2013年8月8日の緊急地震速報時に図書館・書店にいた人たちの反応から地震への備えを考える
2013年8月8日(木)16時56分頃、緊急地震速報が全国の広範囲に発信され、各地でいろいろなトラブルや反応がありました。また、今回は地震による被害はなかったとはいえ、いざ緊急地震速報が流れた場合、どういった行動をすべきか、今後の備えに必要な気付きが多かったと思います。
ということで、今回の緊急地震速報を図書館や書店などで体験した人たちのつぶやきを追ってみました。(Togetterも作成しましたが、あまりにも不特定多数の方のつぶやきを利用しているので非公開としています)
全体の反応から、心理的な反応と、実際の行動とに分けて考えてみました。
心理的反応
つぶやきの中から心理的なコメントを追い、ざっくりですが、恐怖(不安)、怒り(不快)、恥ずかしい、疑問、安心、笑い(強がり?)、に反応を分けてみました。
【恐怖(不安)】
- 大勢の人のアラームが鳴り、大音量となって余計に怖い。
- 普段、静かな環境なので、大きな音は余計に恐怖感が増した。
- 緊急地震速報の音色自体が怖い。
- 地震発生までのカウントダウンの放送が、余計に怖い。
- 書架のあいだ、書庫にいて怖かった。本棚に挟まれる、本が落ちてくる、死を想像したなど。
- 建物がガラス張りで怖かった。
- 建物を出て余震が来るのが怖い。帰路での地震に遭遇するのが怖い。
- テレビやラジオなど情報が入ってこない、状況がわからないので不安。
- 職員の人が動揺していて、こっちも不安。
【怒り(不快)】
- 緊急地震速報の音がうるさい。
- 予想が外れたことについて。
【恥ずかしい】
- 緊急地震速報が最初に鳴った、最後に鳴った。自分だけ鳴った。
- 机の下に潜ったり、避難したのが自分だけだった。
【疑問】
【安心】
- ひとりじゃなく、周りに友達がいて安心。(友達以外でも)たくさん人がいて安心。
- パニックになったが、他の人が声をかけてくれて落ち着いた。
- 家にいて地震がくるよりも安心。
【笑い(強がり?)】
- 一斉に音が鳴っておもしろかった。
- 誰も反応せず、そのまま本を読んでる・勉強していておかしかった。
特に気になったのが、何も反応しない人たち、何をしていいかわからなかった人たち、緊急地震速報の音を知らない人たち、緊急地震速報が鳴らなかった人たち。
過去の地震の経験からも、何も反応しない人たちは相当に多い気がします。東日本大震災はじめ多くの地震を経験し、今後、首都圏や東海などの地震対策がメディアなどで取り上げられていても、すでにオオカミ少年の常態化が進んでいるような・・。割と大きめの地震があった際も、避難や反応せず黙々と読書や勉強を続ける人たちが多かったようです。何をしていいかわからなかった人たちも多く、本当に大きな地震がきてからでは遅いので、避難ルートや安全な場所への避難など、いざという時にどう動くのか考えておくことが大事だと思います。
あと緊急地震速報が鳴らなかった人は、なんでならなかったのか確認しておくべきだと思います。設定なのか、機種本体の不具合なのか。
何の音かわからなかった人も、事前に音を確認しておくべきです。特に西日本では今回初めて聞いたという人たちも多かったようです。
緊急地震速報の音や設定についてはこちらで確認することができます。(できることならあまり聞きたくないですが、予習はしておきましょう)
緊急地震速報を受信したときの警報音(サンプル)(aubyKDDIofficial)
実際の行動(利用者)
では実際に緊急地震速報が鳴った際、どういった行動をとった人たちがいたか、すこし列挙したいと思います。
- 机の下に避難した。(Twitter上では中学生、高校生などが多かったようですが、実際には小学生なども潜っている気がします)
- 逃げる準備をした、実際に外に避難した
- 無反応(何もしない、読書・勉強を続ける)
- 何もできなかった(無反応とはニュアンスが違う)
- 職員の指示があるまで無反応
- 書庫や書架にいて、緊急地震速報が聞こえなかった
- 訓練かと思った
- 動揺、子どもが泣く
- 寝てて起きた、寝たまんまだった
- 電車が動かず帰れない
- 携帯の充電が切れていた
- 近くにいた知らない人と話した、声をかけあった
- 図書館内で緊急地震速報が鳴ってしまったので、静かにしないといけないと思い、内容を確認せず切ってしまった
- 靴を履いた(靴を脱いで勉強、和室とかあるところも?)
- Twitter、LINEで情報確認をした
- 地震速報が鳴ったことをつぶやいた(←圧倒的多数。「最初に鳴った」のコメントが多い)
Twitterで安否確認や情報確認をしている人達も多いですが、最近はLINEを使って確認をするケースもあるようです。東日本大震災時はまだLINEはありませんでしたが、LINEだとグループにも同時にメッセージを届けられる、また読んだかどうかの既読状況がわかるそうです。ユーザー数も増えていますし、安否確認など非常時の活用ツールの1つとして考えておいた方がよさそうです。以下は2013年4月13日に起きた淡路島地震に関する記事です。
実際の行動(職員)
職員側の行動も追ってみました。(一部、利用者側のコメントより把握できたもの、類推されるものも含みます)
- 地震に備えて、棚から離れて 窓から離れてと指示
- 避難誘導を行なった
- 動揺して何もできなかった
- 何の対応なく、普通に仕事していた
- 館内放送でラジオを流した
- 「音声はOFFにしてください」、「通話は禁止」(本当に??)
- 電話対応中だったが、すぐに切って館内対応した
- 利用者のアラームで気がついた(職員がケータイ未携帯)
具体的な避難誘導などのマニュアルはあっても、緊急地震速報があってから何をすべきかは結構対応が難しいような気がします。また今回含め、職員側も情報収集や情報提供をどのようにするか。館内放送でラジオを流すは結構有効な気がしました。また着地、収束の判断も難しいですね。いろいろと考えさせられます。
なお当日は甲子園大会も行われていましたが、特に混乱はなかったようです。しかし人数規模からすれば多いはずですが、歓声や応援などで音が薄れ、図書館内などで聞くより危機感が弱かったりするのだろうか?どこで鳴るか、どこで聞くかも結構影響があるような気がします。
緊急地震速報について
そもそも緊急地震速報とは、どういった対応すべきか、気象庁の関連するページを拾ってみました。過去の発表状況を見る限り、結構な精度であたっているので、緊急地震速報があった場合はしっかりと備えたいところです。
- 緊急地震速報について(気象庁)
- 緊急地震速報とは(気象庁)
- 緊急地震速報を見聞きしたときは(気象庁)
- 緊急地震速報を館内放送するときの注意点を教えて(気象庁)
- 緊急地震速報の発表状況(2008/04/28~)(気象庁)
- 緊急地震速報を活用した訓練について (気象庁)
- 緊急地震速報の利活用の手引き及び緊急地震速報受信時対応行動訓練用キット(気象庁)
ちなみに昨年、イタリアの地震予知に関するテレビ番組がありました。自分が見たのはちょうど昨日だったのですが・・。こちらは、今回の日本とは逆で、安全宣言を出したら大地震による被害が出て、裁判になったというもの。こちらはこちらでいろいろと考えさせられます。参考までに関連する情報を拾ってみました。
- 訴えられた科学者たち ~イタリア 地震予知の波紋(NHK ドキュメンタリーWAVE)
- (テキスト起こし)訴えられた科学者たち ~イタリア・地震予知の波紋~ (Aso_Yudamariのブログ)
- ラクイラ地震裁判をめぐって(Togetter)
当日の反省
当日、私自身は東京タワー横の東京機械振興会館の6階で研究会を行っている最中だったので、とても ビックリしました。とりあえず会議室の扉を開け非常口を確認し、付近に倒れてきそうなものがないか確認したものの、他に何をしていいかわからず、ただ 時間をやり過ごし、携帯で情報収集するぐらいでした。もともとyahooをつないでいましたがつながらなくなったので、次にTwitterを見て情報がわかってきました。職場だとラジオやテレビがあるのですぐに確認ができますが、アウェーだと入ってくる情報がなく、不安この上なかったです。本当はどうすればもっとよかったのか、正直モヤモヤっと。
東日本大震災以降、いろいろと経験や知見も得てはいるものの、まだまだ反省する点が 多かったです。今回の教訓も含め、今後に活かしていきたいと思います。