成果報酬広告でシェア4割
業界の不条理に切り込む
ネット広告の躍進が止まらない─。総務省調べによれば、市場規模は2021年以降テレビ新聞を中心とした旧メディアと逆転し規模拡大を続け、全体7.3兆円のうち4割強をネット広告が占める。ネット広告には3種類あり、検索連動型(検索サイトに入力した特定ワードに応じ検索結果ページに表示させる広告)が4割、ディスプレイ広告(サイトやアプリ上の広告枠に表示する画像)が3割弱、動画広告が2.5割となっており、ネット広告業界においてはこれらが主流の手法だ。
しかし、従来型の広告手法では正しいオーディエンスに届いているケースは6割と言われ、いわば残り4割の広告費分をドブに捨てるという状態が続いてきた。つまり広告主は、広告費をかけても必ずしも売上に直結する結果が得られるとは限らず、評価も曖昧となっている現状がある。
そこで、広告の成果が出た場合のみ費用が発生する成果報酬型に特化したマーケティング広告事業を行うのが、マクビープラネット。これまで成果報酬型は個人ブロガーがアフェリエイト収入を得ていた分野。近年では企業がその事業を行うなど多様化しており、同社はそうした成果報酬型メディアを戦略的に束ねる代理店である。
同社は設立4年で2020年にマザーズ市場、その4年後にプライム市場へ上場。成果報酬型の広告会社でアフェリエイト広告を扱う代理店9社のうち最大手でシェア4割を占める。コロナ禍含め、営業利益が6期連続50%以上成長している唯一の会社でもあり、市場の期待は高い。
「不透明な時代、確実なリターンにつながらない広告投資を抑える企業も増えている中で、われわれは自社開発システムによる高い精度のデータを活用し、より見込みの高いユーザーに広告を届けることが強み。広告が売上に直結したものに対し広告費用をいただくという成果報酬型のビジネスモデル。広告主の負担を減らして不確定要素の多い業界の不条理を是正し、顧客の売上アップに貢献したい」と千葉知裕社長。
同社は特に金融系業界に強みを持ち、大手証券会社などを顧客に抱える。直近での大きな成果として、24年に始まった新NISA制度におけるネット金融系の口座開設を支援し、顧客獲得に貢献した。
口座変更期間に合わせた広告施策では、23年10月の成約数は前年比26%増加した。テクノロジーの力で高い費用対効果を実現し確実に顧客にリターンをもたらすことで支持を得ている。
今後広告業界は成果報酬型が増加していくという見立てで、「23年時点では4000億円の市場規模だが、30年には成果報酬型市場は1兆円規模にまで伸長するとみている」と千葉氏。無駄なコストを削減し顧客、世の中全体に貢献するという信念で事業成長をはかっている。