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記録的な暑さが続いた2024年夏、京都・大阪では注目のホテルが一気にオープン。こちらではトラベルエディターの筆者が、実際に宿泊した上でおすすめとなるポイントをあげながら、3軒の最新ホテルをご紹介します。まず紹介するのは2024年7月31日に開業した「三井ガーデンホテル京都三条プレミア」です。
三井ガーデンホテルズといえば利便性の高い立地で上質な滞在が叶うホテルブランド。その中でもさらに1ランク上の位置付けとなる「プレミアシリーズ」が京都に初めて誕生しました。
三井ガーデンホテル京都三条プレミアが立つのは、平安時代から京都のメインストリートとして栄えてきた三条通。レトロとモダンが同居する魅力的なストリートで、京都文化博物館や新風館、錦市場などの観光スポットも徒歩圏内です。さらに地下鉄「烏丸御池駅」やバス停「烏丸三条」まで徒歩3分ほどで、京都の東西南北どこへでもアクセスしやすい抜群の好立地です。
周辺には今でも近代洋風建築が多く残り、京都市の「歴史的界隈景観地区」にも指定される三条通。ホテルの外観はそうした歴史ある街並みに敬意を表し、近代様式建築に見られる煉瓦調タイルや列柱を採用。趣ある三条通に美しく溶け込んだデザインになっています。
奥に深い敷地に立つ伝統的な京町家では、通りに面した「オモテ」、居住エリアの「オク」に分かれた空間構成が見られますが、こちらの三井ガーデンホテル京都三条プレミアもにぎわいある三条通側を「オモテ」とし、ホテル内部に進んでいくごとに「オク」の世界へと誘う、京都ならではの奥深さを体現したホテルになっています。
エントランスから1階レストランまでは地元の人々も集うオープンなパブリックの場となっており、その先の迎え花が飾られた中庭が結界のような役割を果たし、徐々に「オク」の世界が始まります。セミパブリックと位置付けられたロビーラウンジは、柳やヤマモミジが美しい中庭と一体化して見え、これからチェックインを迎えるホテルゲストが最初に安らげる空間となっています。
ちなみにこのロビーラウンジの一角に飾られた呉服コレクションは、重要無形文化財保持者である木村雨山らをはじめとした著名な作家が手がけたもの。実はこの場所、かつては創業1725年の歴史ある呉服屋「千切屋」が営業していた由緒ある土地。ホテルが伝統や歴史を大切に紡いでいくことで、ゲストの滞在もストーリーのあるものとなり、より豊かな旅の記憶となることでしょう。
チェックインカウンターから先は、カードキーをかざして入るプライベートスペース。客室は平均で30平方メートル以上あり、バスルームと洗面スペースの境界のないデザインのため、数字以上の開放感が感じられます。全部で185室ある中で、洗濯機付きの部屋が37、デイベッドが備わる部屋(大人3名まで宿泊可)が38と、多様な滞在に適した客室が用意されています。
カラーテーマは京都伝統の着物・織物から着想を得た「かさねの色目」になっており、壁紙には「梅鼠(うめねずみ)」、カーテンには「青鈍(あおにび)」といった日本の伝統色を採用。備品も細部までこだわりが詰まり、「さしものかぐたかはし」が手がけた木工芸の重箱(ワイングラスやオープナーが収納)、メモパッド、アクセサリートレイなど、ふと目に入った際に深みが感じられるインテリアになっています。
三井ガーデンホテルの「プレミアシリーズ」にカテゴリー分けされているだけあり、置かれてある備品はどれも贅沢。引き出しを開ければ有田焼のマグカップに、「イノダコーヒ」のドリップパック。バスルームにはメイド・イン・イタリアのオーガニック製品「ORGANIT」が設置され、シャワーヘッド「ReFa FINE BUBBLES」やドライヤー「ReFa BEAUTECH DRYER」も備わります。細かな点ではありますが、滞在中に上質さを体感する瞬間が幾度となくあるはずです。
三井ガーデンホテル京都三条プレミアの滞在は、食事も大きな楽しみのひとつです。朝食会場となるオールデイダイニング「curd(カード)」は、京都市内で初となるフレッシュチーズ工房&ショップを併設。毎日6種類のフレッシュチーズを製造しており、これまで食べてきたチーズの概念を変えるほどおいしいモッツァレラやストラッチャテッラが、朝食ビュッフェで好きなだけいただけます!
朝ごはんはセミビュッフェスタイルで、「京水菜と浅利、あおさのりの玄米リゾット」や「九条ネギとリコッタのオムレツ」など6種のメニューからメインを選択します。ビュッフェ台にも、ザクロとディルの入った「キャベツと人参のコールスロー」や、オレンジブロッサムドレッシングで和えた「クレソンとキウイのサラダ」など、ヘルシーで手の込んだ料理がずらり。観光に出かける前のパワーチャージにぴったりです。
お酒が好きな方であれば、ぜひ足を運んでみてほしいのが「Y bar」。京都府京丹後市で江戸時代から続く「竹野酒造」とホテルがパートナーを組んだ日本酒専門バーで、店名の「Y」は6代目杜氏・行待佳樹(ゆきまちよしき)氏、そして主要銘柄「弥栄鶴(やさかつる)」の頭文字に由来します。
行待氏の日本酒は数々のコンクール受賞歴があるのですが、その流通のほとんどが海外市場となるため大変貴重なもの。国内では限られた一流料理店にのみ卸すことが許される中、Y barは日本で唯一、パブリックに楽しめるバーになっています。
この日、グラスでいただいたのは「回嚮-echo-」。香りを最大限楽しむため、特注グラスにリンス(グラスの内側にお酒を触れさせる)された状態で提供されます。よく冷えた状態から温度が上がるにつれ、味と香りも膨らみを増し、その名の通り口の中でエコーしていくかのような味わいが印象的でした。
そして最後に紹介するのが、ゲストの癒しの空間「大浴場」と「プライベートバス(予約制・有料)」です。どちらも地下に備わるウェルネス施設で、大浴場は約90平方メートルもの広さがあり、奥側の天井が少し低くなっており、まるで洞窟にいるかのような雰囲気でゆったりとくつろげます。
リビングエリアが広々したプライベートバスは、家族や友人とのんびりお風呂を楽しみながらテレビを見たり、ミニバー(飲み放題)のドリンクを飲んだり、お風呂以上の楽しみをもたらしてくれる空間です。持ち込みも可能で、貸し切り枠は2時間。中庭の借景もあり、雰囲気はとても開放的です。ホテルの最深部とも言えるこの究極のプライベート空間で、京都の「オク」を味わってみてはいかがでしょうか?
ちなみに京都にある三井ガーデンホテル系列(プレミア含む)では、チェックイン・アウト前後にバゲージサービス(ひとつ500円)を提供しており、「三井ガーデンホテル京都駅前」のバゲージサービスカウンターで荷物預けや受け取りが可能。手ぶらで観光を楽しめるサービスなので、京都駅を利用し前後で観光予定の方にはとてもおすすめです。
※当記事は、2024年10月7日現在のものです