SFセミナー2006(とりあえず東企画について)
SFセミナー2006、本会と合宿企画に参加してきました。
http://www.sfseminar.org/
他の企画の感想についても後述しようかと思いますが、話題沸騰(?)の件について。
23:00から始まった「SFとライトノベルの未来社会」(東浩紀)に24:30くらいから参加させていただきました。合宿企画3コマ目「SFでないという部屋」終了後の参加です。したがって企画開始後1時間半の内容に関してはまったく知りません。話題は、YOU TUBEについてとかだったのかな? 僕は3コマ目が終わって、会場がスタッフ部屋→企画部屋に変わるタイミングで企画に参加させていただきました。話題も仕切り直しっぽくなってちょうどよかった。
まず前提として
- 京フェス2003「SF雑誌ってどうよ?」など、東浩紀氏関連の企画・イベントには数回参加しています。が、東さんに個体認識は(たぶん)されていません。
- 東さん書くところの院生氏(http://d.hatena.ne.jp/K_NATSUBA/20060504#1146799876)と泥酔したその友人(M島君)について、書いたものやブログなどを通じてその存在は知ってましたが、面識はありませんでした。かなりハジけていたM島君はともかく、あの部屋にいた誰が院生氏だったのか、いまだによくわかりません(イベント深夜の常として、僕もけっこうアルコール入っていたので)。
ということで、第三者の目として比較的公正にあの企画がどう見えたのか、を書けるような気がします。でもまあ、記憶違いも若干あるかも。その場合、ご指摘お願いします。
- 内容としては某所で企画進行中らしい「東浩紀の想像する40年後の未来像」。
(「それはオフレコですか?」「いや、オープンにしてもらってもかまわない」とのやり取りをした記憶がありますが、まあ某所)
- まず、テキスト+グラフィックによるFLASHアニメレベルのものを作成しプレゼン、さらに大がかりなプロジェクトへと発展させる予定。
- テキスト担当として白羽の矢が立ったのが桜坂洋。
- と東浩紀氏が発表した瞬間、M島君が「なぜ、桜坂洋なんですか! 東さんの桜坂評価は高すぎですよ!」
- 「テキスト担当が誰とか、そんな瑣末な部分で俺の仕事を否定するんだ! SFファンには幻滅するね!」(注:それはM島君の意見であって、SFファンの総意ではないですよ)
ここらへんのやりとりが、
それから前島君を擁護しておけば、桜坂洋が藤崎慎吾よりも抜群にいい、とは言い切れないんじゃないかしら、あの論旨では。世界的に見てもブルース・スターリングとニール・スティーヴンスンくらいしか達成していない水準の仕事を要求するのならば役者が足りない、とはどちらにしろ言えるはずで。人文社会的な議論/教養をベースにしているという意味では新城カズマは悪くはない。正解は士郎正宗なんじゃないかしら、とか思わなくもないけれど。小浜徹也のお前(前島君)は人の恋人に文句を言っているだけだとの比喩も間違ってるとは言わないけれど業界ズレし過ぎていて青臭い議論こそ歓迎されるべきだろうディスカッションの場にそぐうのかどうなのか。
いや、別に東さんが悪いってんじゃないんだけど、やっぱり見たいものが俺とは全然違うんだなあ、と。刺激的な議論を常に展開し続ける第一級の知性である事は間違いないんだけれど、東さん。
人文社会的な議論でツッコミどころが多い、というのが東さんの日本のSF作家に対する評価だったわけで、桜坂洋はその部分で取り分け隙がない作風はしていない、というか、そういう隙の無さをまだ見せていないと思う。
ま、お手並み拝見、というところかしら。
http://d.hatena.ne.jp/K_NATSUBA/20060504#1146799876
につながります。藤崎慎吾の名前が挙がってるのは、『ハイドゥナン』ISBN:4152086556年後の未来像に対し、東氏が不満を感じた、と語ったから。「じゃ、桜坂の代わりに誰がいいわけ?」と訊ねられたM島君(すでにこの伏字に意味はないわけですが)が挙げた名前が新城カズマというわけです。
あとはまあ、東氏の考える40年後の未来像についていろいろ語られたわけですが、ひどく大雑把に書いてしまえば、二層化する社会構造とか、不可視なブラックボックス的労働を担うニート/引き篭もり層などなど。ここらへんはそのうち現物がウェブ公開される予定とのこと。だから「お手並み拝見、ということかしら」なのですね。
場の雰囲気について書いておきましょう。
東氏の日記記述を読まれた人の中には、粛々とした雰囲気の企画に、泥酔したM島君が乱入して台無しになったと誤解されてる方もいるかもしれませんが、そういうわけでもありませんでした。ただし、東氏が考えるように進行しなかったのは事実だと思います。
まず、
- レジュメが用意されているわけではない「東浩紀に訊け!」的な企画だった。当日の進行についてどこまで考えられていたかはよくわからない。
- 東氏も積極的に酒を飲んでいた。
- セミナースタッフの人が探しに行ったけどワインのコルク抜きがなくて、借りたボールペン使って栓ごと中に押し込んで、栓と一緒にボールペンが浮かんでるワインを平気で回し飲みしてるような深夜イベントらしい空気だった。
- 司会・進行の人もいたし、東氏に質問しようとしている人間は(僕含め)何人もいた。東氏が孤立していたわけでも、無秩序状態だったわけでもない。
ということは書いておきましょう。
僕自身が、東氏とM島君のやりとりをどう見たかといえば(以下は僕の妄想です)
M島「あずまん! なんで振り向いてくれないのさ! もっと僕を見てよ!」
東「ハァ? ウザいよお前は。もう、終わったことだろ」
M島「僕は波状言論にすべてを捧げたじゃないか!」
東「M島、とりあえず旅館の周り10キロ走って来いよ、そしたら話訊いてやるから」(これは本当に言った)
でした。想い人につれなくされてしょんぼりしているM島君に「(あずまんにふられても)大丈夫だよ、M島君はみんなに愛されているから」「全国で1万人くらいM島君のファンはいるよ!」(これは僕が言いました)という奇妙な慰め展開になって、
マエジマツリが沸き起こりマエジマニアが大量発生!
前島賢、お前は愛されている。
につながったわけであります。
M島君はハジけてて異様にテンション高かったし、アルコールでココロのたがが外れてたのか、自分の思いのたけをぶちまけてはいたけれど、悪意のある企画荒らしという気はしませんでした。(もし本当に悪質だったならば、確実に強制室外退去させられていたはず)
確かに、東氏の視点に立ってみれば、企画は思うように進行しないわ、話題はループするわでさぞかしうんざりだったと思いますが、アルコール入った深夜の企画が思い通りに進行しないなんて、わりとよくあることなんじゃないかという気もします。実際、前述した「SFでないという部屋」企画だって、誰も予想だにしない奇妙な形での終焉でした。うーむ、どうなんでしょうか。
メールの件についてはさっぱりわかりませんが、とりあえず僕が目にした東企画の様子はこんな感じでした。