- 作者: ステファン・アインホルン,池上明子
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2015/12/03
- メディア: 単行本
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Slackのruby-jpの本を紹介するチャネルで紹介されていて面白そうだから買ってみた。
「やさしさ」とはなんなのだろう?この本では、多面的に「やさしさ」について触れられていた。
人に伝わるのは気持ちではなく行動
ちょっと身も蓋もないところはあるが、「大切なのは気持ちではなく行動だ」と序盤のほうに書いてある。これは真実なのでうなずかざるを得ない。気持ちで思っていても行動が伴っていなければ伝わらない。
体臭のきつい同僚に注意すべきか?
すごいトピックやなと思ったが、本の中では質問をすると大体の人が傷つけないために注意しないという感じだったが、果たしてそれでいいのか?という問いだった。本人は避けられている原因がわからないままになるかもしれない。孤立し、終いには仕事を辞めてしまうかも。そして次の職場でも、また同じ問題が起こるのでは…。と書かれていた。 真のやさしさは、注意するという行動であり、そのためには勇気が必要となる。仲間のために思い切った行動にでる必要がある。 体臭ではないにしても、こういう機会はわりかしよくある。そのときに、どう振舞えるか…。自分は行動に出る派でありたい。まぁ注意するにしても、人前では避けるようにしていかんとなと思う。
やさしくするのは難しい
本のタイトルになっているだけあって、やさしさは技術なのだからポイントを捉えればやさしくすることができるのであるが、そのやさしさを阻害する要因がたくさん列挙されていた。
- リソース不足
- 共感力不足
- 思慮不足
- 「他人事」主義
- 理想と現実の落差に無自覚であること
- 生物としての攻撃性
- 無力感
- 「誰かがやるだろう」という思い込み
- 選べない選択肢
トピックのタイトルだけでなんとなく想像がつきそうなものが多い。余裕がなかったり、他人と干渉することを面倒臭がったり、やさしくしているつもりだったり、やっても無駄と感じてしまったり、自分がやらなくてもよいと思ったり。 全能感を持ってやさしくすることはできないし、その場にあるリソース・判断力で自分の中にある倫理に則った行動でやりくりしていくしかない。しかし、リソースが枯渇しすぎると、判断力が鈍る。マイナスの要因に気付けるよう、自分を見つめなおす、考える時間が必要。
利己主義と善は相反さない
世の中は「やさしくすると得をする」という結論になっていると論理的に導けるという。やさしさは常に他人のことを考えて自分を犠牲にして・・・と捉えられる場合があるが、本当はやさしい人の大半は利己的な動機に基づいて行動している。他人のために行動して自分も得をする。ここでは、賢い利己主義者と書いてあったが、違う本でも同様なことが書いてあって「健全な自己中心主義」と呼ばれていた(たしか)。健全な自己中心主義は、「だれかの為に役に立ちたい!喜ばれたい!」という欲求に従って善いことをするやつだったと思うが、そういう気持ちに火のついた人・チームは強い。
やさしさと成功の関係
成功とは何か?
本を読んだ感じだと、成功とは判断に時間のかかることで、死後に成功することもあるし、その逆で成功と思われていたが大惨事になることもある。年収などの外的要因を成功の尺度とした場合、最初はいいが慣れてくるとだんだん幸せを感じにくくなるという(まぁわからんでもないけれど年収が高いに越したことはないと思うが…)。外的要因に幸福度を求めれば求めるほど、青天井なので不幸を感じやすくなる。やはり大事なのは内的要因なのだ。内的要因による成功の定義は自分しか行うことができない。
やさしくなると成功する
成功者になるための行動が2つに集約されていた。
- やさしい人になること
- ものごとを判断する際、常にやさしさを基準とすること
「上司だって褒められたい」というところを読んで、感謝はちゃんと伝えなければと思った。また、「批判をしないのは相手が成長する機会を奪うこと」というのは気を付けたいポイント。ポジティブな批判、というかフィードバック。攻撃ではなく、仲間意識・思いやりを持った助言。前半のほうにもちょろっと書いたが、個別に。人前では避ける。
自分の欠点や失敗をオープンにするというのも、他人の欠点や失敗に寛容になるための行動。
衝突が避けられないとき
アンガーマネジメント的なことも多少書いてあった。運動がいいとか。 衝突は敗者を生む。なので、なるべく避けたほうがいい。妥協点を探る等。衝突してもメリットはお互いにほとんどない。面白いプラクティスに、視点を変えるというものがあった。ある物事の反対派と擁護派に分かれて議論すると、新たな気付きが生まれ、妥協点が見つかるようになるというものだ。自分の正しさの論理にしがみつくと、相手を従わせようとしている感じになってしまい、反発を食らってしまう。相手の論理がどうなのか?を自分なりに考える機会をお互いに設けることで、妥協点が見つかりやすくなるのだろう。そこでの気付きが、自分を変えるキッカケになる。人間は変わることができるが、それはあくまで内的要因からしか難しい。 衝突が起きた場合、大事なのはその後の行動。新しい関係を築けるように全力を出すこと。もし失敗してネガティブな感情を抱くと、自分を見失ってしまう。より攻撃的になる。 「もうこんなことはしないし、したくない」と決心すること、と書いてあったが、これを誠実に伝えられるかどうかだろう。
まとめ
やさしさとは、倫理的になり、行動すること。倫理感を育てるには、自身の行動を振り返り、よくなかった点について内省する必要がある。よく言われることだが、刃を研ぐ時間は、どんなことに関しても必要なのだろう。そして、思いやりを持って、勇気をもって、行動しよう。その思いやりは、巡りめぐって、自身に返ってくる。