流行りに乗って取りあえず図書館にカフェを併設。それだけで本当にいいの?

解説:図書館×カフェ。その役割をさらに掘り下げるべきでは?

「歴史的に見れば、カフェは公共性を体現してきた場でもあり、同じく公共性を旨とする図書館とは本来的には相性がいい。だからこそ、昨今の図書館×カフェのブームも持続しているところがあるだろう」――。こう分析するのは、各地で公共図書館のコンサルティングを手掛け、図書館専門誌「ライブラリー・リソース・ガイド」を発行するアカデミック・リソース・ガイド代表の岡本真氏だ。ただし、安易にカフェを導入しても長続きしないと釘を刺す。

「このような歴史性の文脈もなく、ただ『おしゃれ』『都会的』という印象だけでカフェを誘致する動向には懐疑的だ。そのときの流行を追うだけでは持続性に課題が現れるのは目に見えているからだ。また、排除の論理になるわけではないが、安易に全国チェーン的な店舗の誘致に傾きがちな点も気になる。現在、日本各地に全国的にも著名な地域性あるカフェが増えており、地域経済循環の観点からは、これらの地域性あるカフェとの連携も視野に入れるべきではないか」

さらに言えば、そこに図書館は本当に必要なのだろうか。もしかしたら、「図書館以外の空間」の方が、その場所にふさわしいかもしれない。青森県八戸市では、「本のまち八戸」を目指す中で、市立図書館とは別に、“市営のセレクト書店”ともいえる「八戸ブックセンター」を運営している*1。福井県敦賀市では、図書館でも書店でもない、本を核とした新しい形の知育・啓発施設を、敦賀駅前で開発中の複合施設内にオープン予定だ*2。いずれもカフェを併設した空間となっている。

このように、最近では、あえて「図書館」という枠から外れたところで、「本」を介して街と人をつなげる新たな空間の可能性が見出されている。では、図書館には何ができるのか。カフェと結びつくことでどのような価値が加わるのか。改めて深く問い直すことで「図書館×カフェ」はさらなる進化を遂げるのかもしれない。