盲導犬ユーザー「受け入れる」回答は半数 飲食、宿泊…接客不安か、協会啓発取り組む

日本盲導犬協会(横浜市)が2024年8~9月に飲食業や宿泊業などの従事者に実施したアンケートで、盲導犬ユーザーを「受け入れる」との回答は半数だった。汚れることや接客への不安があることが明らかになり、協会はそうしたイメージを変えようと啓発に取り組んでいる。(共同通信=梅本航成)
2025年2月の日曜、東京都多摩市の商業施設で行われたイベントに子連れの家族ら約20人が集まっていた。「ストレートゴー、ライトゴー」。協会神奈川訓練センターの奥沢優花さん(36)が声をかけると、訓練犬のラブラドルレトリバーは器用に障害物を避けて進んだ。
奥沢さんがクイズ形式で盲導犬のトイレの仕方を尋ね「専用の袋を使い地面を汚さずできるように訓練されています」と説明すると、子どもたちから驚きの声。小学1年中村瑛麻さん(7)は「興味を持った。将来(盲導犬に関する)ボランティアにも参加したい」と楽しそうだった。
アンケートは、インターネットで盲導犬ユーザーが利用する可能性のある業種の従事者らから回答を得て、有効数は975人だった。盲導犬ユーザーを「受け入れる」としたのは52.6%で、「どちらとも言えない」が40.7%、「受け入れない」は6.7%。業種別では、飲食業や小売業などで「受け入れる」が半数を下回り、衛生面や他の客への影響を懸念する傾向がみられた。
不安を解消してもらおうと、協会は情報発信に力を入れる。2024年10月、静岡県富士宮市の訓練センターからオンライン授業を開き、2日間で延べ約1万4千人の小学生に盲導犬の役割などを伝えた。事業者にも、視覚障害や盲導犬の知識に加え、声かけや代筆といったサポート方法をまとめたセミナーを開いている。
奥沢さんは「盲導犬や視覚障害者をもっと身近に感じてほしい。困っている様子を見かけたら、一言でも声をかけて」と語った。