2年余り前に、スウェーデンの国会議事堂の前で初めての座り込みをして以来、グレタ・トゥンベリさんの基本的なメッセージは明確かつ不変だ。
「気候危機は人類の存続にとって最大の脅威であり、我々は相応の対処をする必要がある」というそのメッセージは、何百万人もの若い活動家たちに、変化を求める抗議行動へと駆り立て、トゥンベリさんは一躍世界的な有名人となった。(参考記事:「2020年4月号 地球を守ろうと闘う若者たち」)
しかし、新型コロナウイルスのパンデミックのさなかにある現在、17歳の活動家トゥンベリさんは、スウェーデンに戻り学校に通っている。ナショナル ジオグラフィックはZoomを介してトゥンベリさんにインタビューを行い、この1年で彼女の活動がどう変化したのか、また複雑さを増すこの世界で、どうすれば彼女のメッセージが力を失わずにすむのかについて話を聞いた。以下、聞き手は、オリバー・ワン。
――ここ半年の間にさまざまなことがありました。新型コロナウイルスの世界的な流行以降、あなたの仕事にはどんな変化がありましたか?
グレタ・トゥンベリさん:会議やストライキなど、物理的な活動の多くを取りやめ、デジタルに切り替えました。とはいえ、私たちの活動では環境への負荷を考慮して飛行機を使いませんから、仕事の仕方をさほど大きく変える必要はありませんでした。それに、私たちはトップダウンで動いているわけではなく、地域ごとの団体が自分たちはどうするのかを決めています。ですから、状況は街ごと、国ごとに異なります。
――そうした国や街の中で、この状況にとくにうまく適応している例はありますか?
はい。毎週デジタルストライキを行って、成功を収めている例がいくつかあります。また、国会議事堂の前に看板や靴を置いて、「家にはいるけれども、我々はここにいなければならない」ということを象徴的に示す活動をしているところもあります。
――現在のようにさまざまな問題が入り乱れる中で、気候危機は忘れられてしまったように感じますか?
それは大いにありえる話ですね。こうした危機のときには、過去の例と同じように、ほかのことは留保されると思っておくべきでしょう。(参考記事:「パリ協定の目標を達成できる国はわずか、報告書」)
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