はじめに
ラクスのプロダクトデザイン組織マネージャーの小林です。
私たちの所属する「プロダクトデザイン課」は、お客様の業務課題を解決すべく、全プロダクトのUI/UXデザインを担うチームです。
2025年、プロダクトデザイン課はお客様への価値提供をより一層高めるため、新たな挑戦に踏み出します。
そこで改めて組織紹介も兼ね、ミッション・ビジョン、これまでの歩み、現在取り組んでいること、今後の挑戦についてお話したいと思います。
- はじめに
- プロダクトデザイン課のミッション・ビジョン
- ミッション・ビジョン策定に至る経緯
- 顧客理解を高めるデザイナーの取り組み
- 顧客ニーズを踏まえ主体的な提案も増える
- UI刷新への挑戦
- 顧客価値を高める今後の取り組み
プロダクトデザイン課のミッション・ビジョン
私たちデザイナーに共通するお客様の課題解決への思いと、
その実現へ向けてあるべきチームの状態を宣言しました。
ミッション
プロダクト開発の中心となり、顧客課題を解決する優れたUXを生み出す
ビジョン
日本を代表するBtoB SaaSの優れたUXを生み出すプロフェッショナルチーム
ミッション・ビジョン策定に至る経緯
ラクスのデザインチームは2012年にゼロから立ち上げました。
私は開発マネージャーを務めていましたが、より課題解決につながるプロダクト作りへの思いと共に、
UI設計やユーザビリティへの熱意も高まり、デザイン専門チームを作ることにしたのです。
立ち上げ期はデザイナーも少なく、開発プロセスへの関わり方、採用・育成方法、UIルールも手探りしながら進めていきました。
プロダクト規模の拡大とともに担当するUI設計規模も拡大しましたが、デザイナーの上流工程への関わり方はまだまだ限定的でした。 開発チームでほぼ決定した要件・仕様・期日に対し、きれいなUIを調整して提供するだけの時期もありました。 より主体的に顧客価値を提供するため、より深く開発プロセスに関わりたいという思いが強くなっていました。
そのための課題が、顧客業務や製品仕様の理解を高めることでした。
ラクスのプロダクトは業務ドメインにあわせ、個別に深く課題解決に踏み込んでいます。
その分、製品仕様の複雑性や難易度は高くなるとも言えます。さらに運用歴が長いプロダクトは開発経緯への理解も必要となります。
私たちも改めて、顧客課題解決に踏み込んでいくことを決意し、ミッション・ビジョンを策定することにしました。そこでの思いは、主に下記の二つに集約されます。
・表面上のUIでなく、顧客業務の課題をしっかり理解し、課題解決できるUI/UXをつくることがデザイナーの一番の役割
・ビジネスサイド、プロダクトマネージャー、エンジニアなど、すべての部署とコミュニケーションをとり、要求を満たすUIをデザイナーが主体的に設計していきたい
まとめると、かつてデザイナーは、開発チームが決めた要件・仕様をもとにUIを整える立場でした。
しかし、それでは本質的な課題解決ができないため、「表面的なデザインではなく、顧客課題を解決するUX設計」を重視する組織とするために、現在のミッション・ビジョンを定めました。
ただ顧客課題は日々進化しますので、顧客理解に終わりはありません。現在でも上流工程への関わり方についてまだまだ取り組むべきことは多いと考えています。
顧客理解を高めるデザイナーの取り組み
当社のデザイナーは顧客理解を深めるため、以下のような取り組みにも力をいれています。
・商談動画の視聴
営業やカスタマーサクセスとお客様との会話を追体験し、リアルな業務課題を理解する取り組みです。
・業務見学、ヒアリング
実際に業務現場を把握し、より実用的なUI設計などに活かします。
・資格取得
ラクスのプロダクトが手掛ける領域には、電子帳票保存法やインボイス、労働基準法など、満たすべき法要件があります。デザイナーもUI設計を行う上で、必ず理解しておく必要があります。基礎知識として、簿記など関連資格の取得に取り組んでいます。
・勉強会
幅広い顧客業務を体系的に理解するため、経理など分野別の勉強会も行っています。
業務の必要に応じ参加するほか、入社オンボーディングプログラム内でも動画視聴できるようにしています。
顧客ニーズを踏まえ主体的な提案も増える
これらの取り組みを通じ、顧客ニーズを踏まえて主体的な提案を行えることも増え、より多くのお客様にご満足いただけるようになりました。 ここでは、メールディーラー「メール対応画面のUI刷新」事例をご紹介します。
メールディーラーはメール共有管理ツールです。
ビジネスサイドが持つ顧客の声をデザイナーと密に連携し、既存・新規両方のお客様に満足いただけるUIを提供できた事例です。
メールディーラーは運用歴が20年以上の老舗プロダクトで、当時のインストーラー型メールUIを参考にしていました。
使い慣れているお客様も非常に多い一方、Webメーラーの時代にあわせたUI/UXのアップデートも必要でした。
そこでデザイナーを中心にプロトタイプを制作し、ビジネスサイドに提案しました。
営業、製品企画、カスタマーサクセスと目指す方向性を合意したのち、製品企画が既存顧客の業務運用に支障がないかを確認、営業が商談での反応を伺いながら顧客の声を集約し、UIUXの設計を実施しました。
さらに、フロントエンドエンジニア、サーバサイドエンジニアともシステム上の実現可能性をすり合わせたのち、無事に新たなUIをリリースすることができました。
UI刷新への挑戦
ラクスは中長期を見据えた継続的なUX改善を目指しています。 この一環で、ラクスのプロダクトを横断するUI刷新がスタートしました。
背景は、SaaSの導入が一般的となり、複数の製品を検討する企業が増えてきたことです。
ラクスのプロダクトは顧客の業務ドメインにあわせ、深く課題解決に踏み込むベスト・オブ・ブリード型の開発を行っています。 そのため各プロダクトのUIも、各業務ドメインごとに個別性が高いものとなっています。
今後はお客様が複数のSaaSを利用することも想定し、どのプロダクトを利用しても共通体験を提供できるようにしたいと考えています。
現在、UI刷新のゴールや、どのように顧客体験を改善すべきか、役員陣も交えて議論しています。
具体的なUI刷新の進め方については、デザイナーも積極的に発案や取りまとめを行っており、デザイン、開発、ビジネスサイド間で活発に議論している最中です。
顧客課題解決と複数ドメインをまたぐ共通体験、両方を提供できるようしっかりと役割を果たしていきたいと思います。 ここでは、刷新後に予定されているUIを少しだけお見せします。
顧客価値を高める今後の取り組み
UI刷新の一環で、デザインシステムの構築・導入にも取り組んでいきます。 この詳細は次回の記事でご紹介いたします。
UX向上を実現するためには、さらに深い顧客理解が欠かせません。 より積極的に顧客ヒアリングやユーザーテストにも取り組んでいきたいと考えています。