「旋風を起こせたら」 柿澤勇人、矢崎広ら出演ミュージカル『ボニー&クライド』が開幕
2025年03月10日 12時00分ぴあ
ミュージカル『ボニー&クライド』が3月10日(月)から東京・シアタークリエで開幕する。開幕を前にした9日、同劇場でプレスコールが行われ、劇中のシーンが報道陣に公開されたほか、クライド・バロウ役の柿澤勇人・矢崎広、ボニー・パーカー役の桜井玲香・海乃美月(いずれもWキャスト)、演出の瀬戸山美咲が初日を前にした心境や見どころを語った。
1930年代、世界恐慌下のアメリカ中西部で銀行強盗や殺人を繰り返した実在の人物、クライド・バロウとボニー・パーカー。本作は、今も語り継がれる名作『Bonnie and Clyde』(邦題:『俺たちに明日はない』)で描かれた伝説のギャングカップルを題材に、『ジキル&ハイド』などのミュージカルを手掛けた作曲家フランク・ワイルドホーンがジャジーなサウンドとポップなリズムで創造したミュージカル。
2011年12月に米ブロードウェイで上演され、翌12年に日本初演。ブラッシュアップされて22年には英ウエストエンドで再演、23年には宝塚歌劇団雪組でも上演された。今回は、瀬戸山美咲による新演出版の上演となる。
この日公開されたのは、2シーン。ボニーは自分の車が立ち往生して困っている中、クライドが「俺にはプランがある。ここから抜け出して有名になる」と語り、ボニーとクライドが「残すのさ 名前を」を歌う1幕の場面と、警官を射殺してしまったクライドが両親を訪ねた後、追っ手から逃れてボニーが待つ隠れ家へ行き、「満足できる人生」を歌う2幕の場面。




会見では、キャストの組み合わせによって見え方が全く異なるという話が度々出ていたが、確かに公開された短いシーンを見るだけでも、役へのアプローチやボニーとクライドの関係性などの“違い”が感じられた。
会見で、クライド・バロウ役の柿澤は「1月中旬ぐらいからカンパニー一同、切磋琢磨してここまでやってまいりました。本当にあっという間で、まさにボニーとクライドが駆け抜けたかのような稽古でした。後はお客様に入っていただいて、最後のピースがハマるんじゃないかなと思っています」と今の心境を話した。

見どころのシーンを問われると、「格好いいシーンも楽しいシーンもいっぱいありますが、僕のイチオシはバスタブの中でウクレレを持って、クライドが歌うシーン。音楽関係者からすると、お風呂の中で演奏すること自体、言語道断らしいんですが(笑)、クライドはそんなことは気にせず、ボニーに対するラブソングを歌う。しかも、クライドは強盗をして人も殺めて逃げている最中だから、本来、音もあまり立ててはいけないはずなんですけど(笑)。でも、ボニーとクライドの関係性というか、型にハマらないふたりを象徴しているシーンだと思っています」と語った。

同じくクライド役の矢崎は「ずっと初日を目指して稽古をしてきたんですけど、ついに皆さまにお届けできるということで、一体この作品がどう皆さまに受け入れられ、影響を与え、どう育っていくのか、僕らもすごく楽しみです。実在するボニーとクライドは大衆に支持されたというところもあり、最後のピースは本当にお客さんだと思っています。またお客様とここから作り上げていけたらと思います」と挨拶。
見どころについては「見てほしいシーンだらけで、全部がキラーナンバーと言ってもおかしくないぐらい」としつつ、「ボニーとクライドはしょっちゅう喧嘩をするんですが、そこが見どころ。よくWキャストだと違うと言いますけど、今回は本当に違うんです!全然違うんです!組み合わせによっていろいろな違いが起きているので、喧嘩が見どころかなと思います」。

ボニー・パーカー役の桜井は「毎日試行錯誤をして、ディスカッションをして、すごく濃い稽古期間でした。素晴らしいナンバーも、格好いい演出やシーンもたくさんある中で、ストーリー性が高い作品になったなという印象です。毎回毎回相手の方の目を見るだけで、生まれる新しい何かが色濃く表に出る作品になっているので、毎秒毎秒、新鮮にリアルに“本当”をお届けできるように頑張りたいなと思います」と充実した稽古期間だった様子。
自身が好きなシーンについては「ストーリーの後半で、クライドと、兄のバック、ボニーの幼馴染のテッドの3人が思いを歌う大ナンバーがあるんですけど、それが本当に格好よくて!そのシーンにボニーはいませんが、『ボニクラだ〜!』とアガります。皆さん、これだと必ず分かると思うので、ぜひ楽しみにしていただきたいなと思います」と話した。

同じくボニー役の海乃は「Wキャストということで、キャストが変わると、作品が全然違うものに見えてくるなと感じております。観に来ていただくお客様にも1回ではなくて、たくさん観に来ていただいて、組み合わせの違いも楽しんでいただける作品にしていきたい」とWキャストならではの魅力を語る。
具体的なシーンについては「私は1幕も2幕もラストのシーンが印象的で見どころだと思います。1幕はボニーとクライドが出会ってから、犯罪に手を染めたクライドに協力して進んでいくという爽快感やスリルが満載で、これぞ『ボニー&クライド』という感じですが、2幕ではボロボロになって、この先どうしていくかも分からないけれど生きていかないといけないという、1幕とは全然違うボニーとクライドの姿をお見せできるはずです」。

演出の瀬戸山は「意見を交わしながら、みんなで作りました。ボニーとクライド、そしてテッド(吉田広大・太田将熙)がWキャストになりまして、それぞれの組み合わせで全く違う化学反応が起きています」と話す。そして、「大恐慌時代のアメリカが舞台で、シビアな現実や育った環境から飛び出したい、羽ばたきたいと思っているボニーやクライドや周りの人たちの生きるエネルギーを楽しんでいただける作品。空を夢見る籠の中の鳥のように人の夢は誰にも制御できないし、それを現実に変えていこうという力も止めることはできないということをお客様に感じていただけたら。何よりワイルドホーンさんの音楽がとにかく強くてぐいぐい私たちを引っ張ってくれるので、ぜひお客様もその音楽に乗っかって、遠くまで一緒に旅をしていけたらと思います。この『ボニー&クライド』が今の日本で旋風を起こせるような作品になれば」と力強く語った。
取材・文・撮影:五月女菜穂
<公演情報>
ミュージカル『ボニー&クライド』
脚本:アイヴァン・メンチェル
歌詞:ドン・ブラック
音楽:フランク・ワイルドホーン
上演台本・演出:瀬戸山美咲
訳詞:高橋知伽江
音楽監督・ピアノコンダクター:前嶋康明
振付:松田尚子
出演:
クライド・バロウ(Wキャスト):柿澤勇人/矢崎広
ボニー・パーカー(Wキャスト):桜井玲香/海乃美月
バック:小西遼生
ブランチ:有沙瞳
テッド(Wキャスト):吉田広大/太田将熙
エマ:霧矢大夢
シュミット保安官:鶴見辰吾 ほか
【東京公演】
日程:2025年3月10日(月)~4月17日(木)
会場:シアタークリエ
【大阪公演】
日程:2025年4月25日(金)~4月30日(水)
会場:森ノ宮ピロティホール
【福岡公演】
日程:2025年5月4日(日・祝)・5日(月・祝)
会場:博多座
【愛知公演】
日程:2025年5月10日(土)・11日(日)
会場:東海市芸術劇場大ホール
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/bonnie-and-clyde/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2455449&afid=P66)
公式サイト:
https://www.tohostage.com/bonnie_and_clyde/