2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧
<<前置き>> ジェイムズ・ジョイス『ダブリナーズ』の読書会である"Deep Dubliners"用のメモ。今回はその2回目で、"An Encounter"こと「出会い」である。なお、訳語は指定図書であるところの柳瀬訳に拠っている。 この記事の目的や本作読解の方針、参考文献…
だからまだ ここで光が差すまで 家具を焼き、何千という本を焼き、絵画は全部焼いた。絶望があまりに深くなったある日、とうとうこのムクバル族を壁から下ろした。絵を掛けていた釘を引き抜こうとした。・・・そのときふと思った。この小さな釘が壁を支えて…
あの日 目を覆った 隣のあなたは微笑む 戦争やイスラエルの国境での紛争でマスカリータに弾があたっていないように、私はタスリンチに頼んだ。(p.148) <<感想>> 文学などという一介のエンターテイメントが、なぜ大学で研究なぞされているのだろうか。 それは…
あの日生まれた恋心 『ナボコフ全短篇』シリーズの3回目。今回は、アメリカで出版された4つの「一ダース」に収録されていない16作品、「その他」編である。 「一ダース」に収録されなかった理由は、VN本人がセレクトしなかった作品、発表されていたが逸…
夢にまで見た淡い夢 前回の「ナボコフの一ダース」相当の13作品に引き続き、今回は4つの「一ダース」から「独裁者殺し」相当の作品を取り上げたい。 内容としてはロシア語時代の作品が12個に、英語時代の「ヴェイン姉妹」を加えた構成となっている。勢…
シャガールみたいな青い夜 経験上、短篇集の感想を書くのは大変だと知っているので、これまで避けていた作品集。 しかし、今回この鈍器オブ鈍器、作品社の漬物石【参考リンク】こと『ナボコフ全短篇』を再読する機会が訪れたので、これを気にブログで取り上…