではなく、二酸化炭素(CO₂)から形成されています。この霜は、火星の気候や環境の変化を研究する上で重要な手がかりです。また、火星の過去には水が安定して存在していた可能性があることも示唆されています。

火星の地表に蓄積される炭酸ガスの量は、火星の軸の傾きが太陽に対してどの程度変化するかに影響されます。地球では軸の傾きが小さく、わずかな揺れが発生するだけで、安定した季節の変化をもたらします。一方、火星は軸の傾きが大きく揺れも激しいため、季節の変化が地球よりも非常に激しいと考えられています。

火星の軸が十分に傾いたとき、大量の炭酸ガス氷が溶けて気体となり、大気中に放出されます。この過程で大気層が厚くなり、水が安定して存在できる環境が一時的に形成される可能性があります。

さらに、炭酸ガスの霜がどのように形成され、どのように消えていくのかを研究することで、火星がかつてどのような環境だったのかをより詳しく知ることができます。また、季節ごとの霜の変化を調査することで、炭酸ガスの霜が作り出す地形を特定し、火星の気候がどのように変化してきたのかを理解することが期待されています。

                   
 (翻訳編集 正道 勇)

陳俊村