インフレ税ってそんなに問題かな?
シニョリッジ話の続き。マーケットの馬車馬さんの「お金であること」を保証するもの(後編)から。色々書きたいことはあるんだけどその辺はbewaadさんが書くだろうから(笑)、僕は「インフレ税」について言わずもがなの話をひとつ。ちなみに馬車馬さんは以前デフレの害について書いてらしたのでこの辺の話は十分ご承知のはずなんで、これはその他の方向けの蛇足です。
通貨発行益とは、インフレを通じて資産を持つ人から強制的に徴税して得たお金(インフレ税)であるわけだ
いやまったくその通り。そして忘れてはならないのは、デフレとはその逆、つまりインフレで損する人への大規模な所得移転であるという点。これが既に10年近く続いていることを忘れちゃいかんよなと思う。
考えてみればすぐわかる話なんだけれども、今問題になってる年金だの財政「破綻」だの格差拡大で勝ち組だの負け組みだのなんてのは、全てとは言わんけどほとんどデフレのおかげなわけですよ。
つまり、インフレ税ってのはインフレにすると税収が増えるってことなわけで、デフレだとその逆。税収減ったら財政が「破綻」するのは当然ですわなあ。
また、インフレ税が一番重いのは資産家なんで、デフレだとその逆。つまりデフレだと金持ちはますますほっといても金持ちになりますわなあ。
これを巻き戻すんだから多少インフレ税かかっても良いんじゃないって考えない人が多いみたいでとっても不思議。かなりの資産を持ってなければインフレ税なんて大したことなくって、むしろ職が安定したり給料が年とるごとに増えたり年金ちゃんともらえたり、良いことの方が多いんだけどな。
更に不思議でならないのは、弱者の味方ヅラしているマスコミや文化人風情がリフレ政策に懐疑的だったり反対だったりすること。インフレ税が嫌いなあまり資産家への所得移転のお先棒を担いでいるのに気がつかないんだからお気の毒を通り越して馬鹿かとアホかとって感じですよ。やれやれ。
とりあえず、「インフレ税」と聞いたら反射的に「デフレ所得移転」という言葉を思い出していただくのが吉かと。インフレで損する人はデフレで得する人で、その逆もまた真なのです。
でもインフレとデフレの一番大きな違いは、前者はパイが膨らんでいくのに比べ後者は縮んでいくこと。つまりインフレだとプラスサムゲームが可能なんだけどデフレではゼロサムどころかマイナスサムのゲームにしかならない。どうしてこんな馬鹿な状況が長期間放置されているのかホント理解に苦しむなあ。ああ段々腹が立ってきた。あーあ。
あ、もうひとつ、日銀が伝統的・生理的にバランスシート毀損を嫌がる話について、徴税システムが確立していて産業もちゃんとしている国ではドイツ風や南米風のハイパーインフレを心配する必要なんか無いと思うんだけどどうなんだろう。まあこれはひとつ続きを楽しみにすることにいたします。
【参考】
- 「経済を子守りしてみると。」 <- デフレとインフレについての直感的な説明。もう何度リンクはったことか。しつこいですかそうですか。
- 「デフレはなぜ怖いのか」原田泰(ASIN:4166604074) <- デフレの何が悪いのかまだぴんと来ない方にお勧め。