米海兵隊は以前にアフガニスタンで、カマンK-Maxという交差反転ローター付きヘリコプターを無人化して、物資輸送に試用したことがあった。アフガニスタンから撤収した後で沙汰止みになったかと思ったら、さにあらず。→連載「航空機の技術とメカニズムの裏側」のこれまでの回はこちらを参照。
Aerial Logistics Connector計画
その米海兵隊は現在、Aerial Logistics Connectorという計画を進めている。この場合の Connector は、電線を接続する器具のことではなくて、二つの拠点を結ぶ輸送手段という意味。米海軍が新型エアクッション揚陸艇の計画をSSC(Ship to Shore Connector)と名付けたのと同じ用法。
そして Aerial Logistics Connector 計画では、後方の補給拠点と前線部隊の間で無人ヘリコプターを飛ばして、各種物資を空輸しようと考えている。普通ならトラックや輸送艇を使用するところだろうが、陸上で輸送車両隊が襲われる事態はアフガニスタンやイラクで多発した。また、船舶による海上輸送は時間がかかる。
米海兵隊が新たに掲げたEABO(Expeditionary Advanced Base Operations)という作戦概念では、敵勢力圏内にある島嶼に小規模な部隊を送り込んで、地対空ミサイルや地対艦ミサイルを用いて敵軍の動きを掣肘しようとしている。その「スタンドイン・フォース」のところに急いで物資を送り届けようとすれば、無人ヘリコプターは有力な手段となり得る。