住宅ローンを利用して住宅を取得すると、確定申告をすることで住宅ローン控除で納めた税金が戻ってきます。会社員などの給与所得者は1年目に確定申告をすれば2年目以降は勤務先の年末調整で税金が控除されます。手続きは税務署に申告書を郵送や持参で提出するほか、スマホがあれば自宅からの申告も可能。2025年1月からはスマホでも操作しやすい画面が提供され、ますます便利に。この記事では、住宅ローン控除の基礎知識と、申告のやり方、スマホでの申告についてわかりやすく解説します。
自分が暮らすためのマンションや一戸建てを買うとき、ローンを利用すると、確定申告をすることで入居から一定期間、所得税が控除されるのが住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除、住宅ローン減税)。その年の所得税から控除されるのは、年末のローン残高の0.7%相当額です。
会社員などの給与所得者の場合、所得税は勤務先が毎月のお給料やボーナスから源泉徴収し、その年の終わりに年末調整で精算されています。そのため、確定申告をする時期には、所得税はすでに納税済み。住宅ローン控除を受けることで、納めていた所得税から控除される分が還付、つまり戻ってくることになります。所得税よりも控除額のほうが多く、控除しきれない額は翌年の住民税からも控除されます。
住宅ローン控除で控除される税額は、住宅の性能や、その家にいつ入居したかなどによって異なります。どのような住宅ならいくらの控除額になるかは下の表を見てみましょう。
2024年入居 | 2025年入居 | |||
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ローン残高の上限/控除期間 | 全期間の最大控除額 | ローン残高の上限/控除期間 | 全期間の最大控除額 | |
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 4500万円/13年 【5000万円/13年】 |
409.5万円 【455万円】 |
4500万円/13年 | 409.5万円 |
ZEH(※3)水準 省エネ住宅 |
3500万円/13年 【4500万円/13年】 |
318.5万円 【409.5万円】 |
3500万円/13年 | 318.5万円 |
省エネ基準適合住宅 | 3000万円/13年 【4000万円/13年】 |
273万円 【364万円】 |
3000万円/13年 | 273万円 |
そのほかの住宅 | 2000万円/10年(※4) | 140万円 |
2024年・2025年入居 | ||
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ローン残高の上限/控除期間 | 全期間の最大控除額 | |
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 3000万円/10年 | 210万円 |
ZEH(※3)水準 省エネ住宅 |
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省エネ基準適合住宅 | ||
そのほかの住宅 | 2000万円/10年 | 140万円 |
例えば、新築の省エネ基準適合住宅を2024年に購入し、入居した子育て世帯で、年末のローン残高が4000万円あったとします。
入居の翌年に確定申告をすると「4000万円×0.7 %」=28万円がその年の1年目の控除額。2024年に納めた所得税が28万円以下なら、納めた所得税全額が戻ってきます。
さらに、所得税から控除しきれなかった分は所得税の課税所得金額等の5%(上限9万7500円)の範囲内で、翌年の住民税から控除されます。
住宅ローン控除で控除される税額は、自分が納めた税額を超えることはありませんが、税金が還付される期間は13年間、または10年間と長期間です。また、会社員など給与所得者の場合、住宅ローン控除の確定申告が必要なのは1年目だけ。2年目からは勤務先の年末調整で控除が受けられます。確定申告は面倒、などと思わずにきちんと申告すれば大きなメリットが得られます。
住宅ローン控除の適用を受けるには、ローンを借りた人、取得した住宅に一定の要件があります。主な要件を紹介しますので、自分は当てはまりそうか確認してみましょう。
住宅ローン控除の適用要件などについてもっと詳しく調べる
【国税庁ホームページ】
認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
住宅ローン控除についてもっと詳しく
→住宅ローンの減税をわかりやすく!新築・中古住宅、控除額、繰り上げ返済などの疑問にプロが答える!
住宅ローン控除の適用を受けるための確定申告は、入居年の翌年。2024年に入居した場合(2024年の確定申告)は、2025年2月17日(月)から3月17日(月)までです。
なお、予定納税をしている人、給与所得者で所得税を納めた人、個人事業主で所得税を源泉徴収されている人などの還付申告は1月から行うことができます。
入居日 | 2024/1/1~12/31 |
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確定申告期間 | 2025/2/17(月)~3/17(月) |
確定申告はどこでどうやって申告するものなのでしょうか。その方法はさまざまです。確定申告書は税務署でもらえたり、国税庁のサイトからダウンロードしたりでき、申告書を作成したら住まいのある地域を管轄する税務署への郵送や持参で手続きができます。また、スマホやパソコンを使ってWEB上で申告をすることもできます。
確定申告には以下の方法があり、自分にとって都合のよい方法を選ぶことができます。
インターネットで申告
パソコンを使い国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、e-Taxで申告する
スマホとマイナンバーカードを使って確定申告書を作成し、e-Taxで申告する
税務署の確定申告書作成コーナーでe-Taxを使用して申告
郵送で申告
国税庁のサイトから確定申告書をダウンロード、または税務署から入手し、記入して税務署へ郵送
国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、印刷して税務署へ郵送
持参して申告
国税庁のサイトから確定申告書をダウンロード、または税務署から入手。記入して税務署へ持参
スマホを使っての確定申告は、年々便利になっています。これまでも国税庁のサイトの確定申告書作成コーナーでは、スマホ向けの専用画面が提供されていましたが、2025年1月からは、住宅ローン控除がかかわる所得税のすべての画面が、スマホで操作しやすい画面に。また、同じく2025年1月から、スマホ用電子証明書を利用することで、マイナンバーカードをスマホで読み取らなくても、申告書の作成やe-Taxの送信が可能に(ただし、Android™でのみ利用可能。Androidの名称は、Google LLCの商標または登録商標)。
2024年にマイホームを購入し、住宅ローン控除を受ける人は、便利になったスマホでの確定申告をするのもいいですね。
スマホでの確定申告。スムーズにできるかどうか不安になるかもしれません。ここでは、大まかな流れと必要書類について紹介しましょう。
確定申告時期になってから慌てないよう、必要書類などは早めに用意しておきましょう。
住宅取得に関する必要書類は、控除の種類によって異なります。必要書類については国税庁ホームページのほか、国税庁の「税務相談チャットボット」(所得税の確定申告をクリック)でも確認できます。
スマホでe-Taxをするにはマイナポータルアプリが必要です。マイナポータルアプリをダウンロードして、e-Taxの「つなぐ」に接続し、利用者情報の登録をしておきます。マイナポータルと連携することで、控除証明書などのデータが一括取得され、入力が簡単になります。
スマホで国税庁の「確定申告特集」を検索し、「確定申告書等作成コーナー」へ入ります。
画面の案内に従って住宅や収入の情報を入力しますが、事前に国税庁のホームページから「住宅ローン控除入力メモ」をダウンロードし、メモを作成しておくことで、確定申告書への入力がスムーズになります。
確定申告書への入力が完了したら、書類を「保存」し「送信」することで確定申告書の提出となります。
確定申告書を送信した後、住宅の取得に関する各種書類は、住まいのある地域を管轄する税務署へ郵送(提出)しますが、スマホのカメラ機能を利用してイメージデータ(PDF形式)で送信することもできます。
スマホでの確定申告は、ゆっくり落ち着いて、順に入力していけばいつの間にか確定申告書が完成しています。とはいえ、初めての場合は自分にできるのか、時間がかかるのではないかと心配。そこでおすすめなのが国税庁の動画チャンネル。スマホで確定申告する詳細な方法を、詳しくわかりやすく解説しています。
国税庁動画チャンネル「チャレンジ!自宅からのe-Tax スマホ申告 住宅借入金等特別控除編」
スマホを使ってする住宅ローン控除の確定申告にはさまざまなメリットがあります。
計算間違いがない
紙の確定申告書に金額を記入して自分で計算する場合は、計算ミスを起こす可能性があります。サイト上の確定申告書作成コーナーは自動計算されますから、入力ミスがない限り計算間違いはありません。
源泉徴収票は撮影で自動入力
「給与所得の源泉徴収票」はスマホのカメラで読み取ることで該当項目に自動入力されます。入力する項目を間違えたり、数字を打ち間違えたりといったミスがありません。
印刷などの手間がかからない
税務署に確定申告書を郵送や持参で提出する場合、確定申告書の印刷や郵送のための準備、持参する場合は税務署との往復があります。スマホでの申告の場合はそれらの手間や時間が必要ありません。
休日や夜間でも申告できる
e-Taxでの申告はメンテナンス時間を除いて24時間行うことができます。仕事の合間や帰宅後、休日など時間や場所にしばられず、都合の良い日時に申告ができます。
手順など、わかりやすいスマホでの確定申告ですがいくつか知っておきたい注意点があります。
住宅借入金等特別控除は住宅ローン控除のこと
スマホで確定申告書の作成をしているとき、普段は目にしていない専門用語に戸惑うことがあります。表示される「住宅借入金等特別控除」は住宅ローン控除、「住宅借入金等」は住宅ローンのことです。
書類を送信する場合はデータ容量の制限がある
売買契約書などの住宅取得関連の書類をイメージデータとして送信する場合、1送信あたり最大14.0MB、ファイル数は最大136ファイル、送信回数は最大11回といった容量の制限があるので注意しましょう。
ふるさと納税をした人は住宅ローン控除に加えて申告が必要
ふるさと納税や医療費控除、株式の特定口座などで申告が必要な場合は、住宅ローン控除に加えて確定申告で申告をする必要があります。住宅ローン控除の1年目は、会社員等が利用できる「ふるさと納税のワンストップ特例制度」は使えません(住宅ローン控除の2年目以降は年末調整で処理されるため、ふるさと納税はワンストップ特例制度で申請が可能です。
住宅ローン控除はローンを利用して住宅を取得すると所得税の控除が受けられる制度
入居の翌年に確定申告をすることで控除が受けられる
パソコンやスマホでの電子申告は書類の印刷や郵送などの手間がかからない
源泉徴収票をスマホのカメラで読み取ると自動入力されるなど便利な機能も利用できる