NASAのケプラー宇宙望遠鏡が、「第2の地球」を発見した。この惑星は、これまでに見つかっている多数の太陽系外惑星の中で、地球に最もよく似ているという。
NASAエイムズ研究センターのジョン・ジェンキンズ氏は、7月23日の記者会見で、この惑星は「生命が居住できる太陽系外惑星の条件に最も近い」と言い、合わせて500個の惑星候補を新たに発見したと発表した。
ケプラー452bと名付けられたこの惑星は、地球から約1400光年離れたところにある恒星のまわりを回っている。主星の年齢は60億歳で、太陽によく似ている。惑星は地球の約1.6倍の大きさで、質量は約5倍だ。公転周期は385日で、主星からほどよく離れているため、表面に液体の水が存在できる程度の温度だろうと推測されている。
ケプラー452bの組成はまだ分かっていないが、科学者たちは50%以上の確率で岩石質の惑星だろうと考えている。その場合、「大気は地球より厚く、空は雲に覆われているでしょう。活火山もあるかもしれません」とジェンキンズ氏は言う。(参考記事:「生命は地球の外にも存在するのか?」)
夜空は惑星だらけ
2009年に打ち上げられたケプラー宇宙望遠鏡の目的は、銀河系に地球型惑星がどのくらいあるかを明らかにすることにある。ケプラー宇宙望遠鏡は、4年間、恒星の密度が高い区画を見つめ続けた。その間に15万個の恒星を観測し、惑星が前を横切るときに起こる明るさの変化を探した。(参考記事:「NASAのケプラー衛星、複数の地球型惑星を発見」)
今回500個の惑星候補が新たに報告されたことで、ケプラー宇宙望遠鏡が発見した惑星候補の数は4696個になった。そのうちの12個が地球の2倍以下の直径を持ち、9個は太陽とよく似た主星のまわりを回っている。ケプラー宇宙望遠鏡が発見した候補のうち1000個以上がその後の精密な測定により系外惑星と認められている。ごく小さな区画の天空に、これだけの数の惑星があるのだ。
NASAのジョン・グランズフェルド副長官は、「少年時代に夜空の星を見上げては、この星のまわりに惑星があるのだろうかと考えていたものですが、今や、答えは明らかです。夜空に見える星々のほとんどが惑星を持っているのです」
けれども、地球によく似た惑星となると話は違う。主星が太陽によく似ていて、生命の居住に適した距離だけ主星から離れていて、岩石質でなければならない。ケプラー宇宙望遠鏡が初めてそれらしい惑星を発見したのは、つい昨年のことである。今回は、より確実な証拠が得られた。
NASAエイムズ研究センターのナタリー・バターリャ氏は、「ケプラー452bとその主星は、私たちが探しているものにいちばん近い太陽系外惑星系です」。(参考記事:「太陽系外惑星で初めて火山噴火を発見か」)
地球型惑星を探して
研究チームのミッションは、銀河系に地球型惑星がどのくらいあるかを明らかにすることだ。その答えは、宇宙にどのくらいの数の生命が存在しているかを理解する上で、非常に重要になる。けれども、疑問に答えるのは容易ではなかった。まず、ケプラー宇宙望遠鏡の視野の中で明るさが変化する恒星が予想以上に多く、惑星の通過による光度変化と思われるものを選び出すのに手間がかかった。また、2013年にケプラー宇宙望遠鏡の姿勢制御系が故障したため、視野を固定して恒星を観測することができなくなってしまった。
こうした困難を経て、ついに地球によく似た惑星が見えてきた。精密な観測により惑星が1つ確認されるたびに、地球型惑星の分布の推定精度が少しずつ高まっていく。その数字は、こうした惑星のまわりに生命の痕跡を探す将来の宇宙ミッションの基礎になる。
バターリャ氏によると、現時点で恒星の15~25%が地球型惑星を持っていると推定している。「けれども、生命がどのくらい存在しているのかは分かりません。ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)に惑星がどのくらいあるかという問題と、そうした惑星のいくつに生命が存在しているかという問題は、まったく別の話なのです」
研究チームは今後も惑星カタログのチェックを続けるので、ほかにも重要な惑星が出てくるだろう。米SETI研究所のジェフリー・コフリン氏は、「もっと多くの成果が得られるでしょう」と期待する。「ケプラー宇宙望遠鏡による発見は、これからもずっと続くと信じています」(参考記事:連載「宇宙に生命を探して~研究者が語るアストロバイオロジー入門」)