「103万円の壁」協議再開へ 引き上げ幅めぐり調整続く

2025/02/05
更新: 2025/02/05

自民党、公明党、国民民主党の政策責任者が4日、国会内で会談し、所得税がかかり始める年収の基準「103万円の壁」の見直しに向けた協議再開で合意した。3党は2024年12月に「178万円を目指す」ことで基本合意していたが、具体的な金額を巡る議論が停滞していた。

合意内容と経緯

会談には自民党の小野寺政務調査会長、公明党の岡本政務調査会長、国民民主党の浜口政務調査会長が出席した。2024年12月の3党幹事長合意を踏まえ、与党側が新たな数値案を提示した上で税制調査会長レベルでの協議を再開する方針を確認した。

政府・与党は2025年度税制改正で「123万円への段階的引き上げ」を決定しているが、国民民主党は最低賃金の上昇率を根拠に「178万円」を堅持。生活保護基準を参考にした「156万円」案も党内で浮上している。

各党の主張

自民党内では「150万円程度なら検討の余地あり」とする声がある一方、8兆円規模の財源確保が課題との指摘が根強い。公明党の岡本政調会長は「国民の期待に応える合意点を探る」と述べ、理論的な説明の必要性を強調した。

国民民主党の浜口政調会長は記者会見で「間合いを詰める取り組みを確認した」と説明する一方、早期の協議再開を強く求める姿勢を示した。同党は学生アルバイトの親向け「特定扶養控除」の要件緩和(150万円まで)も併せて主張している。

今後の課題

財務省試算によると、控除額を178万円に引き上げた場合、国と地方で年間7~8兆円の税収減が発生する。与党側は財源確保策として歳出削減や経済効果による税収増を提示しているが、恒久的な解決策は未定だ。

次回協議の日程は未定だが、政府は2025年度予算案の衆院採決(2月中予定)までに結論を出す意向を示している。国民民主党は「予算案賛成の条件」として引き上げ幅拡大を要求しており、今後の駆け引きが注目される。

大紀元エポックタイムズジャパン記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。