1月27日に行われたフジテレビ社長ら経営陣の会見では、遠藤龍之介副会長らの失言も相次いだ。会見に出席したジャーナリストの柴田優呼さんは「『(接待に)女性を差し出す』『女性を刺激しないように』と違和感のある言葉ばかり。フジテレビ経営陣には女性の人権に配慮する意識が薄いことがはっきりわかってしまった」という――。

フジテレビに問われたのは「女性の人権を守る姿勢」

『女性セブン』と『週刊文春』の報道に端を発した中居正広・フジテレビ問題。最初の記者会見でフジテレビは、動画撮影と配信を許さず、質問者を少数の記者クラブ加盟社に限定するという報道機関にあるまじきことをして批判を浴び、大手企業のスポンサー撤退が相次ぐ事態が起きた。それでは、フリー記者も入れてオープンに行った二度目の記者会見により、危機は打開できたのだろうか。

結論から言うと、会見前から指摘されていたコーポレートガバナンスの問題が、かなりお寒い状況にあることが印象づけられる結果となった。この問題は英語メディアをはじめ、世界中で報道済みだ。フジテレビがしっかり人権に配慮する企業だという確証が得られない限り、逃げたスポンサーは戻ってこないだろう。

そのための重要なポイントの1つは、フジテレビに女性の人権を守る姿勢があると確認できるかどうかだ。中居氏が被害女性に「手を上げる等の暴力」ではない(中居氏の声明)、どんな加害行為をしたのか。両者の間で示談が成立し、守秘義務が結ばれていることもあり、詳細は不明だ。ただ、フジテレビが被害を受けた後の女性にどのように接してきたのか、元々こうした問題が起きないよう、どんな配慮をしていたかということについては、会見で説明可能なはずだった。

フジテレビジョン代表取締役社長・港浩一氏(2025年1月27日時点)
撮影=石塚雅人
フジテレビジョン代表取締役社長・港浩一氏(2025年1月27日時点)

港社長の「女性に刺激を与えない」という言葉のチョイス

しかし会見の結果、フジテレビの経営陣には女性の人権に配慮する意識が希薄であることがはっきりわかってしまった。27日付で辞任した港浩一社長は「女性の心身の状態を最優先にした」などと語ったが、被害に遭った女性に「刺激を与えないように」という、違和感のある表現を何度も繰り返した。

「刺激を与えない」とは一体何を言いたいのだろう。こうした場合「ショックを与えない」「心理的なダメージを避ける」といった表現を使うのが普通だ。被害者がまるで、取り扱い注意の危険な存在であるかのような、リスペクトに欠ける言い方だ。被害者の心情に寄り添おうという思考回路が欠落しているように見える。

被害女性をこのように、自分たちにとってのリスク要因のように見なすことは、今回の問題が中居氏の「女性トラブル」と呼ばれていることと相通じるものがある。実際は、中居氏が女性に対して加害行為をしたと思われるのに、つまりトラブルを起こした主体は中居氏の方なのに、まるで女性がトラブルの元であるかのようにも取れる表現だ。原因と結果を転倒したこうした言い回しに、XなどのSNSでは多くの批判が集まっている。