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70 商業ギルドの話


 (おとこ)たちと拳での話し合いを終えたところで、再び誰かから呼ばれたような気がした。辺りを見回すと、見知ったローブ姿の魔術士が手を振っていた。


「こんにちはナナシさん。ご活躍のようでなによりです」

「久しぶり、レンブン。今日はどうしたんだ?」

「先日のアクセ、競売で売れましたのでナナシさんの取り分を渡しに来たんですよ」


 ああ、この前のダンジョンで見付けたネックレスか。


「幾らくらいになったんだ?」

「22万ですね。ナナシさんの取り分は8万でよろしいですか?」

「はぁ!?」


 譲渡画面からキッカリ8万Gが流れてくる。たかがネックレスが高額になりすぎだろ。


「カルマの、と付いてたの覚えてますか? あれはやはりシリーズもののようで、お買い上げになられた貴族の方から他にも見付けたら譲ってくれと頼まれました。言い値で払うそうですよ」

「貴族こえええ……」


 俺が戦慄していると、レンブンがにっこり笑う。


「それでこちらは新しいお子さんですか?」

「ぴぃ?」


 レンブンの視線の先には俺の足元をうろちょろしていたグリースである。くりっと首を傾ける動作に、まだ周囲に残っていた連中の何人かから「ぐふ」「ううっ」「か、可愛い」などという声が漏れていた。


 卵は手の平サイズだったというのに、もう鳩くらいまで育ってんだが。

 いつのまにか3レベルになってる上に【噛み付き】ってのが増えてる。尻尾の蛇の分なのか? 


「グリースだ。種族はコカトリス」

『『『こかとりすううぅぅっっ!?!?』』』


 大絶叫は周囲で聞き耳を立てていたプレイヤー諸君から。みんなに詰め寄られたが、レンブンがとりなしてくれて揉みくちゃにされるのだけは避けられた。


 ついでにレンブンからの提案で、対価を払った人にPT会話でコカトリスを孵化させる方法を教えると言うことになった。情報料1人1万Gにしたんだけど、これでも最安値だそうな。


 でもそれだけで33万Gになったぜ。それで仲介料としてレンブンに4万渡す。レンブンは苦笑してたが、世話になったからと押しきった。


 情報は金の卵と孵し方と魔法スキルが必要なこと。

 最後の条件で苦い顔してたのもいるが、そこら辺は頑張ってくれ。

 これで烏骨鶏も乱獲決定だなあ。


 いきなり小金持ちになってしまったんで、商業ギルドに登録できるだろう。早速行ってみよう。


 ニコニコ顔のレンブンと興味深そうなアサギリとハイローが着いてきた。商業ギルドに入るとレンブンが登録受付カウンターに誘導してくれる。受付にいたのはイケメンのお兄さんだ。


「商業ギルドにようこそいらっしゃいました。何かご用でしょうか?」

「生産部屋を使いたいから登録したいんだが?」

「畏まりました。でしたらこちらにご記入をお願い致します」


 渡された紙には名前と職業と使用目的を記入する欄がある。

 職業? もちろんビギナーと書くさ。使用目的に調合と書いたらアサギリとハイローが「「ちょうごうううううっ!?」」とすっとんきょうな叫び声をあげていた。


「何でびっくりしてんだよ?」

「いやお前調合って、え? 冗談?」

「冗談でも嘘でも白昼夢でもないからな」


 ハイローに薬草茶を1本渡してやるとアサギリと一緒になって沈黙した。


 「なんだこれ」

 「薬草茶? MP回復!?」

 「ハイポーションも出てないのにこんなもんどーやって作ってんだよ」

 「そこはもうビギナー教クオリティなのか?」


 なんで教が関係あるんだよ……。

 瓶を挟んで適当なことをブツブツと言い合う2人をほっといて、記入した紙をイケメンさんに渡す。

 その後は黒い板の上に手を置いて個人認証みたいなのは終了のようだ。カード発行と小冊子を渡されて1万Gを払う。小冊子の方は規約なのでよく読んでくださいとのことだ。


 カードは名前とギルドランクくらいしか書いてない。【アイテム知識】によると材質はミスリルらしい。……、ミスリルッ!?

 ファンタジー定番の金属じゃねえか。なんでこんな序盤から……、ああ鑑定じゃあ見抜けないからか。俺みたいな知識系は持ってるやつ少ないだろうしな。


「どうしたんですかナナシさん? カードを持つ手が震えていますよ」

「このカード、材質はミスリルだとよ」

「「「えっ!?」」」


 レンブンも知らなかったようだ。自分のカードを引っ張り出して多方面から穴が開くほど見詰めている。


 そして背後からパチパチと拍手の音。

 振り向くとイケメンさんとふくよかなおばさんの職員が手を叩いている。


「すばらしい! 一目でカードの材質を見抜く人に出会ったのは久しぶりですわ!」

「は、はあ」


 カウンターから出てきたおばさんが俺の両手をがしっと握り締めた。その目には光り輝く真摯な心が宿っている。


「私はここのギルドマスターをしていますルクイーリと申します。どうぞよろしく」

「あ、どうもご丁寧に。ナナシと申します。こちらこそよろしくお願い致します」


 ペコペコと頭の下げ合いをする。そしてルクイーリさんは後ろに控えていたイケメンさんに指示を出していた。


「これだけの目利きが出来る方なら充分です。ギルドランクをEに上げてください」


 貰ったギルドランクFがいきなりランクアップ。小冊子の方を読むと、Eからはギルドの品物を買うのに1割減、売るのに1割増するそうだ。


「あと今回は構いませんが、来期からは年会費が2万Gにあがりますので、ご了承ください」

「ぶっ!?」


 ランクアップと共に年会費は上がっていくようだ。まだ金があるからいいけど、先を考えると稼いでおきたいところではあるなあ。


 ランクアップする方法は売り買いした時の利益(金額は個人の自由)をギルドに納めて、その金額が一定値に達すればいいとのこと。屋台をだしてみたかったが、商売をするのは保留にしておこう。



 

 祝 70話!

 そしてPVが190万突破。

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