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《櫻井ジャーナル》

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2014.11.12
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 新自由主義を採用している以上、富の集中は必然で、アメリカの場合、上位0.1%の富裕層が保有する富は全体の22%におよび、下位90%のそれと同じだという。特に富の集中が著しいのは上位0.01%で、その比率は11%に達する。日本の支配層もそうした仕組みに憧れ、自分たちも富を独占しようと目論んでいることは間違いないだろう。そう考えなければ、安倍晋三政権の政策は説明できない。

 安倍政権は消費税の税率を上げ、法人税の税率を引き下げようとしている一方、社会福祉の仕組みを破壊、さらに国を巨大資本が支配する仕組みに作り上げるTPPを推進している。中央大学の富田幸雄名誉教授によると、日本では企業の利益に対する実際の納税額の割合(実効税負担率)が低く、例えば2013年3月期の場合、最も低い三井住友ファイナンシャルグループは0.002%、次いでソフトバンクは0.006%、みずほファイナンシャルグループは0.09%、三菱UFJファイナンシャル・グループは0.31%といった具合だ。(富岡幸雄著『税金を払わない巨大企業』文藝春秋、2014年)

 これだけ低い一因は大企業への優遇策があるのだが、そのベースには1970年代の後半から進んだオフショア市場のネットワークがある。ロンドン(シティ)を中心として世界に張り巡らされ、スイス、ルクセンブルグ、オランダといった古いタックス・ヘイブンに比べて秘密度が高い。この仕組みに最も精通しているのは金融機関のはずで、実際の税率はさらに低いだろう。

 このネットワークは投機市場と結ばれ、「国境なき巨大資本」や富裕層だけでなく、麻薬資金のロンダリングにも利用されている。UNODC(国連薬物犯罪事務所)によると、2010年の前に麻薬取引の利益は年間6000億ドルに達し、金融機関でロンダリングされている資金の総額は1兆5000億ドルに達するという。(UNODC, “Annual Report 2010”)

 今から2年前、HSBCのプライベートバンクに勤めていた元従業員が約2万4000人の外国人口座に関する詳細な記録を含む資料を入手、ギリシャで出されているホット・ドック誌の編集者、コスタス・バクセバニスは同銀行ジュネーブ支店にあるギリシャ人の口座を明らかにしている。

 この情報をギリシャ政府はフランスの財務大臣から知らされていたが、ギリシャ当局は脱税の捜査には消極的で、動いていなかった。そこでバクセバニスはリストを公表したのだが、この公開に怒った当局は迅速に編集者を逮捕している。

 実は、アメリカの圧力で西側がロシアに「制裁」を始めると、ロシア政府は公的な立場の人間が外国で銀行口座を持てないようにルールを変更した。アメリカが各国のエリートを買収していることは公然の秘密だが、その報酬をタックス・ヘイブンに隠すことができないようにしたわけだ。これは日本でも導入すべきルールだろう。

 菅直人政権にしろ、野田佳彦政権にしろ、安倍政権にしろ、社会的な「強者」が富を独占する不公正な仕組みを強化しようとしているが、彼らにしてみるとまだ不十分。おそらく街頭に餓死者が溢れるまで「貧困問題」は存在しないと主張する気だろう。その仕組みを早く実現するため、安倍政権は選挙を実施するかもしれないらしいが、庶民が疲弊した社会は脆弱。崩壊する可能性もある。

 富岡名誉教授は自著の中で次のようなことを書いている:

 「日本を戦争に駆り立てた原因のひとつに、国家財政のもろさや経済の脆弱さがあげられます。日本の財政や経済の弱さを補うために、他国に侵出を企んだのです。」(前掲書)





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最終更新日  2014.11.12 19:10:41



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