『アラウンド10万の定番機になり得る逸品。再生ソフトも安定。』 FiiO M11 Plus ESS FIO-M11PLES-B [64GB] SeaCrowさんのレビュー・評価

2022年 2月25日 発売

M11 Plus ESS FIO-M11PLES-B [64GB]

  • 従来機「M11 Plus LTD」のDACチップをESS製ハイスペックDACチップ「ES9068AS」へと変更し、性能が向上したデジタルオーディオプレーヤー。
  • 「M11 Plus LTD」と比較して高S/N比・低ひずみ・低消費電力を実現し、THXの特許技術アンプ「AAA-78」を搭載しより強力なヘッドホンドライブ力を獲得。
  • PCM384kHz/32bit、DSD256/1bitの再生に対応。連続再生時間14時間、高速充電対応の6000mAh大容量バッテリーを搭載している。
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記憶媒体:内蔵メモリ/microSDカード 記憶容量:64GB 再生時間:14時間 インターフェイス:USB3.0 Type-C ハイレゾ:○ ストリーミングサービス対応:○ M11 Plus ESS FIO-M11PLES-B [64GB]のスペック・仕様

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M11 Plus ESS FIO-M11PLES-B [64GB]FiiO

最安価格(税込):¥84,000 (前週比:±0 ) 発売日:2022年 2月25日

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デザイン5
携帯性3
バッテリ5
音質5
操作性5
付属ソフト5
拡張性4
アラウンド10万の定番機になり得る逸品。再生ソフトも安定。

(2023/2/24追記:最初、「アンダー10万の定番機」として投稿しましたが、FiiO製品の大幅値上げで10万円超えとなったため、書き換えました。価格的にソニーのNW-ZX707とNW-WM1AM2の間に位置する格好になっています。音質面ではソニーも魅力的と思いますが、タグ解釈に問題があったりと、ソフトウェアの仕様に納得できない面があり、こちらを推す気持ちに変わりはありません。)

中華DAPに関しては、再生ソフトウェアの質が低いのではないかという先入観がありました。(音はともかく、タグ解釈や安定性の面で。)ただ、FiiOは一般のAndroid端末向けに、DAPに入っているものと同等のアプリ、FiiO MusicをGoogle Playストアで無料配布しており、これの使用感が良かったので、この製品の導入に踏み切りました。

以下、音質評価に際して、イヤホンにFiiO FD7(4.4mmバランス接続)、ヘッドホンにAustrian Audio Hi-X65を用いて評価しています。音源は、ハイレゾとロスレスでクラシック全般、ジャズ、ポップスなどを一通り。

【デザイン】
スマホのように角を丸めておらず、ゴツゴツとエッジが立っている感じが、オーディオ製品としての貫禄を感じさせます。表面の仕上げの美しさや、頑丈そうな剛性感も好印象。

【携帯性】
大きさ的にはスマホを分厚くしたくらいですが、重さが295gあり、服のポケットに入れるのはきついです。

【バッテリー】
消費電力の小さなDACチップ、余力のあるSoCのおかげか、 Wi-Fiでストリーミングサービスを使ってもかなり持ってくれます。ウォークマンのNW-A105で地獄を見ていた頃とは別世界の快適さです。充電時間は、公式サイトによるとQC4.0で3時間とのこと。QC非対応の充電器だと、大体5時間くらいかかります。

【音質】
ある程度の価格帯以上のFiiO製品は、中華オーディオらしいドンシャリ強調感を、品のある濃密感に昇華させた上で、基本的な解像度や周波数レンジも充実させた、ハイエンド志向の音作りがなされているように思います。この製品もまさにその典型例で、一聴した際のアピール力を十分に持ちつつも、あらゆるジャンルの音楽を自然に鳴らせる力を持っています。

フル・オーケストラを余裕を持って鳴らせますし、アコースティック楽器のソロも自然な音色と響きが心地よいです。ポップス系では、きらびやかさを持ちつつ、重心の低い安定感のある音を聴かせます。

ヘッドホンでの使用に関しては、当方は100Ωなど高インピーダンスのものを所持していないので、あまり検証できていませんが、25Ω(感度110dB)のAustrian Audio Hi-X65を接続した場合、本体のゲイン設定をHighにして丁度いい感じで、問題なくドライブできていると感じます。

【操作性】
Snapdragon 660を搭載し、余分なアプリもデフォルトで入っていない状態になっているので、動作は十分サクサクしています。Android端末としては、「戻る」などの物理ボタンは付いておらず、スワイプによる操作が基本となります。

音量はハードウェアボタン押下による調節の他に、ボタン表面をスライド(スワイプ)することでスムーズな調節が可能。誤操作が心配ですが、自分は慣れました。予期せぬ大音量が心配なら、スライドを無効化したり、ダブルタップしてからスライド操作をするように設定を変えることもできます。

【付属ソフト】
FiiO Musicアプリは、オーソドックスな作りで、タグの解釈もウォークマンの「W.ミュージック」より安定しており、満足の行くものです。当方は、1TBのSDカードに、1万以上のファイル、700GBあまりを保存していますが、インデックス作成の速さ、スクロールの速さなども十分です。

なお、FiiO公式サイトのサポートページで、AAC(m4a)とMQAのギャップレス再生には非対応とのアナウンスがあります。対応させたい場合は別のアプリを入れる必要があります。

AAC(m4a)ファイルに関しては、Apple Music(iTunes)の書式のタグしか対応していないようで、それ以外だと、ジャンルなどのタグが無効となります。Apple Music以外で購入したりリッピングしたAACファイルに関しては、一度iTunesなどで取り込んだ上でコピーすることで、問題なく認識します。

【その他のソフト】
画面上部の通知エリアに、現在DACに入ってきている信号のサンプリングレートを表示させることができ、他社製アプリを使った場合も、ビットパーフェクト出力ができているかを確認できます。

Apple Music、Qobuzは問題なく対応できています。Amazon Music HDは、FiiO公式サイトのサポートページにも言及がある通り、独自の仕様となっているため、(この製品に限らず)ビットパーフェクト出力はできません。ファイル再生アプリでは、USB Audio Player Proは対応している一方で、Onkyo HF Playerは非対応でした。

【拡張性】
この製品は、Androidの音声設定に関し、デフォルトで「絶対音量を無効にする」ように設定されており、ワイヤレスイヤホンなど、Bluetoothオーディオ製品を使用する際は、音量が小さくなってしまう場合があります。「開発者オプション」を開放した上で、当該項目のチェックを外すことで、普通に使用できるようになります。詳細はFiiO公式サイトのサポートページに記述があります。

USB DACとしての使用は、基本的にPC向けのもので、スマホ、タブレットからの接続は考慮されていません。iPadをカメラアダプター経由で接続しましたが、認識されませんでした。

【総評】
音質、操作性など、いずれも上質で、安心して身を任せられ、音楽に浸れる一品です。新型のハイエンドウォークマン(NW-WM1ZM2/AM2)の発表直後の購入でしたが、コスパ的にも納得の行く買い物だったと思っています。

ジャンル
クラシック・オペラ
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その他

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バッテリ5
音質5
操作性5
付属ソフト5
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アンダー10万の定番機になり得る逸品。再生ソフトも安定。

中華DAPに関しては、再生ソフトウェアの質が低いのではないかという先入観がありました。(音はともかく、タグ解釈や安定性の面で。)ただ、FiiOは一般のAndroid端末向けに、DAPに入っているものと同等のアプリ、FiiO MusicをGoogle Playストアで無料配布しており、これの使用感が良かったので、この製品の導入に踏み切りました。

以下、音質評価に際して、イヤホンにFiiO FD5(4.4mmバランス接続)、ヘッドホンにAustrian Audio Hi-X65を用いて評価しています。音源は、ハイレゾとロスレスでクラシック全般、ジャズ、ポップスなどを一通り。

【デザイン】
スマホのように角を丸めておらず、ゴツゴツとエッジが立っている感じが、オーディオ製品としての貫禄を感じさせます。表面の仕上げの美しさや、頑丈そうな剛性感も好印象。

【携帯性】
大きさ的にはスマホを分厚くしたくらいですが、重さが295gあり、服のポケットに入れるのはきついです。

【バッテリー】
消費電力の小さなDACチップ、余力のあるSoCのおかげか、 Wi-Fiでストリーミングサービスを使ってもかなり持ってくれます。ウォークマンのNW-A105で地獄を見ていた頃とは別世界の快適さです。充電時間は、公式サイトによるとQC4.0で3時間とのこと。QC非対応の充電器だと、大体5時間くらいかかります。

【音質】
ある程度の価格帯以上のFiiO製品は、中華オーディオらしいドンシャリ強調感を、品のある濃密感に昇華させた上で、基本的な解像度や周波数レンジも充実させた、ハイエンド志向の音作りがなされているように思います。この製品もまさにその典型例で、一聴した際のアピール力を十分に持ちつつも、あらゆるジャンルの音楽を自然に鳴らせる力を持っています。

フル・オーケストラを余裕を持って鳴らせますし、アコースティック楽器のソロも自然な音色と響きが心地よいです。ポップス系では、きらびやかさを持ちつつ、重心の低い安定感のある音を聴かせます。

ヘッドホンでの使用に関しては、当方は100Ωなど高インピーダンスのものを所持していないので、あまり検証できていませんが、25Ω(感度110dB)のAustrian Audio Hi-X65を接続した場合、本体のゲイン設定をHighにして丁度いい感じで、問題なくドライブできていると感じます。

【操作性】
Snapdragon 660を搭載し、余分なアプリもデフォルトで入っていない状態になっているので、動作は十分サクサクしています。Android端末としては、「戻る」などの物理ボタンは付いておらず、スワイプによる操作が基本となります。

音量はハードウェアボタン押下による調節の他に、ボタン表面をスライド(スワイプ)することでスムーズな調節が可能。誤操作が心配ですが、自分は慣れました。予期せぬ大音量が心配なら、スライドを無効化したり、ダブルタップしてからスライド操作をするように設定を変えることもできます。

【付属ソフト】
FiiO Musicアプリは、オーソドックスな作りで、タグの解釈もウォークマンの「W.ミュージック」より安定しており、満足の行くものです。当方は、1TBのSDカードに、1万以上のファイル、700GBあまりを保存していますが、インデックス作成の速さ、スクロールの速さなども十分です。

なお、FiiO公式サイトのサポートページで、AAC(m4a)とMQAのギャップレス再生には非対応とのアナウンスがあります。対応させたい場合は別のアプリを入れる必要があります。

AAC(m4a)ファイルに関しては、Apple Music(iTunes)の書式のタグしか対応していないようで、それ以外だと、ジャンルなどのタグが無効となります。Apple Music以外で購入したりリッピングしたAACファイルに関しては、一度iTunesなどで取り込んだ上でコピーすることで、問題なく認識します。

【その他のソフト】
画面上部の通知エリアに、現在DACに入ってきている信号のサンプリングレートを表示させることができ、他社製アプリを使った場合も、ビットパーフェクト出力ができているかを確認できます。

Apple Music、Qobuzは問題なく対応できています。Amazon Music HDは、FiiO公式サイトのサポートページにも言及がある通り、独自の仕様となっているため、(この製品に限らず)ビットパーフェクト出力はできません。ファイル再生アプリでは、USB Audio Player Proは対応している一方で、Onkyo HF Playerは非対応でした。

【拡張性】
この製品は、Androidの音声設定に関し、デフォルトで「絶対音量を無効にする」ように設定されており、ワイヤレスイヤホンなど、Bluetoothオーディオ製品を使用する際は、音量が小さくなってしまう場合があります。「開発者オプション」を開放した上で、当該項目のチェックを外すことで、普通に使用できるようになります。詳細はFiiO公式サイトのサポートページに記述があります。

USB DACとしての使用は、基本的にPC向けのもので、スマホ、タブレットからの接続は考慮されていません。iPadをカメラアダプター経由で接続しましたが、認識されませんでした。

【総評】
音質、操作性など、いずれも上質で、安心して身を任せられ、音楽に浸れる一品です。新型のハイエンドウォークマン(NW-WM1ZM2/AM2)の発表直後の購入でしたが、コスパ的にも納得の行く買い物だったと思っています。

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デザイン5
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アンダー10万の定番機になり得る逸品。再生ソフトも安定。

中華DAPに関しては、再生ソフトウェアの質が低いのではないかという先入観がありました。(音はともかく、タグ解釈や安定性の面で。)ただ、FiiOは一般のAndroid端末向けに、DAPに入っているものと同等のアプリ、FiiO MusicをGoogle Playストアで無料配布しており、これの使用感が良かったので、この製品の導入に踏み切りました。

以下、音質評価に際して、イヤホンにFiiO FD5(4.4mmバランス接続)、ヘッドホンにAustrian Audio Hi-X65を用いて評価しています。音源は、ハイレゾとロスレスでクラシック全般、ジャズ、ポップスなどを一通り。

【デザイン】
スマホのように角を丸めておらず、ゴツゴツとエッジが立っている感じが、オーディオ製品としての貫禄を感じさせます。表面の仕上げの美しさや、頑丈そうな剛性感も好印象。

【携帯性】
大きさ的にはスマホを分厚くしたくらいですが、重さが295gあり、服のポケットに入れるのはきついです。

【バッテリー】
消費電力の小さなDACチップ、余力のあるSoCのおかげか、 Wi-Fiでストリーミングサービスを使ってもかなり持ってくれます。ウォークマンのNW-A105で地獄を見ていた頃とは別世界の快適さです。充電時間は、公式サイトによるとQC4.0で3時間とのこと。QC非対応の充電器だと、大体5時間くらいかかります。

【音質】
ある程度の価格帯以上のFiiO製品は、中華オーディオらしいドンシャリ強調感を、品のある濃密感に昇華させた上で、基本的な解像度や周波数レンジも充実させた、ハイエンド志向の音作りがなされているように思います。この製品もまさにその典型例で、一聴した際のアピール力を十分に持ちつつも、あらゆるジャンルの音楽を自然に鳴らせる力を持っています。

フル・オーケストラを余裕を持って鳴らせますし、アコースティック楽器のソロも自然な音色と響きが心地よいです。ポップス系では、きらびやかさを持ちつつ、重心の低い安定感のある音を聴かせます。

ヘッドホンでの使用に関しては、当方は100Ωなど高インピーダンスのものを所持していないので、あまり検証できていませんが、25Ω(感度110dB)のAustrian Audio Hi-X65を接続した場合、本体のゲイン設定をHighにして丁度いい感じで、問題なくドライブできていると感じます。

【操作性】
Snapdragon 660を搭載し、余分なアプリもデフォルトで入っていない状態になっているので、動作は十分サクサクしています。Android端末としては、「戻る」などの物理ボタンは付いておらず、スワイプによる操作が基本となります。

音量はハードウェアボタン押下による調節の他に、ボタン表面をスライド(スワイプ)することでスムーズな調節が可能。誤操作が心配ですが、自分は慣れました。予期せぬ大音量が心配なら、スライドを無効化したり、ダブルタップしてからスライド操作をするように設定を変えることもできます。

【付属ソフト】
FiiO Musicアプリは、オーソドックスな作りで、タグの解釈もウォークマンの「W.ミュージック」より安定しており、満足の行くものです。当方は、1TBのSDカードに、1万以上のファイル、700GBあまりを保存していますが、インデックス作成の速さ、スクロールの速さなども十分です。

なお、FiiO公式サイトのサポートページで、AAC(m4a)とMQAのギャップレス再生には非対応とのアナウンスがあります。対応させたい場合は別のアプリを入れる必要があります。

AAC(m4a)ファイルに関しては、Apple Music(iTunes)の書式のタグしか対応していないようで、それ以外だと、ジャンルなどのタグが無効となります。Apple Music以外で購入したりリッピングしたAACファイルに関しては、一度iTunesなどで取り込んだ上でコピーすることで、問題なく認識します。

【その他のソフト】
画面上部の通知エリアに、現在DACに入ってきている信号のサンプリングレートを表示させることができ、他社製アプリを使った場合も、ビットパーフェクト出力ができているかを確認できます。

Apple Music、Qobuzは問題なく対応できています。Amazon Music HDは、FiiO公式サイトのサポートページにも言及がある通り、独自の仕様となっているため、(この製品に限らず)ビットパーフェクト出力はできません。ファイル再生アプリでは、USB Audio Player Proは対応している一方で、Onkyo HF Playerは非対応でした。

【拡張性】
この製品は、Androidの音声設定に関し、デフォルトで「絶対音量を無効にする」ように設定されており、ワイヤレスイヤホンなど、Bluetoothオーディオ製品を使用する際は、音量が小さくなってしまう場合があります。「開発者オプション」を開放した上で、当該項目のチェックを外すことで、普通に使用できるようになります。詳細はFiiO公式サイトのサポートページに記述があります。

USB DACとしての使用は、基本的にPC向けのもので、スマホ、タブレットからの接続は考慮されていません。iPadをカメラアダプター経由で接続しましたが、認識されませんでした。

【問題点】
Androidモードでは、サンプリング周波数やビット深度が切り替わった際に、一瞬音が途切れます。(違和感がないように、一応フェードインの処理がされます。)中華DAPやDACでは珍しくない仕様ですが、ちゃんと頭から聴きたかったら、リワインドか再選曲をしなくてはなりません。この製品唯一の不満点です。

Pure Musicモード(純正のFiiO Musicアプリ以外の動作を止めてしまうモード)ではこの問題は起きません。Androidモードでもアップデートで改善されると嬉しいのですが。

【総評】
音質、操作性など、いずれも上質で、安心して身を任せられ、音楽に浸れる一品です。新型のハイエンドウォークマン(NW-WM1ZM2/AM2)の発表直後の購入でしたが、コスパ的にも納得の行く買い物だったと思っています。

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付属ソフト5
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アンダー10万の定番機になり得る逸品。再生ソフトも安定。

中華DAPに関しては、再生ソフトウェアの質が低いのではないかという先入観がありました。(音はともかく、タグ解釈や安定性の面で。)ただ、FiiOは一般のAndroid端末向けに、DAPに入っているものと同等のアプリ、FiiO MusicをGoogle Playストアで無料配布しており、これの使用感が良かったので、この製品の導入に踏み切りました。

以下、音質評価に際して、イヤホンにFiiO FD5(4.4mmバランス接続)、ヘッドホンにAustrian Audio Hi-X65を用いて評価しています。音源は、ハイレゾとロスレスでクラシック全般、ジャズ、ポップスなどを一通り。

【デザイン】
スマホのように角を丸めておらず、ゴツゴツとエッジが立っている感じが、オーディオ製品としての貫禄を感じさせます。表面の仕上げの美しさや、頑丈そうな剛性感も好印象。

【携帯性】
大きさ的にはスマホを分厚くしたくらいですが、重さが295gあり、服のポケットに入れるのはきついです。

【バッテリー】
消費電力の小さなDACチップ、余力のあるSoCのおかげか、 Wi-Fiでストリーミングサービスを使ってもかなり持ってくれます。ウォークマンのNW-A105で地獄を見ていた頃とは別世界の快適さです。充電時間は、公式サイトによるとQC4.0で3時間とのこと。QC非対応の充電器だと、大体5時間くらいかかります。

【音質】
ある程度の価格帯以上のFiiO製品は、中華オーディオらしいドンシャリ強調感を、品のある濃密感に昇華させた上で、基本的な解像度や周波数レンジも充実させた、ハイエンド志向の音作りがなされているように思います。この製品もまさにその典型例で、一聴した際のアピール力を十分に持ちつつも、あらゆるジャンルの音楽を自然に鳴らせる力を持っています。

フル・オーケストラを余裕を持って鳴らせますし、アコースティック楽器のソロも自然な音色と響きが心地よいです。ポップス系では、きらびやかさを持ちつつ、重心の低い安定感のある音を聴かせます。

ヘッドホンでの使用に関しては、当方は100Ωなど高インピーダンスのものを所持していないので、あまり検証できていませんが、25Ω(感度110dB)のAustrian Audio Hi-X65を接続した場合、本体のゲイン設定をHighにして丁度いい感じで、問題なくドライブできていると感じます。

【操作性】
Snapdragon 660を搭載し、余分なアプリもデフォルトで入っていない状態になっているので、動作は十分サクサクしています。Android端末としては、「戻る」などの物理ボタンは付いておらず、スワイプによる操作が基本となります。

音量はハードウェアボタン押下による調節の他に、ボタン表面をスライド(スワイプ)することでスムーズな調節が可能。誤操作が心配ですが、自分は慣れました。予期せぬ大音量が心配なら、スライドを無効化したり、ダブルタップしてからスライド操作をするように設定を変えることもできます。

【付属ソフト】
FiiO Musicアプリは、オーソドックスな作りで、タグの解釈もウォークマンの「W.ミュージック」より安定しており、満足の行くものです。当方は、1TBのSDカードに、1万以上のファイル、700GBあまりを保存していますが、インデックス作成の速さ、スクロールの速さなども十分です。

なお、FiiO公式サイトのサポートページで、AAC(m4a)とMQAのギャップレス再生には非対応とのアナウンスがあります。対応させたい場合は別のアプリを入れる必要があります。

AAC(m4a)ファイルに関しては、Apple Music(iTunes)の書式のタグしか対応していないようで、それ以外だと、ジャンルなどのタグが無効となります。Apple Music以外で購入したりリッピングしたAACファイルに関しては、一度iTunesなどで取り込んだ上でコピーすることで、問題なく認識します。

【その他のソフト】
画面上部の通知エリアに、現在DACに入ってきている信号のサンプリングレートを表示させることができ、他社製アプリを使った場合も、ビットパーフェクト出力ができているかを確認できます。

Apple Music、Qobuzは問題なく対応できています。Amazon Music HDは、FiiO公式サイトのサポートページにも言及がある通り、独自の仕様となっているため、(この製品に限らず)ビットパーフェクト出力はできません。ファイル再生アプリでは、USB Audio Player Proは対応している一方で、Onkyo HF Playerは非対応でした。

【拡張性】
この製品は、Androidの音声設定に関し、デフォルトで「絶対音量を無効にする」ように設定されており、ワイヤレスイヤホンなど、Bluetoothオーディオ製品を使用する際は、音量が小さくなってしまう場合があります。「開発者オプション」を開放した上で、当該項目のチェックを外すことで、普通に使用できるようになります。詳細はFiiO公式サイトのサポートページに記述があります。

USB DACとしての使用は、基本的にPC向けのもので、スマホ、タブレットからの接続は考慮されていません。iPadをカメラアダプター経由で接続しましたが、認識されませんでした。

【問題点】
中華DAPやDACでは珍しくない仕様ですが、サンプリング周波数やビット深度が切り替わった際に、一瞬音が途切れます。例えば、44.1kHz/16bitの楽曲を再生した後に、96kHz/24bitの楽曲を再生すると、頭が一瞬途切れます。(違和感がないように、一応フェードインの処理がされます。)ちゃんと頭から聴きたかったら、一旦リワインドしなくてはなりません。この製品唯一の不満点です。

国内メーカーの製品ではまずあり得ないことですが、中華製品だと据置の高級DACでもこれが当たり前になっている感があり、文化の違いとして解釈するしかないのでしょう。

【総評】
音質、操作性など、いずれも上質で、安心して身を任せられ、音楽に浸れる一品です。新型のハイエンドウォークマン(NW-WM1ZM2/AM2)の発表直後の購入でしたが、コスパ的にも納得の行く買い物だったと思っています。

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