被災地でピースサインして記念撮影する由井寅子 日本ホメオパシー医学協会会長
日本ホメオパシー医学協会会長にしてホメオパシー博士の由井寅子氏が事前の予告通りに被災地入りした。同協会のウェブサイトでは写真と動画付きでその模様が紹介されている。
4月1日 福島
「放射線、X-ray、心経、祝詞のレメディー」を撒く由井先生ご一行
(引用元:http://jphma.org/gienkatsudo/20110401_fukushima.html)
そう。「恥と思う」べきなのは、むしろ「得体のしれない」砂糖玉を撒いて義捐活動を気取っている由井氏らの方だろう。
「アクティブプラント、カブトムシ入りの腐葉土、ひまわりの種」を「寄贈」
果樹園の一部を借りて、由井会長を中心として、放射性物資による土壌汚染を改善していく研究が行われていきます。
協力する果樹園には、アクティブプラント、カブトムシ入りの腐葉土、ひまわりの種が寄贈されました。
(引用元:http://jphma.org/gienkatsudo/20110401_fukushima.html)
由井氏がヒマワリの栽培が放射性物質による汚染除去に有効だと主張していたこととその問題点については、以前のエントリーで指摘した通りである。
「アクティブプラント」が何なのかは私にも分からない。「カブトムシ入りの腐葉土」がどう「放射性物資による土壌汚染を改善していく」のかも私には全く分からないが、一般的に果樹園においてカブトムシが害虫として扱われることは承知している。
県庁で担当者に義捐金の「目録」を受け渡す由井先生
(引用元:http://jphma.org/gienkatsudo/20110401_fukushima.html)
今まさに多忙を極めていることが容易に想像できる福島県の防災担当者に、義捐金の「目録」を直接手渡す由井氏。
恥ずかしげもなく
『福島県庁の7階が受け渡し場所とのことでしたが、エレベータがとまっておりました。担当の方2名がわざわざ2階まで降りてきてくださり対応をいただきました。。』
などと書いてあるが、そんなことを恐縮する余裕があったら、端から「目録」を手渡しするなどというパフォーマンスじみた行為自体を遠慮するべきだ。
4月2日 仙台
瓦礫をバック撮った写真にポエムを重ねた日本ホメオパシー医学協会
(引用元:http://jphma.org/gienkatsudo/20110402_sendai.html)
百歩譲って、被災地の実態を伝えること自体には意義を見出すことは可能かもしれない*1。しかし、そこに東京から来た由井寅子氏が映り込む必然性はないし、ましてや下らないポエムをかぶせる必要はないのだ。もしかすると、必要がないどころの話ではないかもしれない。それは、少なくとも私には、災地の惨状を「背景素材」としてポエムの演出に利用しているようにしか見えないからだ。
被災地でピースして「記念撮影」する由井先生
(引用元:http://jphma.org/gienkatsudo/20110402_sendai.html)
被災地に笑顔があってはいけないとは言わないし、由井氏であろうと誰であろうと思わず笑顔になってしまうことがあるのは仕方がないことだ。しかし、「義捐活動」を報告するための写真で笑顔でピースする必要があっただろうか。「記念撮影」という言葉が実際に使われていることも彼女らの「義捐活動」の異常性を示す傍証と言えるだろう。
4月3日 盛岡
「土地の浄化」を撒いて、鎮魂を願う由井先生
(引用元:http://jphma.org/gienkatsudo/20110403_morioka.html)
由井氏の行動が純粋に善意によるものだったとしても、こんなわけの分からないホメオパシーグッズで鎮魂を願われて良い気持ちがするだろうか。少なくとも私は写真を見ただけで非常に不愉快だ。
必然性もなく被災地の写真の映り込む由井先生
(引用元:http://jphma.org/gienkatsudo/20110403_morioka.html)
救援活動中の自衛隊関係者と何の必然性もなく現場の写真に映り込む由井氏は比較するのも躊躇われる。不明者の捜索が続けられているかもしれない傍らで、この記念撮影まがいの写真が撮られているかと思うと非常に嘆かわしい。
由井氏らは何がしたいのか、何をしているのか。
由井氏らの心中は想像するしかない。由井氏の行為は倫理的にも科学的にも誤りだらけだが、彼女が善意に基づいて行動している可能性を完全に排除することはできない。
想像ではなくはっきりと言えることは、由井氏らが、現実に被災地において無神経で許しがたい行動をとっているという事実だけだ。少なくとも私はそう思う。
*1:しかし、それは彼女らの仕事ではないだろう。