南米のパタゴニアで、新種の恐竜が見つかった。ティタノマキア・ギメネジ(Titanomachya gimenezi)という学名がつけられたこの恐竜は、長い首を持つ巨大な草食恐竜ティタノサウルスの仲間だ。ただし、この恐竜は成長しても大型のウシほどの大きさにしかならない。論文は、4月10日付けで学術誌「Historical Biology」に発表された。
新種の恐竜は、アルゼンチンにあるエジディオ・フェルグリオ古生物博物館の古生物学者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)でもあるディエゴ・ポル氏の研究チームが発見した。同氏らは、南米における恐竜時代の終焉を探る研究を行っており、それが今回の発見につながった。恐竜時代の最後である白亜紀末期についての現在の知識は、ほとんどが北半球、とりわけ北米の化石から得られている。(参考記事:「恐竜時代最後の貴重な光景を伝える、驚きの化石群を発見」)
ポル氏をはじめとする南米の古生物学者たちによって、南米大陸には未知の新種を含む重要な化石のホットスポットが点在することが示されている。隕石の衝突によって白亜紀が終わりを迎えたのは、約6600万年前のことだ。その数百万年前の生命の状況について、こうした南米の化石を通して理解を深められる。
新種のティタノサウルス類は、パタゴニア地方で見つかった最新の恐竜化石だ。ポル氏らは、アルゼンチンで白亜紀後期の化石を豊富に含む場所を20カ所以上見つけている。首の長い恐竜の骨の一部が見つかったのは、そのひとつであるパタゴニア中部のラ・コロニア累層だった。「今回の発見以前、この地域から竜脚類の恐竜が見つかったという記録はありませんでした」とポル氏は言う。
発見した恐竜の化石をつなぎ合わせる作業は、巨大なジグソーパズルを解くようなものだったと研究者たちは話す。
「見つかった化石はバラバラでしたが、互いにとても近い位置にありました」とポル氏は言う。
化石を持ち帰った研究チームは、それが肋骨、椎骨、手足の骨、腰の骨の一部であることを突きとめた。ティタノマキア・ギメネジという名前は、ギリシャ神話におけるオリュンポスの神々と巨神族との戦い「ティタノマキア」と、ラ・コロニア累層がある地域の恐竜を研究した初の女性古生物学者、故オルガ・ヒメネス(Olga Giménez)氏にちなんで付けられた。
今回見つかったのは部分的な骨格だけだったが、アルゼンチン、マイモニデス大学の古生物学者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもあるパブロ・ギャリナ氏によると、ほかの恐竜とはちがう新種であることは明らかだった。
中でも最大の違いは、その小ささだ。
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