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「甲子園あの熱血監督はなぜ退任したのか?」センバツ21世紀枠選出から“たった半年”で…別海高その後「監督の厳しさ…受け止め方が違ったのかも」

posted2025/02/07 11:02

 
「甲子園あの熱血監督はなぜ退任したのか?」センバツ21世紀枠選出から“たった半年”で…別海高その後「監督の厳しさ…受け止め方が違ったのかも」<Number Web> photograph by Yuji Yanagawa

北海道・別海高校を昨春のセンバツ甲子園に導いた島影隆啓前監督

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柳川悠二

柳川悠二Yuji Yanagawa

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1年前、センバツ21世紀枠に選出され、甲子園出場を果たした北海道・別海高校。コンビニ経営の傍ら同校の監督を務めていた島影隆啓はその後、監督を退任していた。当時の主将は言う。「仕方ないとは思うんですけど……」【全2回の2回目】

◆◆◆

 間もなく北海道にも大寒波が訪れようとしていた2月3日、知床半島と根室半島の中間に位置する尾岱沼(おだいとう)の空は澄み渡り、港からは北方領土が望めた。11時を過ぎた頃、早朝から漁に出ていた漁船が続々と帰港し、名産である特大のホタテを水揚げしてゆく。

主将は「ホタテ漁師」を目指す

 そのうちの一艘に、道立別海高校の3年生である中道航太郎が乗っていた。彼はホタテ漁師である父・大輔の船に1週間限定の見習い漁師として乗船していたのだ。今年5月からは函館近くの北海道立漁業研修所で漁師になるための勉強をし、小型船舶免許や潜水士免許など漁師として必要な資格を取得したあと、正式に漁師として生きていくことになる。

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「今日が研修1日目なんですが、(漁業協同組合のルールで)家族が同じ船に乗ることが許されるのは、この見習い期間だけなんです。今日は網の投げ入れや、その網の引き上げ、ホタテの選定などを手伝いました。これまで水揚げを手伝ったことはあっても、船に乗ったことはなかった。野球で鍛えられて、体力には自信があるんですけど、シンプルに疲れました(笑)」

 昨年のセンバツに、別海は16人の選手(3年生9人、2年生7人)と3人のマネージャーだけで出場した。捕手の中道は一昨年秋の全道大会2回戦で逆転サヨナラ2ランを放ってセンバツ切符をたぐり寄せた立役者であり、まさに扇の要の選手だった。監督の島影も「中道が入学してからの2年半、私は中道を褒めたことがありません。あれだけ私に怒られても、へこたれずにチームをまとめてくれた。甲子園に出場できたのも中道のおかげだと思っています」と話すほどだ。

【次ページ】 監督退任に主将の本音

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