産経、争点を作り出す。
【土・日曜日に書く】論説委員・石川水穂 拉致問題も衆院選の争点に (1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090725/plc0907250255000-n1.htm
「靖国参拝で自民党は勝つる!」があまりにも評判が悪かったためか、産経新聞論説委員諸氏は、無い知恵を絞ってさまざまな“争点”を持ち込もうとしているみたいです。
この石川委員の論説も、なんかもうね。「鳩山氏の最近の言動からは〔拉致問題解決への姿勢が〕よく分からない」と書いた直後に「平成9年4月、当時も民主党代表だった鳩山氏は」とかね。12年前の発言を「最近の」って言われても*1。その間に、北朝鮮が拉致を公式に認めるという根本的な動きがあったことは別にしてさえ、あまりにもぶっ飛んだ時間感覚です。なお、12年前の鳩山氏の発言内容も、拉致がまだ公式に確定していない段階で、人道援助を優先させよう、というだけのものです。
菅直人氏への批判にいたっては、19年前の辛光洙容疑者釈放嘆願署名のことを持ち出しています。「2ちゃんのコピペなみ」という産経クオリティの伝統を、石川氏は花岡信昭先輩からしっかり受け継いでいるようです。
いずれの例も、「最近なにも言っていないから、わからない」で済む話で(後半では実際に、政権政党がなにを考えているかわからないのじゃ困る、という批判をしています)、「最近なにも言っていないから、状況が違う昔の言動を持ち出す」のでは、ただ民主党を批判したいだけなのか、と思われてもしかたありません。
また、今年2月の小沢一郎氏の発言として「拉致問題は北朝鮮に何を言っても解決しない。カネをいっぱい持っていき、『何人かください』って言うしかないだろ」をまた持ち出していますが、産経がこの発言を“スクープ”したときからずっと、その真偽が疑われています。会合での発言なら、証言者の一人や二人出てきそうなものですが*2、いまだに産経はその点を明らかにしていないようです。まあ、産経がこの発言を報じた連載「民主党解剖」の単行本(( ISBN:9784819110648。どうでもいいけどこの本のAmazon.jpのレビューは、現在3件ついていますが、すべてが星5つ、すべてが「参考になった」得票率100%です。))の帯にもでかでかとこの発言が使われているので、産経としてはなにかよほどの確信があってのことなのでしょうが、それなら堂々とソースを明かしてほしいものです。
岡田克也氏と前原誠司氏についても、訪米時の発言を元に叩いています。しかし「拉致より核」という発言は、拉致最優先の価値観で見ないかぎり、それなりに正当な主張でしょう。北朝鮮の核兵器を含めた軍事力にあれだけ警鐘を鳴らしている産経が、北朝鮮の核廃絶に否定的とは考えられないことです。ええと、これで歴代民主党代表揃い踏みで叩かれているわけですね。無理くりですけど。
【主張】憲法改正 日本どうするかの議論を - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/281975/
助詞を抜くな。昨日の「北」もそうですが、見出しぐらいきちんとした日本語を使ってください。
こちらで持ち込もうとしている争点は改憲ですが、憲法審査会規定の審議を民主党が拒否した、という批判をしていて、これは自民党の怪文書 政策パンフレットとまったく同じですね。民主主義の原則は本来は議論と説得による全会一致(に近い形)であって、多数決は手段でしかありません。国民投票法の制定過程(安倍内閣による2/3条項を使った強行採決)に疑問が呈されているのも、当たり前です。また、産経「主張」はなにか勘違いしているようですが、憲法改正のテーマは第九条だけではありません。
「憲法改正」を争点にするのなら、安倍内閣をピークに自民党が54年間続けてきた改憲・解釈改憲に関する横暴を、あらためて問い直すことから、でしょう。