ソニーが、ヒートウェイヴ山口洋の自分自身の楽曲に関する申し出を断ったもよおです。
山口の12月11日の日記より(適宜改行を入れてます)。
夜、配達証明付きの郵便が届いた。それはソニーからのものだった。
俺は9月にソニーの法務に出向いた。ネット配信に関して、おかしいと思うことを、おかしいと云いに行った。人の助けも借りて。
それに対する返答。何も進展もなかった。
ソニーさん、あなた方の考えは良く分かりました。我々は不要な争いは好みません。強いて言葉にするなら、友人が教えてくれたのですが「quiet anger」と云う気持ちです。我々が暮らしているのは自由の国のはずです。だから、自分が思うことを冷静に発言し続けていくだけです。
「9月にソニーの法務に出向いた」件については同じく9月15日の日記に書いてあって、というか事実経過的にこちらを先に読まないとなんの話かわからないのでまずは読んでみてください。
事のいきさつはともかく。ソニーの法務ってとこに行った。(snip)
ヒートウェイヴは90年あたりから約5年間、エピック・ソニーとの契約の元、アルバムを5枚発表した。しかし、我々のアルバムは廃盤の憂き目に遭っていた。その権利はレコード会社が保有している。我々の手が全く及ばないところにある。新しくファンになった人々が昔の音源を聴きたいと思っても、それを聴くことが(一部を除いて)叶わない状況にある。
けれど時代は変わった。配信によって、それを耳にする事が出来る。(snip) ならば、それを残さず公開して欲しい。あるいはitunes music storeに門戸を開いて欲しい(今現在ソニーはそこに参加していない)。それに関しては、リリースした時と違って、制作上のコストのかかり方が全く異なる訳だから、新たに違う条件で契約を結んで欲しい。そんな申し入れをしに行った。
問題になっているのは、90年代にエピックソニーからリリースされた『柱』(1990)、『凡骨の歌』(1991)、『陽はまた昇る』(1992)、『NO FEAR』(1994)、『1995』(1995)の5枚のアルバム。
参考:DISCOGRAPHY(ROCK'N ROLL ASS HOLE - HEATWAVE WEBSITE)
これらが「廃盤」になっていることについて、ミュージシャン自身がレコード会社になんとかならぬかとアプローチしたものの「何も進展もなかった」ということらしい(実際にソニーの法務がなんと言ってきたかは具体的に明らかになっていないからそれ以上のことは言えないわけだけど)。
レコード会社は終わった
オレはヒートウェイヴのあまり良い聴き手ではなくて、持ってる音源も『歳月の記録』と『Hello, I'm Here』の2枚だけだったりするんだが、てゆかまあむしろそういうオレみたいなひとのために、音源には常にアクセスできる状況にしておいてほしいよねえ、とも思う。
もっとも、ソニーさんがとくに意地悪というわけでもないのかもしれなくて、ソニー法務としてはソニー法務として下すべき判断を下すべくして下したというだけなのかもしれないし、まあ実際のところ廃盤になったっきりの音源なんてヒートウェイヴに限らず腐るほどある。
しかし、ミュージシャン自身がネット配信の可能性に気づいて、自分の楽曲を配信してくれるよう話をしに出向いたにもかかわらず、OKが出なかった、ということは、レコード会社という業態がもうすっかり旧態依然とした旧勢力になってしまったんだなあ、ということを象徴しているように思う。
音楽は終わらない
山口自身もこうしたレコード会社の姿勢をもうまったく信用していないようで、レコード会社を介さないでレコードをリリースするというプロジェクトを立ち上げている*1。
かっこいい。
大人がロックンロールするということはこういうことなんだろうなあ。
そういえば先週だったかテレビを見てたら山口が出てて、矢井田瞳とデュエットしてたよ。
えらいかっちょよかった。
追記
ソニー時代の音源の一部はベスト盤で入手可能なもよお。
- アーティスト: HEATWAVE
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追追記
ヒートウェイヴは表記が「ヴ」なのです。
というツッコミが入ったので一括置換で修正しました。
*1:ただ、いまここから申し込みしようとしたらクレカの番号を認証するところでCGIがエラーで落ちちゃったんだけど……困った。JavaScriptを切ってたためかもしれませんが