クルマを所有するうえで避けては通れない重要なもの、それが自動車保険だ。特にもしもの時に備えて任意保険に入ることが重要だが、その分維持費は高くなってしまう。判決で決まる支払額が増えていることも一因ではあるが、それ以外で保険金額が高騰する理由は何だろうか?
自賠責保険だけでは十分な補償を受けられない
クルマの保険には、加入が義務付けられている自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)と、ユーザーの意思で加入する任意保険がある。今では任意保険の加入が常識になった。
自賠責保険の補償範囲は対人賠償に限られ、支払われる保険金は、後遺障害が生じた時でも最高4000万円までだ。今では1億円を超える判決が下ることも珍しくないため、任意保険の無制限のコースに加入するのが当然だ。
また自車に乗車している乗員に生じたケガなどの損害を補償する人身傷害補償、相手方の車両などに生じた損害を補償する対物賠償保険、自車に生じた損害を補償する車両保険などは、すべて任意保険に含まれる。自賠責保険からは支払われないので注意したい。
2025年以降の任意保険の値上げ
そして自動車保険の保険料推移を時系列で見ると、任意保険料については値上げが続いている。既に2024年1月に値上げされており、2025年1月以降に、改めて3~5%の範囲で値上げされる。(編注:記事作成は2024年12月時点、1月1日以降の新規契約について、保険各社が発表を行っている)
さらに損害保険料率算出機構が保険料の目安として各損害保険会社に提供している参考純率が、2024年6月時点で再度引き上げられた。
従って2026年にも5~6%は値上げされそうだ。つまり2024年、2025年、2026年と、3年間にわたって値上げされる可能性が高い。
修理費用の高騰が大きな影を落とす
値上げの理由を保険会社に尋ねると「最も大きな原因は修理費用の高騰」だという。修理に必要な補修用部品、塗料、輸送費、さらに人件費まで、さまざまな費用が高くなっている。それが保険金支出を増やし、任意保険料の値上げに結び付いていると指摘する。
このほか「衝突被害軽減ブレーキの装着されたクルマが交通事故を防げずに、ぶつかってしまうと、センサーなどの交換が生じて修理費用が高まる。LEDヘッドランプ、自動的にライトを点灯させるオートライトなども、修理費用を高める要素になっている」という話も聞かれる。