フットボール、マネーボール、お金とリーグ戦の成績の相関性
みなさん、こんにちは、本日も元気に更新いたします。代表期間中で、明日はイラク戦がありますが、「まぁ勝つだろ」くらいの気楽さで最終予選を見てる状態でございます。今の日本代表、えれー強いし、グループ首位だし、他が勝手に自滅してくれてるし。
というわけで、本日は、ちと趣向を変えて、世界のサッカーリーグの順位と年俸総額の相関性を見ていきたいと思います。最近は、そんな事やって数字遊びしてます。代表期間だしね。
ちと、最近、気になった記事を紹介しておきますが、
イングランド】マンチェスター・シティは金だけでなく頭を使った
スポルティーバに、僕が本もよく読んでるサイモン・クーパーのコラムが載ってます。これ、結構面白い記事なんで、一読してみてください。
それで、なんですが、サイモン・クーパーの著書、『サッカーノミクス』(邦訳『「ジャパン」はなぜ負けるのか──経済学が解明するサッカーの不条理』NHK出版)には、プレミアリーグにおける順位と総年俸の強い相関性の記事があります。
クラブのリーグ順位を予測するのに最も役立つ数字は、選手年俸の総額だ。『サッカーノミクス』(邦訳『「ジャパン」はなぜ負けるのか──経済学が解明するサッカーの不条理』NHK出版)を僕と一緒に書いたスポーツ経済学者のステファン・シマンスキーが言うように、フットボールではたいていの場合、選手年俸が最高のクラブが優勝し、最低のクラブが最下位になる。それはフットボール選手が、なんの感傷も交えず、最も高い年俸をもらえるクラブへ行く人種だからだ(彼らの言葉で言えば、それが「プロフェッショナル」だ)。
って奴です。これ、事実でして、プレミアリーグのみならず、セリエA、ブンデス、リーガ、Jリーグでも、選手年俸の総額と順位には、おおよそ0.7程度の相関性が見つかります。
なので、今日は、2010/11シーズンにおけるリーグ別の相関性などの数字を紹介しながら、「お金の使い方が上手い」幾つかのクラブの紹介をしたいと思います。
ちなみに、Jリーグから海外の4大リーグにいたるまで、クラブの順位を予測する、一番つまらなく、かつ無難なやり方は「選手年俸の総額の順に並べる」になります。
ただ、これが、一番当たるっちゃ当たるんですが、シーズン前のサポーターの楽しみを丸ごと奪うやり方なので、つまんないと思ってます。
Jリーグの順位と年俸の相関性、2010/11シーズン
さて、まずは、Jリーグの話から始めましょう。調査対象としたのは2010/11シーズンです。
順位 | チーム | 勝ち点 | 試合 | 勝数 | 分数 | 敗数 | 得点 | 失点 | 得失差 | 選手年俸総額(単位万円) |
1 | 柏レイソル | 72 | 34 | 23 | 3 | 8 | 65 | 42 | 23 | 75450 |
2 | 名古屋グランパス | 71 | 34 | 21 | 8 | 5 | 67 | 36 | 31 | 92790 |
3 | ガンバ大阪 | 70 | 34 | 21 | 7 | 6 | 78 | 51 | 27 | 82840 |
4 | ベガルタ仙台 | 56 | 34 | 14 | 14 | 6 | 39 | 25 | 14 | 45990 |
5 | 横浜F・マリノス | 56 | 34 | 16 | 8 | 10 | 46 | 40 | 6 | 73740 |
6 | 鹿島アントラーズ | 50 | 34 | 13 | 11 | 10 | 53 | 40 | 13 | 75930 |
7 | サンフレッチェ広島 | 50 | 34 | 14 | 8 | 12 | 52 | 49 | 3 | 54150 |
8 | ジュビロ磐田 | 47 | 34 | 13 | 8 | 13 | 53 | 45 | 8 | 52140 |
9 | ヴィッセル神戸 | 46 | 34 | 13 | 7 | 14 | 44 | 45 | -1 | 65960 |
10 | 清水エスパルス | 45 | 34 | 11 | 12 | 11 | 42 | 51 | -9 | 48960 |
11 | 川崎フロンターレ | 44 | 34 | 13 | 5 | 16 | 52 | 53 | -1 | 57580 |
12 | セレッソ大阪 | 43 | 34 | 11 | 10 | 13 | 67 | 53 | 14 | 36380 |
13 | 大宮アルディージャ | 42 | 34 | 10 | 12 | 12 | 38 | 48 | −10 | 56070 |
14 | アルビレックス新潟 | 39 | 34 | 10 | 9 | 15 | 38 | 46 | -8 | 30880 |
15 | 浦和レッズ | 36 | 34 | 8 | 12 | 14 | 36 | 43 | -7 | 97680 |
16 | ヴァンフォーレ甲府 | 33 | 34 | 9 | 6 | 19 | 42 | 63 | −21 | 29770 |
17 | アビスパ福岡 | 22 | 34 | 6 | 4 | 24 | 34 | 75 | −41 | 21240 |
18 | モンテディオ山形 | 21 | 34 | 5 | 6 | 23 | 23 | 64 | −41 | 29770 |
さて、こうなりました。順位と勝ち点の相関性は、この年の相関係数は0.68となっています。散布図もつくりましたが、
こうなります。決定係数R2は、0.46くらいですんで、まぁ、ほどほどって所です。
Jリーグは、上と下での総年俸の差が、海外のリーグみたいに100億以上開くとかいうことはないリーグですから、結構、年俸が低いチームが上位に顔だすことがあるリーグです。
最近のエントリで、J1の各チームの期待勝率を出してみましたが、今年のJ1には、期待勝率が0.7以上、得失点差+40をはじき出せそうなモンスターチームはありません。というか、そんなチーム、ここ数年、一つも出てません。これも、海外との違いで、海外のリーグだと、リーグ1位のチームの得失点差が+40に届くことが頻繁にあります。リーグ戦を食い荒らすモンスターが、大抵1〜2チームあるわけです。J1だと、そういうモンスターは存在しません。
まあ、リーグ始まる前から「どうせ、あそこのチームが優勝すんだろ」みたいな事は無いわけです。おかげで、リーグ戦が予想のできない事になっておもしょいのですが。
また、ガンバ、名古屋、横浜FM、浦和、鹿島あたりのお金があるチームも、年によっては、さっぱりになったりするので、色々面白いリーグです。
現在のJリーグの特徴は、やっぱり、本物のビッグクラブがないって所です。海外だと、リーグに幾つか、「リーグ戦を食い散らかすモンスターチーム」ってのが存在しますが、J1だと、そういうチームがないんですね。
今年もサガン鳥栖が予想外の躍進を見せており、J2あがりのチームがJ1チームを食い散らかすという最近のJリーグのアレな傾向が今年も出ました。
ただねー、J2あがりのチームが予想外の躍進をみせた後、問題になるのは、そのチームの構成メンバーをどこまで保持し続けられるかって点なんですよ。J2クラブって、どこもお金がないので、J1で躍進したとしても、その勝利に見合ったレベルで年俸を上げていけるか、というと・・・これが結構難しい。総年俸3〜4億のチームが、1億円プレーヤーを複数抱えるなんて不可能ですしね。
最近だと、セレッソがJ2からカムバックしてJ1で旋風を起こしましたが、その後、主力が流出しちまったんですよね。香川、乾、清武、アドリアーノ、家長をチームに留めておければ、今頃、モンスターチームになってます。ただ、彼らの年俸をセレッソが払い続ける事ができたかってーと・・・まあ、無理です。セレッソは予算が4億前後のクラブですからね。香川、乾、清武の三人に関しては、海外でなら、いずれ年俸1億稼げる選手です。それを無理に引き留める事は無理ですし。
セレッソは育成型クラブを目指してますが、育成するなら、選手の売り方も、もうちょっと考えないといけません。ま、この話は別の時にします。
で、今年、旋風を起こしているのがサガン鳥栖なんですけど、総年俸1億8510万程度のクラブです。今年はいいんです。ただ、来年になったら、当然、何人か年俸上げないといけない選手がいるわけです。これだけ結果を残したんだから、選手が年俸上げて欲しいのは当然です。
でもサガン鳥栖は・・・お金がない。そうなると、選手をクラブに留め続けるのは、やっぱり無理で。結果を残せば残すほど、良い選手から先に放出するしかなくなるんです。そして、良い選手を獲得できるのは、やっぱりお金のあるクラブな訳ですよ。
どこのリーグでもそうですが、10年単位で順位と総年俸の相関性をみると、強い相関が見つかるんですけど、そうなっちゃうのは、こーいう仕組みがあるからです。
プレミアリーグの順位と総年俸の相関性、2010/11シーズン
まあ、こいつは、サイモン・クーパーがやってるので、僕がやるまでもないですが、ちょいとやってみました。
ただし、年俸のデータは、「Highest-paying teams in the world」から引っ張って来てます。いくつか、年俸のデータがないチームがあるので、それは弾きました。データがないので、どうしようもなかったのです。ホントは、もう一つ前のシーズンの年俸データが揃っているのが欲しかったんですが、それがないので、年俸総額は2012シーズン開始の時のモノです。そこんとこ、ご容赦を。クラブの年俸総額は、油オーナーに買収されない限り、1年だと劇的には変わらないので、まぁ、なんとかなるだろうと思って、まずプレミアから調査開始。
順位 | クラブ名 | 試合 | 勝 | 分 | 敗 | 得点 | 失点 | 差 | 勝ち点 | 年俸総額 | 年俸総額(単位億円) | 年俸/勝ち点 |
1 | マンチェスター・シティ | 38 | 28 | 5 | 5 | 93 | 29 | 64 | 89 | 185093858 | 144.4 | 1.62 |
2 | マンチェスター・ユナイテッド | 38 | 28 | 5 | 5 | 89 | 33 | 56 | 89 | 138035567 | 107.7 | 1.21 |
3 | アーセナル | 38 | 21 | 7 | 10 | 74 | 49 | 25 | 70 | 132002699 | 103 | 1.47 |
4 | トッテナム・ホットスパー | 38 | 20 | 9 | 9 | 66 | 41 | 25 | 69 | 95236903 | 74.3 | 1.08 |
5 | ニューカッスル・ユナイテッド | 38 | 19 | 8 | 11 | 56 | 51 | 5 | 65 | 55995199 | 43.7 | 0.67 |
6 | チェルシー | 38 | 18 | 10 | 10 | 65 | 46 | 19 | 64 | 169897463 | 132.5 | 2.07 |
7 | エヴァートン | 38 | 15 | 11 | 12 | 50 | 40 | 10 | 56 | 59298699 | 46.3 | 0.83 |
8 | リヴァプール | 38 | 14 | 10 | 14 | 47 | 40 | 7 | 52 | 130763119 | 102 | 1.96 |
9 | フラム | 38 | 14 | 10 | 14 | 48 | 51 | −3 | 52 | 60628997 | 47.3 | 0.91 |
13 | サンダーランド | 38 | 11 | 12 | 15 | 45 | 46 | −1 | 45 | 59186667 | 46.2 | 1.03 |
14 | ストーク・シティ | 38 | 11 | 12 | 15 | 36 | 53 | −17 | 45 | 48780935 | 38 | 0.84 |
15 | ウィガン・アスレティック | 38 | 11 | 10 | 17 | 42 | 62 | −20 | 43 | 45703150 | 35.6 | 0.83 |
16 | アストン・ヴィラ | 38 | 7 | 17 | 14 | 37 | 53 | −16 | 38 | 101686591 | 79.3 | 2.09 |
18 | ボルトン・ワンダラーズ | 38 | 10 | 6 | 22 | 46 | 77 | −31 | 36 | 58574062 | 45.7 | 1.27 |
19 | ブラックバーン・ローヴァーズ | 38 | 8 | 7 | 23 | 48 | 78 | −30 | 31 | 51942058 | 40.5 | 1.31 |
20 | ウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズ | 38 | 5 | 10 | 23 | 40 | 82 | −42 | 25 | 36599228 | 28.5 | 1.14 |
さて、年俸と勝ち点の相関性は0.73と出ました。サイモン・クーパーが、プレミアの1シーズンにおける順位と年俸の相関性は70%程度って言ってるのと合致します。これなら、いけそうかな。
で散布図作ると、こんな感じ。1シーズンのみなんで、R2はそこそこですな。これ、10シーズンにすると、R2も0.88くらいまで上昇するようですが。
で、なんですけどね。
これ、作ってみると、わかる事があるんですけど、マンチェスター・ユナイテッドの年俸/勝ち点がいいんですよ。1.21億程度で、これ、ビッグクラブだと、ユヴェントスに次ぐ成績です。
一方で、成績悪いのが、チェルシーとリヴァプールで、勝ち点1取るのに2億つかってます。
あのね、これ、作ってみて思ったんですが、やっぱりファーガソンは凄い監督なんだな、と。お金を効率的に使って良いチーム作ってる。アーセナルのヴェンゲルもいい数字出してますけどね。ただ、ファーガソンのほうが数値は良い。
一方で、しょうもないのが、アメリカ人に買収されたリヴァポ、オイルマネーに買収されたチェルシーで、金の使い方が全くわかってない。アストンビラにいたっては、金をドブに捨ててるようなモンです。外人オーナーに買収されても、金の使い方がわかってないから、順位が思うようにあがらない典型です。こういうクラブは良いカモです。
シティも、サイモン・クーパーがいうほど良くありません。ぶっちゃけ、これなら、アーセナルとユナイテッドのほうが効率いい。ユヴェントスやドルトムントはもっといい。なので、取材するなら、アーセナルかユナイテッドじゃないかと。
あと、注目すべきは、シティじゃあくて、エヴァートンのほうじゃないかと。投資効率が非常にいい。勝ち点1取るのに8300万円しか使ってないし、勝ち点も56取ってます。しかも、リヴァポより順位が上だし。
エヴァートンの監督、デイヴィッド・モイーズの評価が高くなるわけですわ。この年俸総額で、これだけ勝てるとは凄いもんです。ファーガソンの後継者とか言われますが、悪くない人選なんじゃないでしょうか。
シティより、エヴァートンのほうに興味を引かれますね、個人的には。少ない予算で勝てるチームのほうが取材対象としていいんじゃないかなあ。サイモン・クーパー。
ブンデスリーガの順位と総年俸の相関性、2010/11シーズン
さて、次からブンデスリーガになります。調査対象は2010/11シーズンです。
順位 | クラブ名 | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 差 | 総年俸(単位ドル) | 総年俸 円(億) | 総年俸/勝ち点 |
1 | ボルシア・ドルトムント | 81 | 25 | 6 | 3 | 80 | 25 | 55 | 89985406 | 70.2 | 0.87 |
2 | バイエルン・ミュンヘン | 73 | 23 | 4 | 7 | 77 | 22 | 55 | 170231332 | 132.8 | 1.82 |
3 | シャルケ04 | 64 | 20 | 4 | 10 | 74 | 44 | 30 | 115844040 | 90.4 | 1.41 |
4 | ボルシア・メンヒェングラートバッハ | 60 | 17 | 9 | 8 | 49 | 24 | 25 | 48522298 | 37.8 | 0.63 |
5 | バイエル・レヴァークーゼン | 54 | 15 | 9 | 10 | 52 | 44 | 8 | 65648916 | 51.2 | 0.95 |
6 | VfBシュトゥットガルト | 53 | 15 | 8 | 11 | 63 | 46 | 17 | 78411126 | 61.2 | 1.15 |
7 | ハノーファー96 | 48 | 12 | 12 | 10 | 41 | 45 | -4 | 49456494 | 38.6 | 0.8 |
8 | VfLヴォルフスブルク | 44 | 13 | 5 | 16 | 47 | 60 | -13 | 56996834 | 44.5 | 1.01 |
9 | ヴェルダー・ブレーメン | 42 | 11 | 9 | 14 | 49 | 58 | -9 | 78807905 | 61.5 | 1.46 |
10 | 1.FCニュルンベルク | 42 | 12 | 6 | 16 | 38 | 49 | -11 | 61430961 | 47.9 | 1.14 |
11 | 1899ホッフェンハイム | 41 | 10 | 11 | 13 | 41 | 47 | -6 | 50743650 | 39.6 | 0.97 |
12 | SCフライブルク | 40 | 10 | 10 | 14 | 45 | 61 | -16 | 39760704 | 31 | 0.78 |
13 | 1.FSVマインツ05 | 39 | 9 | 12 | 13 | 47 | 51 | -4 | 47992938 | 37.4 | 0.96 |
15 | ハンブルガーSV | 36 | 8 | 12 | 14 | 35 | 57 | -22 | 74340947 | 58 | 1.61 |
17 | 1.FCケルン | 30 | 8 | 6 | 20 | 39 | 75 | -36 | 50713819 | 39.6 | 1.32 |
18 | 1.FCカイザースラウテルン | 23 | 4 | 11 | 19 | 24 | 54 | -30 | 50772882 | 39.6 | 1.72 |
で、このデータから計算すると、2010/11シーズンのブンデスにおける勝ち点と年俸の相関係数は0.66でした。Jリーグとそんな変わりませんね。散布図も作りましたが、
こうなってます。
ブンデスリーガは、比較的、Jリーグと良く似ているリーグと言われます。というか、Jリーグがブンデスを模範にして作られたンで、当然っちゃ当然なんですが。
さて、最大の違いは、というとブンデスには本物のビッグクラブが存在している事です。つまり、バイエルンミュンヘンです。ブンデスリーガを一つの町とすると、一人だけ町に巨人がいる訳です。
なんで、フツーに考えたらというか、基本的に、ブンデスはバイエルンの一強リーグでして、
ブンデスリーガ:22回優勝
DFBポカール:15回優勝
CL:4回優勝
と、ぶっちぎりの成績を残してます。基本的に、リーグ戦は、バイエルンとそれ以外って状況になりがちです。
とまあ、ここまでは誰でも知ってる事なんですが、ここ2シーズンほど、異変が起きてて、ドルトムントがリーグを2連覇するという珍妙な状況です。
で、ドルトムントとクロップの話になるんですけどね。ちょっとクロップの経歴の話をしましょう。クロップが、ドイツの小規模クラブ、マインツの監督になったのが2001年なんですけど、そこから、異常ともいえる事が起こるんですがね、以下、マインツの成績なんですけど、
シーズン | リーグ | 試合 | 勝 | 分 | 敗 | 勝点 | 得 | 失 | 順位 | |
00-01 | 2nd ブンデスリーガ | 34 | 10 | 10 | 14 | 40 | 37 | 45 | 14 | |
01-02 | 2nd ブンデスリーガ | 34 | 18 | 10 | 6 | 64 | 66 | 38 | 4 | クロップ監督就任 |
02-03 | 2nd ブンデスリーガ | 34 | 19 | 5 | 10 | 62 | 64 | 39 | 4 | |
03-04 | 2nd ブンデスリーガ | 34 | 13 | 15 | 6 | 54 | 49 | 34 | 3(昇格) | |
04-05 | ブンデスリーガ | 34 | 12 | 7 | 15 | 43 | 50 | 55 | 11 | |
05-06 | ブンデスリーガ | 34 | 9 | 11 | 14 | 38 | 46 | 47 | 11 | |
06-07 | ブンデスリーガ | 34 | 8 | 10 | 16 | 34 | 34 | 57 | 16(降格) | |
07-08 | 2nd ブンデスリーガ | 34 | 16 | 10 | 8 | 58 | 62 | 36 | 4 | クロップ退任 |
こうなりました。まぁ、うちのブログで、「クロップの経歴が凄い」って話をちょくちょくしてきましたが、これね、成績的にありえねーんですよ。クロップの就任前は、マインツは勝率30%程度のチームだった訳です。それが、就任後、いきなり勝率50%くらいのチームになってるわけですから。1シーズンだけだったら、運が良かっただけかもしれませんが、その後も継続的に結果を残し続けてるんです。これ、ちょっとありえない。
で、ドルトムントでもそうなんですけどね、
シーズン | リーグ | 試合 | 勝 | 分 | 敗 | 勝点 | 得 | 失 | 順位 | |
04-05 | ブンデスリーガ | 34 | 15 | 10 | 9 | 55 | 44 | 40 | 7 | 債務超過による破綻寸前危機 |
05-06 | ブンデスリーガ | 34 | 11 | 13 | 10 | 46 | 45 | 42 | 7 | |
06-07 | ブンデスリーガ | 34 | 12 | 8 | 14 | 44 | 41 | 43 | 9 | |
07-08 | ブンデスリーガ | 34 | 10 | 10 | 14 | 40 | 50 | 62 | 13 | |
08-09 | ブンデスリーガ | 34 | 15 | 14 | 5 | 59 | 60 | 37 | 6 | クロップ就任 |
09-10 | ブンデスリーガ | 34 | 16 | 9 | 9 | 57 | 54 | 42 | 12 | |
10-11 | ブンデスリーガ | 34 | 23 | 6 | 5 | 75 | 67 | 22 | 優勝 | |
11-12 | ブンデスリーガ | 34 | 25 | 6 | 3 | 81 | 80 | 25 | 優勝 |
大体、ドルトムントの場合、2004年に債務超過やらかして破綻寸前になり、その後3年ほど低迷してた訳です。この時期は、大体勝率30%くらいのチームでした。ところが、クロップが就任すると、またもや勝率が50%まで上がってるんですね。で、2010年、日本から香川、ユースからゲッツェというもの凄い当たりクジを引いたことで、一気にチーム力が上がり、勝率70%のチームになったわけです。
これね、まずありえないンですよ。正直、これだけ劇的にチームの成績を引き上げられる監督って、滅多におりません。
又、ドルトムントのフロントも凄いですわ。勝ち点1稼ぐのに8700万円ほどしか使ってませんし、あのバイエルンを二度に渡って王座から退けているわけです。総年俸の差はこのデータだと60億の差です。バイエルンが移籍金に使った金額を合わせれば、軽く100億の差は出ます。こんだけ使った額が違うのに、バイエルンより勝ち点稼げるってのは、ありえねーです。
勿論、これは運もありますけどね。ただ、ドルトムントってチームは、金の使い方がホント上手くなりました。一方で、どうしようもないのがバイエルンとウリ・ヘーネスなんですがね。
基本的に、ウリ・ヘーネスはクラブ経営は上手いけど、選手の取り方が上手くないです。バイエルンが勝ち点1ポイントを取るのに使った金額は1.8億で、これ、他のビッグクラブと比較すると、相当に悪い数字なんです。
あのね、バイエルンがまともなら、ドルトムントはノーチャンスです。これだけ差があるんだから。
ただ、バイエルンってアホな金の使い方するんですよホント。こないだもハビ・マルティネスを4000万ユーロで買ってましたが、もうアホかと。よっぽどドルトムントに追い詰められたんですかね。4000万ユーロでハビ・マルティネス一人とはね。やれやれ。
まあね、基本的に、貧乏人が金持ちに勝てる可能性がある時ってのは、金持ちが馬鹿でモノの価値がわかってないケースです。ブンデスリーガの最近の状況みてると、バイエルンはモノの価値がわかってません。だから、ドルトムントにまくられるんです。フンメルスをドルトムントに放出したりね。フンメルスをドルトムントに放出して分捕られ、ハビマルティネスを4000万ユーロとか、やれやれですよ。
あと、基本的にドルトムントに選手を売っちゃ駄目ですよ。あそこはモノの価値がわかってるクラブですからね。貧乏人がもうけたい時は、馬鹿な金持ちにポンコツを売りつけるのが一番です。
つまりですけど、Jリーグのチームが高値で選手を売り抜けたいなら、選手の希望なんて関係なく、まずは金の使い方がアホな、ケルン、ハンブルガーSV、ヴェルダーブレーメンのGMに電話かけて売り込むべきなんです。で、高値で売りつけるべきです。
セリエAの順位と総年俸の相関性、2010/11シーズン
さて、お次がセリエAになります。
順位 | クラブ | 試合 | 勝利 | 引き分 | 敗戦 | 得点 | 失点 | 点差 | 勝ち点 | 総年俸(ドル) | 総年俸 単位億 | 年俸/勝ち点 |
1 | ユヴェントス | 38 | 23 | 15 | 0 | 68 | 20 | 48 | 84 | 117399399 | 91.57 | 1.09 |
2 | ミラン | 38 | 24 | 8 | 6 | 74 | 33 | 41 | 80 | 152619219 | 119.04 | 1.49 |
3 | ウディネーゼ | 38 | 18 | 10 | 10 | 52 | 35 | 17 | 64 | 26486450 | 20.66 | 0.32 |
4 | ラツィオ | 38 | 18 | 8 | 12 | 56 | 47 | 9 | 62 | 48133754 | 37.54 | 0.61 |
5 | ナポリ | 38 | 16 | 3 | 9 | 66 | 46 | 20 | 61 | 41732623 | 32.55 | 0.53 |
6 | インテル | 38 | 17 | 7 | 14 | 58 | 55 | 3 | 58 | 142522871 | 111.17 | 1.92 |
7 | ローマ | 38 | 16 | 8 | 14 | 60 | 54 | 6 | 56 | 97441501 | 76 | 1.36 |
8 | パルマ | 38 | 15 | 11 | 12 | 54 | 53 | 1 | 56 | 24301676 | 18.96 | 0.34 |
9 | ボローニャ | 38 | 13 | 12 | 13 | 41 | 43 | -2 | 51 | 26532264 | 20.7 | 0.41 |
10 | キエーヴォ | 38 | 12 | 13 | 13 | 35 | 45 | -10 | 49 | 17386565 | 13.56 | 0.28 |
11 | カターニア | 38 | 11 | 15 | 12 | 47 | 52 | -5 | 48 | 26237334 | 20.47 | 0.43 |
13 | フィオレンティーナ | 38 | 11 | 13 | 14 | 37 | 43 | -6 | 46 | 51343625 | 40.05 | 0.87 |
15 | カリアリ | 38 | 10 | 3 | 15 | 37 | 46 | -9 | 43 | 22036726 | 17.19 | 0.4 |
16 | パレルモ | 38 | 11 | 10 | 17 | 52 | 62 | -10 | 43 | 30867452 | 24.08 | 0.56 |
17 | ジェノア | 38 | 11 | 9 | 18 | 50 | 69 | -19 | 42 | 45187315 | 35.25 | 0.84 |
18 | レッチェ | 38 | 8 | 12 | 18 | 40 | 56 | -16 | 36 | 19757460 | 15.41 | 0.43 |
20 | チェゼーナ | 38 | 4 | 10 | 24 | 24 | 60 | -36 | 22 | 10457137 | 8.16 | 0.37 |
こうなります。この年の、勝ち点と年俸の相関係数は0.69です。ここもJリーグと数字的には似てますね。散布図も載せておきますが、
こうなります。
さて、セリエAなんですけど、ここで最もアホな金の使い方をしているクラブは、インテルの1強です。インテルほど、アホな金の使い方をするクラブは、他にありません。勝ち点1を稼ぐのに1億9200万を使うチームでして、これ、チェルシー、リヴァプールと並んで、最も高コスト体質のチームです。アホですねー。
さて、インテルが超高コスト体質なのは明らかな訳ですが、2009/2010シーズンではユヴェントスも、勝ち点1を稼ぐのに2億ほど費やしており、高コストの馬鹿クラブでした。ただ、2010/11シーズンでは、ビッグクラブで一番、低コスト体質なチームに切り替わっています。勝ち点1を稼ぐのに1億という、効率のいい投資を行っているわけです。
さて、その原動力は、というと。
これね、コンテに注目が集まってますが、僕は、このユヴェントスの成績、コンテよりも、GMのジュゼッペ・"ベッペ"・マロッタの就任が大きいと思ってます。
彼、2002−2010年の期間、サンプドリアのGMやってたんですが、この時期のサンプドリアの成績が凄くてね、
2002-2003 セリエB 2位 昇格←ここでマロッタがGM就任
2003-2004 セリエA 8位
2004-2005 セリエA 5位
2005-2006 セリエA 14位→12位
2006-2007 セリエA 9位
2007-2008 セリエA 6位
2008-2009 セリエA 12位
2009-2010 セリエA 4位←ここでマロッタが退任
2010-2011 セリエA 18位(セリエB降格)
となってます。まあ、サンプドリアはマロッタと共にはじまり、マロッタが退任したら大騒ぎという感じです。GMとしては、イタリア屈指ですね。少ない予算でチーム作らせたら、凄い手腕を発揮します。
でもって、ユーヴェに来ても、それは変わってなくてですね、ユヴェントスの総年俸って、いまんとこ、ミランとインテルと比べると少なめなんですが、見事にスクデットを勝ち取ってます。まあ、ユーヴェは、マロッタがGMやってる限りは、インテルみたいな事にはならんでしょう。2010年に、彼がユーヴェのGMになったのは、ホント大きかったなと。モノの価値がわかってるGMさんなのです。
それから、もう一つ、セリエで、「金をかけずに勝つ」というマジックを成し遂げているのが、ウディネーゼです。年俸総額20億かそこらのチームで、セリエAに踏みとどまり、時々、上位に食い込むという奇跡のチームです。2010/11シーズンでは、勝ち点1取るのに3200万円というギャグみたいな投資効率を誇り、金さえあれば、今頃、セリエAを飲み込む怪物になりかねないってチームです。まあ、金がないんで、いかんともしがたいのですがね。ここは、世界各国にスカウト網を張り巡らせて、いい選手を安くとってくるので有名ですよね。
セリエAは戦術化が激しいリーグなんですが、少ない予算で何シーズンも残留に成功し、時々上位に食い込むチームってのは、戦術的に優れているチームより、少ない予算でいい選手を取ってくるのが上手いチームなのが実情なんです。まあ、これは、どこのリーグも変わらない事ですけどね。
予算の無いチームはね、戦術より、編成のほうが大事なんですよ。少ない予算でいい選手を取ってくるスカウティングが上手いチームじゃないと、中小クラブは生き残れません。
戦術ってのはね、基本的に、競争の激しい場所だと、一番最初に研究されて真似されて対策建てられてしまうので、長期でみれば、競争優位を生んではくれないモンなんです。戦術とか練習メニューは真似されやすいので、これはしょうがないんですけどね。
リーガ・エスパニョーラの順位と総年俸の相関性、2010/11シーズン
さて、次がリーガですが、ここは、実際に計算してみたら、激しく脱力しました。
順位 | クラブ名 | 試合 | 勝 | 分 | 敗 | 得点 | 失点 | 差 | 勝ち点 | 年俸総額 | 年俸総額(単位億円) | 年俸/勝ち点 |
1 | レアル・マドリード | 38 | 32 | 4 | 2 | 121 | 32 | 89 | 100 | 194915932 | 152.03442696 | 1.52 |
2 | FCバルセロナ | 38 | 28 | 7 | 3 | 114 | 29 | 85 | 91 | 217014221 | 169.27109238 | 1.86 |
3 | バレンシアCF | 38 | 17 | 10 | 11 | 59 | 44 | 15 | 61 | 76637764 | 59.77745592 | 0.98 |
4 | マラガCF | 38 | 17 | 7 | 14 | 54 | 53 | 1 | 58 | 17379601 | 13.55608878 | 0.23 |
5 | アトレティコ・マドリード | 38 | 15 | 11 | 12 | 53 | 46 | 7 | 56 | 64388286 | 50.22286308 | 0.9 |
6 | レバンテUD | 38 | 16 | 7 | 15 | 54 | 50 | 4 | 55 | 14448102 | 11.26951956 | 0.2 |
7 | CAオサスナ | 38 | 13 | 15 | 10 | 44 | 61 | -17 | 54 | 21358065 | 16.6592907 | 0.31 |
8 | RCDマヨルカ | 38 | 14 | 10 | 14 | 42 | 46 | -4 | 52 | 27849242 | 21.72240876 | 0.42 |
9 | セビージャFC | 38 | 13 | 11 | 14 | 48 | 47 | 1 | 50 | 63655412 | 49.65122136 | 0.99 |
10 | アスレティック・ビルバオ | 38 | 12 | 13 | 13 | 49 | 52 | -3 | 49 | 47741558 | 37.23841524 | 0.76 |
11 | ヘタフェCF | 38 | 12 | 11 | 15 | 40 | 51 | -11 | 47 | 25860011 | 20.17080858 | 0.43 |
12 | レアル・ソシエダ | 38 | 12 | 11 | 15 | 46 | 52 | -6 | 47 | 26174100 | 20.415798 | 0.43 |
14 | RCDエスパニョール | 38 | 12 | 10 | 16 | 46 | 56 | -10 | 46 | 30152562 | 23.51899836 | 0.51 |
16 | レアル・サラゴサ | 38 | 12 | 7 | 19 | 36 | 61 | -25 | 43 | 41459774 | 32.33862372 | 0.75 |
18 | ビジャレアルCF | 38 | 9 | 14 | 15 | 39 | 53 | -14 | 41 | 41040989 | 32.01197142 | 0.78 |
19 | スポルティング・デ・ヒホン | 38 | 10 | 7 | 21 | 42 | 69 | -27 | 37 | 9516055 | 7.4225229 | 0.2 |
20 | ラシン・サンタンデール | 38 | 4 | 15 | 19 | 28 | 63 | -35 | 27 | 20729886 | 16.16931108 | 0.6 |
何が脱力したって、相関係数の高さです。相関係数0.88と出ており、なんぞコレ・・・と。で、R2も高くて、
R2(決定係数)高杉だろ、リーガェ・・・・・
まあ、なんというか、リーガの2010/11シーズンに関しては、ほとんど年俸で説明ついちまうじゃねーかバーヤバーヤ。こんなの知りたくなかったわい。
まあ、アレですよ。リーガは始まる前から「レアルかバルサが優勝すんだろバーヤ」と誰もが思ってますが、今年もそーでしょーね。ここほど優勝チームの予想が簡単なリーグはありません。バルサかレアルのどっちかしか優勝の可能性がない訳だし。
なんですけどね。
これ、作ってみて気づいたんですよ。「あれ、マラガ凄いじゃん」と。
マラガなんですけどね、カタールの王族の一人、シェイク・アル=タニが2010年に買い取ってます。まあ、よくあるオイルマネーによるサッカークラブ買収でして、僕としては「どーせ金を湯水のように使って順位あげんだろ」とか思ってたんですが、ちょっと見る目がかわりました。
なんでかというと、思ってたより、選手の総年俸が低い。平均給与も6900万円くらいで、フツーです。ホントにフツー。
なのに、昨シーズンは驚くほど多くの勝ち点(53点)を挙げてるし、今年も今現在、勝ち点7取って3位につけてます。チームも、ベテランと若手を上手く融合させたチームになってて、バランスがいい。
去年のリーガですが、レバンテとマラガが偉い投資効率の良さでして、ちょっと信じられません。低予算で、あれほど勝てるとわ・・・・
もし、今年もマラガが低予算で勝ち続けたら、こりゃ、ちょっとしたセンセーションですよ。
まあ、リーガについては、とんでもなく、効率的な移籍市場をもってるようで、良い選手は、みんな金持ってるクラブに行って、金持ってるクラブが勝つ傾向がどこよりも強いようです。
アホらしいと思うかもしれませんが、そーゆーリーグみたいです。
年俸が高い選手は良い選手。それはいいとして・・・・
今までの奴は、データ的にちょっとずれがあるので、アレですが、手に入る他の年俸データで計算する限り、2009/10シーズンのセリエだと、年俸総額と順位の相関性は74%ほどでした。ガゼッタの年俸データでやったんですけどね。
色々思う事はありますが、海外のリーグや、Jリーグで数値を計算してみると、やっぱり、サッカーのリーグ戦で、一番大切なのは、「良い選手が取れるかどうか」のようです。そして、いい選手ほど年俸が高い。たとえ低くても、選手が結果をだせば、やがては年俸が高くなる。
従って、貧乏クラブは、運良く、凄くいい選手が取れたとしても、いずれは年俸を払えなくなり、金持ちクラブに選手を売らざるを得なくなる。そして、順位には総年俸の差が反映されていく。結果として、長い目でみれば、金持ちクラブに勝つのは不可能で、貧乏クラブにはチャンスがない。
まあ、納得いく説明かと思います。実際、今回調べたリーグ全てで、年俸と順位には相関性が0.67〜0.88程度見られたわけです。長い目でみると、相関性はさらに強くなる。結局、順位予想というので、一番、てっとり早いのは、総年俸の順に並べる。それだけです。つまんないですけどね。
むかーし、日経の「私の履歴書」で野村克也、元阪神監督が連載してて、ある時に球団社長に向かって
野村「野球で一番大切なのは何だと思いますか?」
社長「監督じゃないのか?」
野村「違います編成ですよ」
みたいなやりとりをしたってのを読んだ覚えがあるんですがね。その後、阪神の編成部にメスが入ることになるんですけどね。
野村さンによれば、スカウトがよくいうのが「10年にひとりの逸材」って奴です。野村さンにいわせれば、スカウトのいう「将来性」ほど当てにならないものはないそうですが。だから、即戦力として、大卒と社会人をほしがったそうですが、それが阪神だと全然叶わない、と。もっとも、最近は、切り替えてるみたいですけどね。
これ、野球に限らないんですけどね。バスケット、サッカー、アメフト、全部そうです。毎年のように「10年にひとりの逸材」ってのが現れます。まるでボジョレーヌーボーですけどね。
95年「ここ数年で一番出来が良い」
96年「10年に1度の逸品」
97年「1976年以来の品質」
98年「10年に1度の当たり年」
99年「品質は昨年より良い」
00年「出来は上々で申し分の無い仕上がり」
01年「ここ10年で最高」
02年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄え」「1995年以来の出来」
03年「100年に1度の出来」「近年にない良い出来」
04年「香りが強く中々の出来栄え」
05年「ここ数年で最高」
06年「昨年同様良い出来栄え」
07年「柔らかく果実味が豊かで上質な味わい」
08年「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」
09年「50年に1度の出来栄え」
10年「今年は天候が良かった為、昨年並みの仕上がり。爽やかでバランスが良い」
まあ、サッカーも、こんな感じですけどね。タレントの所に、その年にデビューして騒がれた選手の名前でも入れて遊べますよ。毎年のよーに10年に一度のタレントが発生するのは、サッカーの世界じゃよくあることです。それどころか、今まで、何人の100年に一度のタレントがいたんだっていう。サッカーが生まれてから、まだ200年もたってないのに。
てか、スカウトという人々は、若手を破滅させる為に、「前途有望」とか「100年に1度の逸材」とか「天才」とか「最高傑作」とか呼んでるんじゃないかと思ってしまうほどで。「10年に1度の逸材」の破滅率、「マラドーナ二世」、「ペレ二世」の破滅率の高さといったら、ちょっと尋常じゃありません。
そういう傾向があるんで、基本的に、これもよくいわれるのが「選手の将来性なんてわからない」って奴です。
まあ、確かにその通りです。
しかし、少数ですが、「金をかけずに勝つ」というマジックを長期間に渡って成し遂げているクラブが、現実にはいくつかあるわけです。何故か、若手や聞いた事もない選手の発掘が上手いクラブもある。そして、金かけてるのに散々な成績のクラブもある。
市場と同じで、貧乏人に勝ち目があるのは、市場に馬鹿がいる場合です。ギャンブルでカモがいるケースです。辺りを見回して、カモがいなければ、カモは貴方ですけどね。
サッカーの選手市場が完全に効率的だとしたら、貧乏人には勝ち目がないんですよ。でも、実際のところ、効率的とは言えない場所があるんです。だから、そこを上手く利用したクラブが、年俸から予測されるより、良い成績を収める事が可能な余地が少しだけ残っているんです。
次は、サッカーの世界や他のスポーツの世界で、かつて存在した非効率の話でもしようかな、と思います。データの話を延々としてきましたが、本当にやりたかったので、こっちの話なんどす。
話が長くなりすぎたんで、今日はこの辺りで。