『ヴェニスの商人』
『ヴェニスの商人』
監督:マイケル・ラドフォード
出演:アル・パチーノ/ジェレミー・アイアンズ
/ジョセフ・ファインズ/リン・コリンズ
純粋に「面白い」かどうかと言われたらさっくり違うとは言えるんですが。
画面は終始一貫美しかったよね、あと、俳優に不足があったかというとそんなこともわりとなく。演技に不満とかはないんですよ。
んじゃあ、脚本が「不味かった」かというとちょっと違うかなぁ、と。
考えさせるのには充分というか、なんかちぐはぐな部分も含めて、最初からそう作られていたような気もしないでもないんだよなぁ。これ、さあ、ちぐはぐなのってむしろ世の中じゃないかって気がするんだよね。
この話にそもそもすっきりする正義ってありうるのかなぁ。
うんつまり、シェイクスピアの原典(と言っていいものかすら;)からして。
シャイロックさんて「悪」なの? という意味だけじゃなくて。
確かにナイフぶっさして肉を抉るって言ってたけど、それをただ断罪するのには冒頭の最初からなんにもしておらず、挨拶をしただけで唾を吐きかけられたことから考えなきゃならない気がするし。
そしてその後、お金を持ち出して逃げ出してしまった娘さんのことも。
そもそも最初の最初から、「金貸し」がいかに悪かってことを叫ぶ人らがいるけど。
別に無理矢理貸してるわけでもなんでもなく、そして貸している、という事実そのものを特に責めているというわけですらなく。なんかしみじみと聞いていると、貸すまではいいけどその後取り立てるとはどういう了見だと言ってるよーにしか聞こえず。
まあ、案外と誘惑として存在するのが駄目っつってるのかもしれませんが。
それだったらなんとか許せないでもないですが、一方的にユダヤ人が悪いというわけではもちろんないよねぇ。どう考えても。
そもそもどーも他の仕事は出来ないように締め出したらしいしね。
(なんかユダヤ人に独占されちゃうんだって、なにをやらせても。)
誰をどのように責めていいのかもよくわかんないですよ、人種差別的なことをとりあえず脇に置いておくと、いわゆる市場の独占寡占状態であって解消しなきゃなんないけれども、それが人種問題と絡むとどうしていいやらわかんないし。
そもそもユダヤ人を受け入れた、という前提があるんですよね、彼ら。
しかし別にユダヤ人に悪意があったというのにもなんか違うでしょう、いや、悪意はあったと思うけど、そんなん誰にでもあるじゃない。商売するのに商売仲間ならともかく、ライバルに対して蹴落とそうと思ってもそれって当り前じゃない。
そんな果てにヴェニスっていう商業都市はあって。
ユダヤ人を他の商売からまず締め出して、それから、金貸しを「神に逆らう」と言い張ってしれって口を拭っていて。
誠実で友人思いで(ユダヤ人の商人ですらちょっと一目置く)よーな青年実業家にすら、なんの恨みもなく唾を吐かせる状態にあるわけでしょ。
「彼」だけが悪いの?
つーか、シャイロックさんってただ「彼」だけが憎かったの?
それはどっちが被害者でどっちが加害者かって言ったら、シャイロックさんか「彼」かしかなくて、それはとりあえずどういう認識を持ってるかでは決まるけど、そうなるとそれは彼らだけの罪かってことになる。
憎しみも恨みもしょうがないところがあるって思うよ、どうしても。
特にまあ、シャイロックさんがなあ、名優でなぁ。。。
ちょっとなに虐げてんのよ?! とはぶっちゃけ思うっす(シンプルだな!)。
んで、そういうリアリティ極まりない状況に平行する。
「女を射落とすためにお金貸してー♪」というふうに友人にせびりに来る色男。命を掛けても君のために! とか言っちゃう馬鹿友人。
あー、もういいからさ、あれだよ。
君が養え、馬鹿男。
そして射落としに行った先の女性と、微→妙に水面下で争そっていたように見えました、というかそういうふうに見せてただろう、なに考えてんだ演出?!(脚本でしょ)
この女性がメインだと思うんです、颯爽としてて。
うん、結構格好良かったと思うんですよ見目とか。
あったまわっるい(いろんな意味で)男どもに浚われちゃったかな、と...orz
新婚の夫はがっちり抱え込めたから、、、いい気味だ、わははは。w
ところでシャイロックさん以外(ユダヤ金貸しさん)の名前を覚えようともしなかった辺りー、まあいいじゃん、出演情報でも一番最初なんだしな!