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「熱量の高い指導者がゼロ」青学大・原晋監督の“実業団批判”に本音「ひとことくらいは言いたい」住友電工・渡辺康幸監督が語る“大学と実業団の違い”

posted2025/02/06 11:21

 
「熱量の高い指導者がゼロ」青学大・原晋監督の“実業団批判”に本音「ひとことくらいは言いたい」住友電工・渡辺康幸監督が語る“大学と実業団の違い”<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

大学、実業団それぞれの実情を知る渡辺康幸氏。青山学院大学・原晋監督の“実業団批判”に率直な思いを語った

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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Shigeki Yamamoto

 陸上長距離の大会のなかでも、圧倒的に大きな注目を集める箱根駅伝。その一方で、「山の特殊区間で活躍した選手たちは実業団で大成できない」と言われることも少なくない。早稲田大学監督時代に大学駅伝三冠を達成し、現在は住友電工で監督を務める渡辺康幸氏は、どんな見解を持っているのか。青山学院大学・原晋監督の“実業団批判”に対しても本音を語った。(NumberWebインタビュー全2回の2回目/前編へ)※文中敬称略

「山に特化した選手は伸びない」は真実か?

 箱根路の特殊な山区間で活躍したスペシャリストたちはその後、陸上選手として大成しないのか――。1990年代から選手、監督、解説者として長く箱根駅伝に関わっている渡辺康幸(現住友電工監督)は、首を少しかしげていた。

「私は山上り、山下りに特化した練習を積ませたから、その先で伸びないという意見には否定的ですね。そういう風潮はありますが、実情はちょっと違うのかなと。一般的にそう言われることが多いので、選手たちも刷り込まれてしまうんです。だから、私はあまり言いたくなくて。実際、実業団でつぶれているかといえば、そうではないんです」

 箱根駅伝で脚光を浴びた柏原竜二は27歳で現役を引退し、神野大地もマラソンで目立つような結果を残していないが、特殊区間で輝いたのは“山の神”だけではない。5区で区間賞を獲得し、卒業後に実績を残している選手は多い。

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 93回大会で活躍した元駒澤大の大塚祥平(九電工)は、東京五輪マラソン日本代表の補欠となり、94回大会で注目された元法政大の青木涼真(Honda)は3000m障害で東京五輪とパリ五輪に出場。93回、94回と2大会連続で区間3位となった元中央学院大の細谷恭平(黒崎播磨)はマラソンの国内トップ戦線でいまも走り続けている。

 山下りの選手たちも同様である。公務員ランナーを経て、プロに転向したマラソンの川内優輝は、学習院大学時代に学連選抜の6区で2度出走し、85回大会には区間3位と好走。彼らをはじめ、実業団のトップレベルで結果を残している選手たちは少なくない。ただ、メディアの露出は限られており、多くの人に知られていないのかもしれない。

【次ページ】 原晋監督の“実業団批判”に本音「ひとことくらいは…」

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