教師の転職例とは?転職活動のポイントと教師がアピールできるスキル
教職免許を持ち、教師として働いていた人が転職を考えた場合は、どのようなキャリアパスがあるのでしょうか。
そこで今回は、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に取材し、教師のキャリアパスと転職事例、転職のポイントについてご紹介します。転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
教師の転職の2つの選択肢
教師の経験・スキルを活かして転職する場合、2つの選択肢が考えられます。
それぞれのメリットやデメリットをご紹介します。
経験を活かして教育系の企業に転職する
生徒を教えていた経験を活かして、学習塾の受講講師や予備校講師、各種スクールや家庭教師などの教師に転職するという方法です。
特に個別指導の場合は、学校の教師と比較して対象となる生徒が少ないため、手応えを得やすいかもしれません。
なお、学校のように部活動などはありませんが、学習塾の教育長なども兼務する場合は、保護者対応や事務作業、営業活動なども任されるため、多忙になりやすいという傾向があります。
他にも、児童指導の経験を活かして、学童スタッフや放課後デイサービスなどで働くという選択肢もあります。
また、教育機関に転職するのではなく、教材やアプリなどのサービスを教育機関に提供している企業に転職するという方法もあります。
生徒や保護者など個人(BtoC:Business to Customer)が顧客ではなく、教育機関や教師が顧客(BtoB:Business to Business)となるので、これまでの知識・経験を活かしながらも、仕事の幅を広げることができるでしょう。
未経験の分野にキャリアチェンジする
教育系ではない企業にキャリアチェンジするという方法もあります。
基本的に未経験となるため、未経験にも門戸を広げている営業や販売などの職種は、比較的転職しやすいでしょう。
また、IT・Webのエンジニアやサポート系の職種も、教育制度が整っている企業もあるので、興味があればチャレンジするのも方法のひとつです。
キャリアチェンジの場合は、できるだけ過去の経験との共通点を活かした方が、選考でアピールしやすくなります。
例えば、保護者や子供とのコミュニケーション経験を活かして、家族が集まる住宅の営業、携帯電話の販売といった職種や、教師の仕事内容や気持ちを知っているという強みを活かして、教育系の転職を支援するキャリアアドバイザーなどに転職する方法もあります。
教師の転職事例
教師経験者が転職を実現した事例をご紹介します。
希望する職種や働き方、教師としての専門性や志向などによって選択肢は異なるので、事例を参考に自分のやりたいことをじっくり考えてみましょう。
①保険の営業に転職(Aさん)
公立の学校に勤めていたAさんは、学校行事に伴う細かい事務作業、興味の持てない部活動の顧問など、自分が担当する教科以外の業務があまりにも多いことに不満がありました。 また、どんなに忙しくても大きく給与が上がるわけではなく、地方公務員に該当するため定年までの待遇がある程度見えてしまい、自分の頑張りが評価や報酬にダイレクトに反映する仕事がしたいと思うようになりました。 そこで、未経験者にも門戸を広げており、営業成績次第で年収アップが望める保険の営業に転職。年功序列がなく、実力主義の環境に満足されています。 |
②スポーツのコーチに転職(Bさん)
学生時代は、ずっとサッカーをしていたBさん。学校の教員の傍らサッカー部の顧問として選手の育成を行っていましたが、あまり部活動に熱心な学校ではなく、スポーツに全力投球できないのが悩みでした。 どうしてもサッカーをメインとする仕事をしたいと考え、大学時代の関係者に聞いたり関連団体に問い合わせたりして、やりたい仕事ができる求人を根気強く探しました。 その結果、サッカーチームのコーチに転職することに成功。サッカーの振興・普及活動にも携わっており、充実した毎日を送っています。 |
③専攻を活かしてコンサルティングファームに転職(Cさん)
大学院では「人材と組織作り」を研究のテーマとし、大学の非常勤講師として勤務していたCさん。 非常勤講師という立場で使える予算に限りがありつつも、非常にシビアに結果を求められる状態を変えたいと考えていました。 研究熱心だったCさんは、学術だけでなく実践的な組織作りに携わり専門性を深めていきたいと考え、人材系のコンサルティングファームに転職。これまで学んだ知識を活かしながら、顧客の課題を解決するというコンサルタントの仕事にやりがいを感じているそうです。 |
転職活動のポイント
教師から転職する場合の、転職活動のポイントについて解説します。
教師の場合は、基本的に年度末が仕事の区切りになるため、ゴールを決めて計画的に進めましょう。
転職時期を決めて動く
転職活動は、一般的に3~6カ月程度かかります。
「情報収集~書類作成」で2週間、「応募~面接」で1~2カ月、「内定~入社」までは1~3カ月程度が各期間の目安になります。
担任をしている場合は、基本的には年度末である3月末までは辞めづらいことが想定されるため、3月末から逆算して転職活動のスケジュールを作成しましょう。
近年はオンライン面接が増加したことで、面接にかかる日数が減る傾向にあります。
ただし、現職を続けながら選考を通過し、退職に伴う引き継ぎなどを行うとなると、転職開始から退職までは3カ月以上かかります。
円満退職を目指して、無理のないスケジュールで進めましょう。
転職の手段を広げる
中途採用の求人は、欠員募集や急激な事業拡大などで突発的に発生するケースも多く、一部の転職サイトや転職エージェントなど、限られた範囲にしか求人が掲載されていない可能性があります。
特に転職エージェントは、あえて一般に公開しない「非公開求人」を保有しているケースも多いため、転職エージェントに申し込まないと求人に応募することができません。
自分の可能性をできるだけ広げるために、企業の採用ページ、転職サイト、ハローワーク、転職エージェント、求人特化型検索エンジン、SNS、人脈などを活用して、できるだけ選択肢を増やすようにしましょう。
ビジネス系のスキルを身につけておく
教育現場でも積極的にITは導入されていますが、民間企業と比べると、使用するソフトウエアや使い方、作法が異なることがあります。
中途採用の場合、ビジネスマナーやメールマナー、オフィスソフトやチャットツールの操作など、基本的なビジネススキルを求められる傾向があるので、必要スキルが求人に記載されている場合は、事前に理解しておきましょう。
もし会社員をしている家族や知人がいる場合は、普段どのような仕事をして、どのようなツールやソフトウエアを使っているのか聞いてみてもいいでしょう。
教師経験者がアピールできるスキル
教師の経験・スキルのうち、転職のアピールに有効なのはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的な強みを3つご紹介します。
コミュニケーションスキル
学校の教師は、生徒や保護者、同僚や関連の教育機関など、多様な相手とコミュニケーションを図る必要があります。
この経験は、教師や講師などの仕事以外でも、個人営業や販売の仕事でアピールできる有効なスキルになるでしょう。
リーダーシップ
リーダーシップを発揮して生徒を導いたり、成長をサポートしたりする経験も、転職活動でアピールポイントのひとつになります。
これまでの経験を活かして講師や教師などに転職する場合は、リーダーシップもアピールできると、将来的なリーダー・マネジャー候補として評価されるかもしれません。
現職や前職で新任教師の育成などを任されていた場合は、その経験も具体的にアピールしておきましょう。
傾聴力
相手の話したいことに耳を傾け、肯定的に意図を理解しようとする力を傾聴力と呼びます。
相手の話を聞かず一方的に自分の考えを伝えたとしても、双方の理解は深まりません。
ビジネスシーンでは、相手の話をしっかりと聞き、論点や課題を明らかにすることで、第一歩を踏み出し成果を出すことができます。
これまで生徒の話を聞いて理解を深めてきた経験をアピールし、傾聴力や関係構築力があることを伝えましょう。
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