前回の更新からまたも2年ほど放置してしまいましたが・・・その間も前回記事で猛プッシュしていた、紙版ブログの雑誌連載は落とさず続けています!
前回記事
紙版ブログ掲載誌:ライブラリー・リソース・ガイド
https://www.fujisan.co.jp/product/1281695255/
そしてそんな紙版ブログ連載をまとめた本『図書館を学問する:なぜ図書館の本棚はいっぱいにならないのか』を、2024年12月25日、青弓社さんから刊行いただきます!
連載時読者の方へ
連載開始から2023年上半期までの連載26本の中から、選りすぐりの14本を全面改稿のうえで収録し、さらに書き下ろし「はじめに」「おわりに」も収録。
連載時は思いついた順でやっているトピックについて、類似テーマ・同一データに基づく記事は並べるなど収録順も工夫し、各章タイトルのテイストもそろえました。
文章はプロの編集が加わって、紙版ブログテイストから「研究者が一般向けに出す本」としてギリギリ許されるくらいのはじけぶりに修正されています。
図表も本として見やすく加工され、連載時は論文からそのまま持ってきて英文のままだったたりしたグラフもきちんと翻訳・加工済み。
ということで、連載をずっと読んでいるよというたいへん有難い方にも、さらに追加でお手元においていただいて損はない一冊となっているかと思います。
ぜひよろしくお願いします!!
連載未読の方へ
連載を読んでいないよ、という方にももちろんおすすめです!
ターゲットとしては図書館そのもの(これはぜひ全国全館種全図書館買っていただきたい)、図書館関係者、図書館情報学関係諸氏はもちろんとして、それ以外にも
- 図書館の話題にちょっと興味がある
- しばしばネットで燃え上がる図書館関連トピックについ惹かれちゃう
といった、はてな界隈にいっぱいいらっしゃる皆さんにもたいへんおすすめ!
・・・と、いうのは煽りすぎとして、客観的に読み物としての面白さはすでに長く連載をやっている著者本人として全然、はかりかねる部分もあるのですが、図書館に限らず本屋それを取り巻く文化、マイナーな学問の研究等に興味がある人も、面白く読んでいただける可能性はあるのでは・・・と思っています。
端的にいうと、このブログのイベント記録の回以外(イベント記録系は連載でもまったくやっていないし、本書にも当然、未収録です)にも興味を持って読んでいただけていた方なら、面白がってもらえるかも、と思っています。
著者本人による各章紹介
ちなみに、「はじめに」「おわりに」以外の各章タイトルと、著者本人による一言アピールは以下の通りです。
第1章 図書館の本棚はいっぱいにならないのか
サブタイトルにもなっている本書を象徴する章。
全図書館関係者絶叫:「いっぱいになっとるわ!」
まあでも、パンクはしていないわけだし、当面は全図書館合計としてはパンクしないんじゃないですかね、という話。
各図書館単位ではパンクしかけてることもある。
第2章 本棚のどこにあるかで本の使われ方は変わるのか
本棚の下の段はシャレにならないくらい目につかないので、置き方を考える必要がある、という話。今も継続している研究テーマでもあります。
本書を収録した図書館もぜひ下段にはおかないでいただきたい。ずっと面出しで展示しておいてほしいです。
第3章 図書館の本棚に書かれている数字はなんなのか
置かれている本のテーマと関係なく、本棚ごとに割り振られている「書架番号」が、本当に必要ですかという問題提起。
その後もシンポジウムとかあるごとに言っていますがいまいち、図書館界からの反応は微妙。燃えるでもなく賛同を得るでもなく。
第4章 なぜ図書館は月曜日に閉まっているのか
素朴な疑問をそのまま提示し、特に解決しないと言う、これも本書を象徴する章。
なんでなんでしょうね?
第5章 図書館を訪れる人は増えているのか、減っているのか
ちょっとずつ図書館に来る人が減っているらしいよ、という話をちくちくつついていく章。
たぶん放っておくとだんだん、図書館の魅力は落ちるので定期的に何か策をうたないといけないんだろうけど、先立つものがいりますよね・・・。
第6章 雨が降ると図書館に来る人は増えるのか、減るのか
素朴な疑問シリーズ。
減る図書館と減らない図書館があるのですが、その違いはどこにあるのか!?
第7章 どんな図書館がよく使われているのか
あまりに漠然とした問いですが、貸出一本にしぼって、図書館と地域の属性から利用頻度を予測できるか、という話。
なぜか東京と四国はすごい精度で予測できるよ! 北海道は壊滅!
第8章 人はどのタイミングで図書館を使うようになるのか
図書館の利用登録をするタイミングと、その後、使い続けるのかどうかという話。
定着する一部の「読書家」とそれ以外がいる、という最近の佐藤の気づきのきっかけでもあります。
第9章 図書館を使っているのはどんな人々なのか
図書館利用者・非利用者を質問紙調査データからクラスター分析にかけ、類型化するという話。
2020年現在では使っている人はだいたい6類型に分かれるよ!
第10章 図書館に税金を使うことは人々にどれくらい認められているのか
国立国会図書館の調査データを使うシリーズ。実は9章もそう。
ちなみにこの章(の元連載)を書いてから「税金で買った本」というマンガの存在を知りました。
第11章 子どもと行きたいのはどんな図書館か
子どもがいる人の図書館利用が、それ以外の人とどうパターンが変わるかという話。
自分に子どもができて車買ったから得た気づきが反映されています。
第12章 「あなた」はなぜ、図書館に行くのか
個人の属性から図書館利用の有無を予測できるか、という話。
趣味:音楽鑑賞と答える人は使わず、囲碁・将棋をしている人は使う傾向があります(一部抜粋)。
第13章 人々は図書館のどんな写真をSNSで発信しているのか
Instagramで「#図書館」がついている投稿を集めてきて分析する、という話。
「#図書館」の多くに実は図書館は写っていない。
第14章 図書館への就職希望者が増えるのはどんなときか
図書館司書資格の取得者数の増減と、どんなデータが相関するか、という話。
単純な採用者数とか内定率は相関しないけど、ある加工をすると顕著な負の相関が発生する、その加工とは?!
以上!
ちょっとでも興味がかすっているところがあれば、ぜひ手に取って読んでみていただければと思います。
「ちょっとかすってるくらいで買うのはいやだ」という場合には、もちろん、図書館で借りていただければ。
そしてお近くの図書館になければ購入をリクエストしていただければ幸い・・・リクエストがかかればこのタイトルの本が図書館に入らないことはまずないかと!(近くの別の図書館から取り寄せられる可能性はありますが)
宣伝記事のおわりに
近年は電子版ブログの方は休みがちですが、本ブログ(前身のはてなダイアリー)開設から18年弱、紙版連載開始からでも8年弱、ついに本ブログ・・・を、もとにした連載を、まとめた本が出るとは。
それもこれも様々な形で支えていただいたまわりの皆様と、読者の方々のおかげです。本当に日々、ありがとうございます。
そしてぜひ、本書もよろしくお願いします!!