調理器具次第で、料理は断然楽しくなる。料理家・今井真実さんの愛用品5つ
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毎日忙しく過ごしていると、面倒に感じてしまう家事の代表格の一つ「料理」。外食やお惣菜や、ミールキットなどで乗り切るのも手ですが、「今日は自分で何か作ろうかな……」と少しでも思ったとき、せっかくならポジティブな気持ちでやりたいもの。
そこで今回は、料理家・今井真実さんに持っているだけでも気分が上がる、そして活躍シーンも多いおすすめの「調理器具・調理道具(キッチン用品)」を紹介していただきました。
紹介いただいたのは「切る」「炒める」など、調理するときによく登場する工程で使うアイテムばかり。今まで特に調理器具にこだわりがなかったという方も、普段使うものを新調するだけで、きっと気持ちの変化があらわれるはずです。
こんにちは、料理家の今井真実です。
2010年ごろから料理教室を主催し、2020年からは、ほんのひと手間や工夫で作る人にちょっとした驚きや楽しさが感じられるようなレシピを考え、SNSなどで発信をしています。
私が普段家で作る料理も、できるだけ家族と過ごす時間を多くとりたいので、調理に時間をかけずさっとできるものばかり。普段レシピとしてご紹介するものよりも、簡単かもしれません(笑)。
今回は、そんな私の日々の料理を支えてくれる、お気に入りの調理器具をご紹介します。
株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
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調理器具次第で、料理はもっと楽しくなる
調理器具は、料理をするとき必ず使うもの。だからこそ、自分にとって使いやすいものや、好きなものを選ぶだけで、料理へのモチベーションが変わるという実感があります。
私が調理器具を買うときにチェックするものの一つが、値段と品質のバランス。あとは、見た目はすごく素敵と思っても、使い勝手や使い心地がよくないと結局使わなくなってしまうので、そうしたときは品質の参考として口コミをチェックすることもあります。
それから、全部そうするわけではありませんが、「持っていることでうれしくなる」ような、ご褒美としてのキッチンアイテムを買うこともあります。
例えば、料理研究家の有元葉子さんが開発した水切りカゴ「ラバーゼ」は、「いつかほしいなあ」とずっと憧れていたアイテムでした。
いざ買って使ってみると「すごくうれしいな」「大切にしよう」と見るたびに思うんです。
持っているだけで気分が上がるし、準備も楽しくなります。そして、これで作るお料理はやっぱりおいしそうに見える気がします。
好きなものを使うことで生まれる、ちょっとした自己肯定感ってあるな、と感じます。そう考えると、投資する価値は十分あるんじゃないかなと個人的には思います。
料理のモチベーションを高めてくれる。用途別おすすめ5つ
調理器具の種類はさまざま。「◯◯したいとき」専用の調理アイテムもたくさん売っていますよね。私も、ゆで卵を作るときに小さな穴をあけて殻を剥きやすくしてくれるものや、料理教室で活躍したソーセージマシンなどを持っています。スライサーも、我が家ではキャロットラペ専用アイテムです。
ただ、日々忙しくてなかなか料理をする時間がとれない方にとっては、そうした調理器具は少しハードルが高く感じてしまいますし、結局あまり使わない……なんてことも。
そこで今回ご紹介したいのは、私の「毎日の料理」を、より楽しく快適にしてくれる、活用の幅が広いアイテムです。
なかでも、料理をする上でよく登場する調理工程「切る」「はかる」「混ぜる(和える)」「炒める」「煮る」に分けて、それぞれご紹介します。
1.「切る」:なくしても買い直すほど愛用中。ナガオのキッチンバサミ
料理にほぼ必ず入ってくる「切る」工程。おすすめしたいのはナガオの「分解して洗えるキッチンバサミ」です。
出会いは3、4年ほど前。衛生面を考え、分解して洗えるキッチンバサミを探していたときでした。1,500円前後の良心的な価格で口コミの評価も高かったので、試しに買ってみたのがきっかけです。
実は最初、趣味のキャンプに持って行く用に買ったんです。ただ、使い勝手のよさに普段のキッチンでも使いたくなって買い足し、それ以来2本常備するように。
以前は栓抜きなどもついている万能バサミのようなものを使っていたのですが、使うときにちょっと重いのが気になっていたんです。このキッチンバサミは72gと軽く、買い替えてからは、楽に使えるようになりました。分解してきちんと消毒できるので、安心してお肉も切ることができます。
それと私は忘れ物が多く、キャンプに包丁を忘れていってしまったことがあるのですが(笑)、このハサミ1つと手を使って、十分「切る」工程に対応できました。出張でキッチンスタジオに置き忘れてしまったときにも迷わず買い直している、愛用品です。
2.「はかる」:直感的な操作が可能。タニタのキッチンタイマー
調味料を「はかる」、時間を「はかる」など、調理中に案外出てくるのが「はかる」工程。
今回は、時間を「はかる」ときに愛用している商品として、タニタのキッチンタイマーが思い浮かびました。
マグネット式で、テンキータイプなのが特徴でしょうか。写真は2つですが、料理をいくつか並行して調理するときのために、全部で3つ持っています。
レシピを考案するときには、「弱火で何分」など細かく時間をはかることが欠かせません。それに、お鍋を火にかける間ちょっと違う作業をしたいときも、適当に3分ほどタイマーをかけておけば、忘れずにすみます。私は普段お鍋で炊飯しているので、炊き上がる時間をセットするのもこのタイマーです。
「キッチンタイマーは、スマホアプリで十分じゃない?」と思われる方もいるかもしれません。ですが、ロックを外して、タイマーを起動して、セットして……と考えると、実は料理で使うには工程が多く、少し不便。
直感的な操作で使えるボタンの配置に慣れたキッチンタイマーなら、指先の感覚でセットできますし、衛生面でも優れているので、キッチンで時間を「はかる」ときに、欠かせないアイテムです。見た目もシンプルでキッチンになじみます。
3.混ぜる(和える):使っていて心地いい。公長齋小菅の盛り付け箸
複数の食材を使うなら、ほぼ確実に出てくる工程「混ぜる(和える)」。ここで紹介したいのは、公長齋小菅の「盛り付け箸」です。
お弁当やおせちを盛り付けるときに使う、小回りのきくお箸を探していたときに出会ったこの盛り付け箸。購入先によって値段が少し違うようですが、1,000円弱で購入可能です。
手にとってみると、太いものが多い菜箸の中で、これは細さと軽さが自分の手に合っていると感じました。
盛り付け箸ではありますが、サラダを和えるなど菜箸として使うこともできます。私は普段、あまり炒め物をしませんが、フライパンの中で食材を裏返すときに使うことも。少し斜めにカットされている持ち手側は、小さなヘラのようにして鍋肌に入れ、お豆腐をひっくり返すときにも活躍します。
「混ぜる(和える)」ときのアイテムとして紹介しましたが、先のほうがより細くなっているので、大切な盛り付けの場面では繊細な作業をしてくれます。老舗竹工芸品メーカーが作っているものなので、製品としての信頼度も高いです。
この盛り付け箸は、使っていて気持ちがよく、今となってはないと困る存在。利用頻度が高いアイテムだからこそ、適当に選ぶよりも、きちんと考えられたものを買うのがいいなあと感じました。
4.炒める:料理のモチベを高めてくれる! バッラリーニのフライパン
今や私が料理をするモチベーションになっているフライパン、それがバッラリーニ(BALLARINI)の「フェラーラ」シリーズです。
重みがありながらも振りやすい、私にとってしっくりくるバランス。裏面がでこぼこなので、コンロの五徳からも滑りにくい。表面のコーティング加工も強く、長年使っていても全く問題なし。とにかく、料理をしていて気持ちがいいんです。
フェラーラを発見したのは、使っていた小さめのフライパンがダメになりそうだった頃。
「ちょっといいフライパンがほしいなあ」と探しているときに訪れたキッチンショップで「あれ、すごくかっこいい」と目に留まり、ミニフライパンを試すつもりで購入。これがとても使いやすかったので、すぐに大きなサイズも購入しました。
このフライパンを使うようになってから、料理をするのがぐっと楽しくなりました。保温性が高く焼き物はパリッと仕上がるし、水分も出にくいんです。
価格は26cmサイズだと各ECサイトで6,000円ほど。個人的には、バッラリーニは値段に勝る使いやすさだと感じています。「2代目」のフライパンの選択肢の一つとして、おすすめしたいです。
「これから料理をもっとしていきたい!」という場合は、フライパンが大小それぞれ一つずつあると料理の幅が広がります。お弁当や朝ごはんを手早く作るときには20センチ程度の小さめのものを。パスタなどを作るときには、大きいものを使ってみてください。
もし今お使いのものが焦げつきやすくなっていたり、買い替えを検討したりするときは、自分の料理の頻度や価値観に合わせて、値段設定を考えるのがいいと思います。
フライパンといえば、「最終的には、鉄製が一番おいしくなるよね」と言われがちな印象があります。確かに鉄製のフライパンにもよい点が沢山ありますが、毎回お手入れの必要がある鉄のフライパンは、ちょっと普段使いはしにくいかな……と個人的には思います。特に日頃、積極的に料理をするわけではない方にとっては、なおさらです。
新調するとき、どんな素材や加工をしているものを選ぶべきか悩む人もいらっしゃると思いますが、個人的には、お手入れの大変さから料理が億劫になるぐらいなら、コーティング加工されているものを使ったほうが気楽なんじゃないかな、と感じます。
5.煮る:料理の下ごしらえにも。 サーモスのシャトルシェフ
私は「煮る」料理が好きです。その工程を、実家で暮らしていたときから20年以上支えてくれているのがサーモスの真空保温調理器「シャトルシェフ」です。
シャトルシェフは、電気を使わない保温鍋。付属の調理鍋に材料を入れて火にかけ、その後保温容器にセットすれば、ヤケドしそうな熱さでもそのまま保ってくれます。保温中は火を使わず電源も不要なので省エネですし、余熱で煮込むため水面が揺れず、吹きこぼれや煮崩れも起きにくいです。
保温中は目を離せるので、夜のうちに余った野菜とお水を入れて熱し、シャトルシェフにセットすれば、朝には温かいスープができあがり。朝出かける前に牛すねを少し煮てセットすれば、夜にはほろほろの塊肉が。それだけでも、すごく料理が楽になります。
比較的さらっとしたスープが得意なので、スープカレー、おかゆを作るのにもぴったりだと思います。火を使う時間が短時間でいいので、コンロが一口しかないという方にもおすすめです。
他にも、私はお味噌作りのための大豆を茹でたり、おせちを作るときにいろんな野菜をこれで下茹でしたりしています。温度管理をしやすいので、甘酒や発酵食品作りをしてみたい方にも便利です。長い付き合いの中で使い方を熟知した、2サイズ持っている愛用品です。
価格はサイズや品番によっても異なりますが、各ECサイトで1万円台で購入できます。
好きな調理器具を使えば、日々の料理が今よりも楽しくなる
ここまで、愛用している調理器具を工程ごとに紹介してきました。好きな調理器具を使うことで、お料理は断然楽しくなると思います。
もちろん人によって使いやすい調理器具は違うので、自分の手にフィットするものを選ぶことも大切です。使ってみて初めて合う・合わないが分かることも多いので、「あんまり料理しないな」という方の場合、まずは100円ショップなど、お安く買えるところでそろえていくのもアリだと思います。買って使ってみる中で、だんだんと「これは買い替えたいな」とか「これは今ので十分」というのも分かるので、自分にフィットするものが買えるようになっていくはずです。
ただ「気になっている調理器具Aがあるけど、高いからやめようかな」「安いBにしようかな」と迷っているのであれば、絶対にAを選ぶのがおすすめ。
なぜなら、調理器具を買い換えるタイミングはなかなか来ないからです。どうせ将来的に買うのであれば、早く買うほど長く使えますしね。日常的に使うものだからこそ、「ほしいなあ」と感じたものは、買ってしまってもいいのでは? というのが、私の考えです。
買うときは、調理器具のセレクトショップに行って、お店の人のアドバイスを聞きながら買うのも楽しいです。質問をすると、何千・何万とあるアイテムの中から選んでくれて、かつマニアックな知識を楽しくお話してもらえる印象があります。
百貨店のキッチン売り場も狙い目。おしゃれなものや老舗の工芸品など幅広く置いてあるので、目の保養にもなりますし、セールの時期は安くなっていることもあるんです。どんな調理器具があるのか知りたいときは、ぜひ訪れてみてほしいです。
もし「料理と向き合う気分を変えるために、調理器具を見直したい!」という方がいれば、買い物に失敗してもがっかりしない、安めのものから始めることをおすすめしたいです。たとえ1,000円前後のへらや菜箸などでも、新しいものを導入するだけで、料理するときの気分はすごく変わると思います。
調理器具ではありませんが、例えば、少しいいお皿を手にすると、「よし、これにふさわしい料理を作ってみよう!」と前向きな気持ちになることもありますよね。
そんなふうに、新たに憧れのものや使いやすい調理器具を取り入れることで、みなさんが日々料理に向かうときの気持ちが、少しでも楽しくなればうれしいです。
構成:佐々木優樹
写真提供:今井真実
編集:はてな編集部
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