真夏の雨が降りしきる中、飼い主さんの家の前にある公園で、小さな鳴き声が響いていました。下校途中の小学生たちがその声を頼りに向かうと、ずぶ濡れで衰弱した姉妹猫を発見。助けを求めて訪ねてきたことが、レモンちゃんとX(ツイッター)ユーザー・バニラさん(@9qh3eaR4d9Zz8oN)との出会いの始まりでした。
小学生が保護したずぶ濡れの姉妹猫
2015年7月、公園で姉妹猫が捨てられているのを発見した小学生たちが、飼い主さん宅を訪ねてきました。
「親の承諾を得るまで預かってほしいと言われました。断るわけにはいかず、姉妹猫を一時的に預かることしたのです」
子猫たちは雨でぐっしょりと濡れ、被毛の色さえわからないほど。タオルで体を拭くと、1匹は黒色、もう1匹は縞模様だとわかりました。衰弱し、寒さで震えていた2匹を見た飼い主さんは、心を痛めながらケアを続けたといいます。
小学生たちは毎日、子猫に会いに来ていましたが、親の承諾が得られず、時間が過ぎていくばかり。やがて、黒い被毛の姉妹猫が力尽きてしまいました。
「いたたまれず、私は、もう1匹の縞模様の子を我が家で引き取ることを決意。そして、小学生のリーダー的な男の子にそのことを伝えました。それが、レモンです」
雨に濡れていた姿から「レイン」と名づける案もありましたが、「悲しい雰囲気になる」と感じたため、その男の子と相談して「レモン」という名前に決まったのです。
玄関でお出迎えーー愛情深く成長したレモンちゃん
過酷な状況から保護されたレモンちゃんですが、性格は明るく人懐っこい子に育ちました。
「保護してくれた小学生たちにかわいがられたおかげでしょうか。人間が大好きなんです。玄関チャイムが鳴ると、知らない人でもおかまいなしにお出迎えしてくれます(笑)」
さらに、レモンちゃんは愛情深い一面もあります。毎晩、飼い主さんにしがみついて眠るのが日課だそうです。
一方で、亡くなった姉妹猫のことを思い出すと、飼い主さんは、今でも胸が締めつけられるような気持ちになるといいます。
「もっとできることがあったのではないかと、後悔の念にさいなまれることがあります」
保護に関わった小学生との再会と未来への思い
レモンちゃんを保護してくれた小学生は、今や大学生になりました。ときどき、レモンちゃんに会いに来てくれるそうです。
「リーダーだった男の子は、自立して環境を整えたら保護猫を迎えたいと言っていました。その気持ちは、亡くなった姉妹猫への弔いになるでしょう」
命のリレーによって救われたレモンちゃんは、飼い主さんとの間に深い信頼と愛情に満ちた温かな絆を育んできました。これからも、その絆を支えに、家族とともに幸せな思い出を重ねていくことでしょう。