よい姿勢は慢性痛やうつも改善、全身と心の健康に大きな差がつく

呼吸器や消化器から集中力や自信にまで影響、姿勢をよくするおすすめの方法は

2024.08.28
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悪い姿勢の問題は、見た目だけにとどまらない。呼吸が制限され、取り入れる酸素が減る。首や腰の痛み、運動能力の低下、消化の問題、筋肉疲労、ホルモンバランスの乱れにつながることもある。(Photograph by Tara Moore, Getty Images)
悪い姿勢の問題は、見た目だけにとどまらない。呼吸が制限され、取り入れる酸素が減る。首や腰の痛み、運動能力の低下、消化の問題、筋肉疲労、ホルモンバランスの乱れにつながることもある。(Photograph by Tara Moore, Getty Images)
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 健康を向上させて寿命を延ばすには、運動をしたり、果物や野菜を食べたりすることだけが重要なのではない。首や腰の痛み、呼吸器の問題、運動能力の低下、消化器疾患、筋肉疲労、ホルモンバランスの乱れといった問題を避け、充実した人生を生きるには、正しい姿勢を保つことが不可欠だ。こうした問題は、適切に対処しなければ時間とともに悪化する可能性がある。

「年とともに関節や靱帯の弾力性は低下し、悪い姿勢に適応できなくなっていきます。するとやがて、神経や脊髄が圧迫され、身体活動が制限されたり、慢性的な痛みにつながったりすることがあります」。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の脊椎外科医、プラビーン・ムマネニ氏はそう話す。

 よい姿勢を保てば、そのような問題を避けられる。さらに、動作の協調やバランスの改善、活力の増進、認知能力の向上、自信の高まりといったメリットも得られる。

「さらに、正しい姿勢をとれば、体重が均等に分散します。なぜこれが重要かと言うと、体重が均等に分散すれば、筋骨格系が正しい位置に来るので、体が効率的に機能し、関節や骨の負担が減って、全身の摩耗や劣化が軽減されるからです」と、米ラッシュ大学医療センターの理学療法・リハビリテーション専門医、ローラ・デオン氏は述べる。

 ここでは、正しい姿勢を保つ方法と、それによって手に入れることができる体と心の健康について説明しよう。(参考記事:「【解明】炎症と上手に付き合う方法」

よい姿勢とは?

 子どものころに、「背筋を伸ばして座りなさい」とか「まっすぐ立ちなさい」と何度も言われた人もいるだろう。しかし、よい姿勢を理解するうえで最初に知っておきたいのは、背中が完全にまっすぐになっている必要があるわけではないことだ。

 では、どうすればいいのか。「背骨は自然に湾曲していることを知っておきましょう」と、米ユタ大学医学部の整形外科研究准教授、ブルック・マーティン氏は言う。

 背骨を横から見れば「腰の部分で後ろに、背中の上部で前に、首のところでは再び後ろに曲がっているのがわかります」とムマネニ氏。「そのため、頭は首の中央、胴体は骨盤の中央の真上に乗ります」。よい姿勢を保つうえで理想的な配置がこの状態だ。

 座っているときは、足を床につけて、膝の裏の角度を90度以上に保つ。「前腕も机や肘掛けで支えるようにし、肩甲骨を少し下げて引き寄せ気味にして、耳と頭と肩がまっすぐに並ぶようにしましょう」。米クリーブランド・クリニックの予防医学専門医で、カイロプラクターでもあるドリュー・シュワルツ氏はそう話す。

 立っているときは、足を肩幅に開き、両膝を離して、(横から見て)骨盤の中心が膝の真上になるようにする。肩は少し下げて後ろに引き、耳が肩の真上に来るようにする。デオン氏は、「立っているときは、体重が両足に均等にかかるようにしてください」と補足する。

 正しい姿勢とは、たくさん動くことでもある。

「姿勢と聞けば、ほとんどの人はじっとしていることを思い浮かべますが、可能なときは、動いて姿勢を変えるほうがよいのです」とシュワルツ氏は言う。(参考記事:「なぜ人は外反母趾になる? 実は人類の進化が関係、古代にもいた」

次ページ:姿勢と体の健康

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