この作品にも田中圭! 『アンサンブル』川口春奈の元恋人役で最大のキーパーソンに
自身のパフォーマンスを最良のものへと更新し続けてきた俳優・田中圭の「代表作」と呼べるものは、いまでは数知れずである。映画、ドラマ、演劇と、彼はバランスよく俳優活動を展開し、「また田中圭」「この作品にも田中圭」といった状況が長いこと続いている。今期もまたそうだ。放送がはじまったばかりの『アンサンブル』(日本テレビ系)における彼にはその役どころからして、期待せずにはいられないというものだろう。
本作は、主演の川口春奈が“現実主義”の弁護士を演じるリーガルラブストーリー。主人公・小山瀬奈(川口春奈)は恋愛トラブルの案件を多く扱う弁護士だが、恋愛は“コスパ”と“タイパ”が悪いという考えを持つ現実主義者だ。これには彼女自身の過去のトラウマと、さまざまなカップルのトラブルばかりを目の当たりにする日々が原因になっているらしい。
ところがそんな彼女の前に、理想主義者の新人弁護士・真戸原優(松村北斗)が現れる。瀬奈は“愛”というものを真っ直ぐに信じる彼とバディを組むこととなり、恋愛トラブルに関する法廷劇を繰り広げていくことに。第1話でもさっそくその兆しがあったが、やがてふたりの距離は縮まっていくらしい。ここからどのような関係性へと発展するのか、ユニークな設定であるだけに、演じる川口と松村の新たな一面も見られるのではないだろうか。
さて、ここで気になるのが田中圭の存在。彼が演じるインバウンドベンチャー企業の代表・宇井修也は、瀬奈が8年前まで5年間も交際していた元恋人だ。彼は8年前、瀬奈の前から姿を消した。瀬奈にとってトラウマになっている“ある過去”とはこのことだ。そして第1話のラストで彼は、再び瀬奈の前に姿を現した。これは穏やかではない。主人公のトラウマに関係している人物ーーつまり宇井修也とは、本作における最大のキーパーソンだといえる。
田中がキーパーソンを演じた作品でいうと、前クールに放送された『わたしの宝物』(2024年/フジテレビ系)が記憶に新しい。同作は“托卵”をモチーフとした、男女3人の歪な三角関係を描くものだった。田中が演じた神崎宏樹は、その妻で専業主婦の美羽(松本若菜)に対してモラハラ的な態度を取ってしまう人物だったが、それは美羽の視点から見た宏樹像だともいえる。物語が宏樹という人物にフォーカスするたび、彼には彼の苦しみがあることに触れ、そこに人間という生き物の複雑さを垣間見たのは私だけではないはずである。
では、またも男女3人の歪な三角関係が生まれることになりそうな『アンサンブル』はどうだろうか。修也が瀬奈の前から消えたのは事実だが、“突然いなくなった”というのは瀬奈の主観的な捉え方であり、それがいまのところの事実ではあるが真実ではない。修也の視点からのみ見える事実というものがあるはずだし、これらを照らし合わせたうえで見えてくる真実があるはずだ。番組公式サイトの修也の人物紹介ページには、「ある大きな秘密を抱えており、瀬奈に驚きのアプローチをすることになる」と記されている。果たして修也はどんな秘密を抱え、瀬奈に対してどんなアプローチをしていくのだろうか。