「勝って当たり前」の重圧、乗り越えた侍ジャパン 投打に若い力台頭

井上翔太
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(7日、野球決勝 日本2-0アメリカ)

 日本の山田哲人が、悪送球の間に本塁へ頭から滑り込んだ。1点リードの八回1死二塁。吉田正尚の中前安打に敵失が絡み2点目を奪うと、ベンチにいる選手たちが飛び出し、喜びを爆発させた。金メダルに大きく近づく追加点となった。

 大リーガーがいないから、競技のレベルは落ちて当然だろう――。

 五輪で野球が行われるとき、常にそんな視線がつきまとう。指摘は正しい面もある。決勝の相手となった米国を筆頭に、今季の大リーグで活躍する選手は、どのチームにもいない。

 稲葉篤紀監督も、その視線に気づいている。国内でラグビーW杯が行われ、日本が8強に入った2019年。野球日本代表侍ジャパン」は、秋に開かれた国際大会「プレミア12」で優勝した。その後、監督はこんなことを語っていた。

 「我々は世界一になっても、ラグビー日本代表に熱狂で負けている。でも『勝って当たり前でしょ』という世界で、選手は戦ってくれているんですよ。家族を犠牲にして。それを背負って戦う苦しさを分かってほしい。だから大会のレベルに関係なく、選手はたたえられてほしい」

 決勝は、チーム最年少の21歳の村上宗隆が先制ソロを放ち、先発したプロ2年目の森下暢仁(まさと)は5回無失点。新人の栗林良吏が最後を締めた。チームリーダーの坂本勇人は言う。「重圧の中で戦ってきた。僕らでしか、分かり合えない部分がある」

 楽な試合は一つもなく、文句なしでたたえられるべき5連勝だろう。稲葉監督は試合後、勝ち星と同じ回数、胴上げされた。

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